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週刊タイ経済
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経済対策本部
新たな刺激策の導入決定
消費・観光刺激と新卒者雇用

 新型コロナ経済対策本部(CESA)は2日、プラユット首相を議長に2回目の全体会合を開いた。今年の残り数か月間の経済を刺激するための新たな短期的対策について協議。1500万人を対象として1人あたり3000バーツの現金を給付する国内消費刺激措置と新卒者雇用に補助金を出す雇用対策の導入を確認した。詳細は2週間以内にとりまとめる。
 対策本部の書記官補を務めるダヌチャー・ピチャヤナン国家経済社会開発評議会(NESDC)副事務局長によれば、国内消費刺激策の予算は450億バーツ。18歳以上の国民約1500万人を対象に1人あたり3000バーツを上限として、消費支出の50%を補助する。昨年に実施した消費刺激措置の「チム・ショップ・チャイ(食べる・買う・使う)」に似た政策で、官製電子財布(Gウォレット)の「パオタン」アプリを通じて商品やサービスの購入代金の50%を国が補助する。消費者と国が購入代金を50%ずつ分担するため、このプログラムの通称は「コン・ラ・クルン(半分ずつ)」とした。
 財務省が詳細をとりまとめ、10~12月に実施予定。1人1日あたりの利用額は100~250バーツに制限する方向で検討している。購入可能な店は全国に約8万人いる屋台引きや行商人などの零細個人事業もカバーするとしている。この措置で900億バーツの消費支出が生じることになり、GDPを0・25%押し上げると期待している。財務省のスポークスマンを務めるラワロン・セーンサニット財政局長は3日、9月中旬までに内閣の承認が得られるとの見通しを示した。
 新卒者の雇用対策は、26万人の大卒、職業専門学校卒、職業高校卒者を新規雇用する事業者に対し、賃金の50%を補助するというもので、予算総額は235億バーツ。政策の通称は「タイ・ミー・ガーンタム(タイ人は仕事がある)」。大卒は月給1万5000バーツ、職業専門学校卒は1万1500バーツ、職業高校卒は9400バーツとし、その半分を1年間(20年10月から21年9月)にわたって国が補助する。過去1年間に従業員の15%以上を解雇していない事業者が対象で、補助金の対象となる新卒者は、タイ国籍の25歳以下の卒業生もしくは、25歳以上の場合は19年または20年に卒業したことが条件になる。
 9月下旬にはジョブフェア「タイランド・ジョブ・エキスポ2020」が開催される。求職者と求人者を「タイ・ミー・ガーンタム」のプラットフォームを使用してマッチングする。
 スパタナポン・パンミーチャオ副首相兼エネルギー相は会見で、国内の経済活動と投資を支援するための追加措置の導入を続けると語った。第2四半期(4~6月)の経済は、過去20年間で最も深刻な収縮に見舞われている。新型コロナ流行が観光業や国内活動に打撃を与えた。4月からの国境閉鎖による外国人旅行者の消失を穴埋めするため、国内観光刺激策「ラオ・ティアオ・ドゥアイカン(一緒に旅しよう)」も打ち出している。スパタナポン副首相は、公務員に2日間の休暇を与えることで政府が実施する国内観光に対する助成金を最大限活用できるようにすると語った。同プログラムはホテル宿泊代金の40%を補助するもので、当初は1人5泊までとしていたが、10泊に拡充。国内線航空券の補助は1000バーツを2000バーツに拡充した。

国内でコロナ感染者 100日ぶり
都内のパブ勤務の37歳男性

 新型コロナウイルスの国内感染者ゼロが続いていたタイで100日ぶりに感染者が確認された。スワナチャイ・ワタナインジャルンチャイ疾病管理局長が3日の会見で明らかにしたところによれば、37歳の男性受刑者から陽性反応が出た。ワライラット・チャイフー疫学局長は男性が29日の時点でコロナ感染者に見られる症状を示していたことを明らかにしている。
 この男性は8月26日に薬物所持で中央特別刑務所に収監されている。受刑者は収監時にコロナ検査を受け、14日間隔離されることになっており、検査の結果、陽性反応があった。男性は刑務局所轄の病院に移送されている。保健省は男性と接触した可能性のある人々を絞り込み、濃厚接触者から優先的に検査を実施している。
 同省の初動調査によると、受刑者は逮捕される直前までラーマ3世通りとラーマ5世通りに2か所あるパブ「サムワン・ソンクーン」でDJとして働いていたほか、カオサン通りの「ファースト・カフェ」というコーヒーショップで働いていた。バンモット地区のアパート「バーンスアントーン」に7人の家族と住んでいた。都庁はこのパブに店内除染のため3日間の営業停止を命じている。
 新型コロナ対策本部(CCSA)のタウィーシン・ウィサヌヨーティン報道官によれば、男性のウイルス検査はマヒドン大学が再度実施し、2日に陽性を再確認したと説明している。保健省は男性の行動を追跡、男性と同じグラスで酒を回し飲みしていた者がいたことが分かった。また施設が体温検査を怠り、来店者の「タイ・チャナ」アプリによるチェックインを徹底していなかったことも分かった。6日には濃厚接触者119人を含む970人の検査を実施した。保健省は検査の結果が出た513人全員が陰性だったことを発表している。
 CCSAの発表によれば、6日現在、これまでのコロナ感染者は累計で3444人、58人が死亡した一方、快復した人は3281人となった。治療中の者は105人となっている。

国立公園などの二重価格
在留外国人はタイ人料金に

 タイ観光公団(TAT)のユタサック・スパソン総裁は3日、国立公園や史跡・観光施設などの入場料をタイ人と外国人で差別する二重価格の廃止について、国立公園・野生動植物局ほか関係機関と協議すると語った。タイに滞在する外国人によるタイ国内観光を刺激することが目的。外国人のステータスを確認するためのIDカードを導入し、長期滞在する外国人と外国人観光客を区別した上で、前者についてはタイ人と同じ料金を適用する案。IDカードはTATが発行する。
 恒久的にタイ人料金を適用する考えで、観光地を管轄する各部局に加え、民間観光施設との間で覚書を取り交わしていく。
 政府は国内観光刺激のため、「ラオ・ティアオ・ドゥアイカン(一緒に旅しよう)」と呼ぶホテル宿泊代金、レンタカー代金、航空券に補助金を給付する政策プログラムを実施中。ユタサック総裁はこの政策について、国家予算を使うものであることから外国人も利用できるようにすることは法的に困難だと説明している。

タイ中銀の月例経済金融報告
8月31日の発表より

 7月のタイ経済は前月に引き続き改善した。政府支出と国内外でのロックダウンの緩和によるもので、民間消費、物品輸出額、工業生産の収縮幅が縮小した。しかし投資状況は引き続き脆弱で、民間投資の指標は収縮幅が拡大した。また観光業は大幅な収縮を続けている。渡航制限が続いているからである。
 経済安定性については、一般インフレ率のマイナス幅が縮小した。コアインフレ率の上昇に沿ったもので、政府の生活費負担軽減措置の一部が終了したことによる。労働市場は経済活動に応じて幾分改善した。しかし雇用は全体としてなお脆弱なままである。経常収支は黒字に転じた。主に金地金輸出が寄与している。他方、資本収支はほぼ均衡した。
 7月の景気動向の詳細は次のとおり。
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 民間消費の指標は前年同月比での収縮幅が前月に引き続き縮小した。ほぼすべてのカテゴリーの支出が改善した。コロナ封じ込めの規制が緩和されたことに加え、今年は7月の連休が前年同月よりも多かったという一時的な要因もあった。4月のソンクラーン連休取り消しによる代替休日が設けられたことが一因。加えて雇用、家計所得、消費者信頼感も幾分改善したため、家計は旅行や外出での支出を増やした。
 物品輸出額は前年同月比11・9%減となり、前月に比べて収縮幅が縮小した。金地金を除いた輸出額は14・3%減。金地金を加えた場合でも除いた場合でも輸出の収縮幅は前月に比べて縮小を続けている。自動車・同部品、機械機器、エレクトロニクス製品など多くの物品で輸出は改善している。貿易相手国のロックダウン解除により経済活動が回復に向かっている。工業生産は、輸出、民間消費の改善に沿って、ほぼすべての業種で収縮幅が縮小した。
 民間投資の指標は前年同月比で収縮幅が拡大した。主に設備投資が落ち込んだ。資本財輸入、自動車登録台数、国内機械販売の指標が悪化した。国内外の需要が回復を始めたばかりで、また設備能力も大幅な過剰が続いているためである。さらに景気の先行きにも不確実性が大きい。一方、建設投資は、前月の収縮から小幅の増加に転じている。建材販売数量の指標が上向いた。
 物品輸入額は前月同月比で25・4%減だった。前月に比べて収縮幅が拡大した。比較ベースとなる前年の原油、資本財輸入が低水準にあったローベース効果がなくなったことが一因。また国内外の需要が改善してきているとは言え、なお低水準にとどまっていることも理由の一つ。
 外国人観光客数は引き続き前年同月比100%減となった。タイが海外からの渡航を制限しているためで、外国人観光客ゼロは4か月連続となった。
 移転金を除く政府支出は前年同月比で引き続き拡大した。政府と国営企業の投資予算の執行加速から投資的経費が拡大した。しかしながら経常的経費は小幅減少した。物品・サービス調達費の執行額が細った。
 経済安定性では、一般インフレ率のマイナス幅が縮小した。コアインフレ率の上昇に沿ったもので、政府の生活費負担軽減措置の一部が終了したことによる。労働市場は幾分改善した。それは労働保護法第75条に基づき一時帰休の対象となった労働者の数が減少したことに示されている。経済活動が改善を続けていることに沿ったものであるが、雇用情勢は全体としてなお脆弱なままである。経常収支は黒字に転じた。主に金地金輸出による貿易黒字が寄与している。他方、資本収支はほぼ均衡した。

ミャンマー
コロナ感染が再拡大
労働者受入再開にブレーキ

 保健省は隣国ミャンマーで、8月中旬からコロナ感染者が再び増えていることから、ミャンマーからの移民労働者の受入再開を延期するよう経済界に求める意向を明らかにした。ソーポン・イアムシリターウォン伝染病管理局長が明らかにした。
 ミャンマーでは26日だけで1日あたりの数としてはこれまでで最多となる70人の新規感染者が確認されており、累計感染者数は千人に達した。特に西部のラカイン州の州都シットウェでの蔓延が深刻な状況で、現地では午後9時~午前4時の間、外出禁止令が出されている。
 内務省は同国と国境を接するターク、チェンマイ、チェンライ、メーホンソン、カンチャナブリ、ペチャブリ、プラチュアップキリカン、ラチャブリ、チュムポン、ラノーンの各県知事に対し、不法越境者の取締と国境検問所における入国者の感染チェック強化を改めて指示している。不法越境者の取締には陸軍も乗り出しており、4月18日以降、チェンライとチェンマイ両県だけで332人が逮捕されている。特にチェンライ県での逮捕者は3月23日~8月26日に151人で、うち83人がミャンマー国籍者、タイ国籍者54人、ラオス国籍者12人、中国国籍者2人となっている。カンチャナブリ県サイヨーク郡では29日に35人のミャンマー国籍者が不法入国した疑いで身柄を拘束された。同日未明に国境近くの検問所をピックアップ車で通過しようとした。
 ミャンマー国境のプラチュアップキリカン、カンチャナブリ両県にある小学校3校は3~7日間の休校措置をとっている。ミャンマーからの越境者との濃厚接触による児童らのコロナ感染リスクが高まったことが理由。
 プラチュアップキリカン県で9月1~7日まで休校を決めたのはフアヒン郡アナン小学校とバーンフアイクライ小学校。前者は児童数576人中、300人がカレン族などミャンマー国境周辺の少数民族の子弟で、その中の1人が発熱を理由に欠席した。その後の調べでこの児童の家族が8月26日前後にミャンマー国境を出入していたことが判明、コロナ感染の可能性が浮上した。一方、後者は310人の児童のうち、45人が少数民族の家庭。ただ同校では感染疑いのある者は報告されていない。
 カンチャナブリ県トンパープーム郡バーンクイイェー小学校では、ミャンマーから密入国した20歳と17歳の2人の男に濃厚接触した児童が3人いたことを確認、9月1~3日の3日間、休校とするとともに3人の児童には14日間の自宅での隔離を指示した。密入国した2人は学校がある村にある空き家に滞在している間、児童らと接触したもよう。2人の男は39~40度の高熱を発していたことが確認され、その後、国立トンパープーム病院に搬入されたが、検査では陰性となっている。ただ学校では万一の場合に備えて休校措置と児童の隔離を継続する方針。
 ミャンマーでは感染拡大が続いており、9月3日の同国当局の発表では、同国内における感染者数は計1058人となっている。

最近の更新 2020年09月14日
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