ファクトリンクTOPへ戻る > マーケティング・メデイア > 週刊タイ経済
週刊タイ経済
「ファクトリンク」の経済情報の提供元である「週刊タイ経済」は、 常に新しい視点でタイ経済の最新情報を皆様にご提供しております。

タイ中銀の金融政策委員会
0.25%幅の利上げ決定
4会合連続政策金利1.50%に

 タイ中央銀行の金融政策委員会(MPC)は25日に開いた政策決定会合で0.25%幅の利上げを決定した。0.25%幅での利上げは昨年8月以降、4会合連続となるもので、政策金利は年1.5%に上昇した。これを受け市中金利は上昇する見通しで、資産量で最大手のバンコク銀行(BBL)は27日、プライムレート(MLR)を0.2%幅で引き上げた。
 MPCの書記を務めるピティ・ディサヤタット総裁補は、タイ経済の回復基調が続いていることを強調。特に観光業と個人消費の回復は、中国人観光客が戻ってくることで勢いを増すと予測した。世界経済の悪化から物品輸出は伸びが減速するが、24年には再び成長が加速すると見ている。
 一般インフレ率は低下する見通しにあるものの、一般消費者物価から生鮮食品とエネルギーを取り除いた基本消費者物価上昇率(コア・インフレ率)はなお高水準にとどまる見通し。政策金利を小刻みに引き上げる金融政策は、景気への配慮とインフレへの対処を同時に成し遂げるものだと説明している。
 MPCはタイ経済が拡大を続けており、ポジティブな傾向にあるとした。中国人観光客の復活で観光業の回復は加速し、サービス業の労働者や自営業者の雇用と所得の拡大をもたらし、これが個人消費の原動力になる。一方、インフレ率は世界的なエネルギー/商品相場の軟化を受け、サプライサイドからの圧力は徐々に緩和している。しかしコア・インフレ率は今後も一定期間は高止まりする見通し。ピティ総裁補によると、中期的なインフレ期待は引き続き目標範囲内にとどまっているが、コスト増による価格転嫁が続きそうで、コア・インフレ率の上昇は予想以上に長く続く可能性がある。
 金融システムは安定している。商銀の自己資本と引当金の水準は高く、企業や家計の債務返済能力も景気の回復に伴い改善する可能性が高い。市中金利は政策金利の上昇と商銀の金融機関再建開発基金(FIDF)拠出金の減額措置の満了にともない上昇している一方、民間企業による銀行借入と債券による資金調達は引き続き拡大している。ピティ氏は金融情勢について全体として緩和的だと強調した。

今後も利上げ継続の見通し

 クルンタイ銀行調査部はMPCが次回の会合でも利上げを継続すると予測した。インフレ圧力が残っているため。昨年12月のインフレ率は4か月ぶりに前月比で上昇に転じている。世界経済が減速する中にあっても景気は回復傾向が続く見通しで、金利が緩やかなペースで上昇しても景気の腰を折る可能性は低いと見ている。
 昨年のインフレ率の上昇はエネルギー価格の高騰によるコスト・プッシュ圧力を受けたものだった。この圧力は徐々に低下していくが、景気の回復によりデマンド・プルの圧力が生じる見通し。インフレ率は徐々に低下していくものの、インフレ圧力は形を変えて残る。中銀は一般インフレ率の誘導目標範囲を1~3%増の間に定めているが、今年通年のインフレ率は上限の3%増を上回る可能性が高い。
 中銀は昨年から開始した利上げを金利正常化に向けた動きと説明する。ピティ氏はこの日の会見で政策金利は長期安定的な経済成長に適した水準まで段階的に引き上げていく必要があると指摘した。中銀が想定する適正金利は年2.50%との見方が支配的で、中銀は足元の景気を睨みながら徐々に金利を引き上げていく。クルンタイ銀行は今年末までに政策金利が年2.0%の水準まで上昇し、翌年も利上げを継続すると予測した。カシコン銀行系シンクタンクのカシコン・リサーチは3月に開く次回会合でも0.25%幅の利上げを継続すると予測した。

今年の新車市場は90万台
タイ国トヨタが年頭発表

 タイ国トヨタ自動車の山下典昭社長は26日の年頭発表で、今年通年の国内新車市場を90万台と見積もった。昨年の国内新車販売台数は84万9388台で、前年比11.9%増を記録している。
 今年の新車市場の支援要素は、景気の回復で、政府も景気を下支えするために景気対策を継続すると予想されている。半導体不足や世界経済の変調など負の要因は少なくないが、それでも山下社長は、タイの自動車工業はより良い方向に進んでいると述べた。
 昨年の販売台数の内訳は乗用車が26万5069台(5.3%増)、商用車が58万4319台(15.2%増)。商用車のうち1トン・ピックアップ・トラック(PPVを含む)は45万4875台(15.6%増)、PPVを除く1トン・ピックアップ・トラックは38万8298台(13.7%増)だった。
 トヨタの昨年の販売実績は28万8809台(20.5%増)で、市場シェアは34.0%。特に乗用車の市場シェアが前年から大幅に上昇した。新型「Veloz」と「ヤリスATIV」の成功が大きい。
 昨年12月の新車販売台数は8万2799台で、前年同月比9.0%減。トヨタは前年同月比11.2%増となる3万197台を販売したが、いすゞは1万8216台(3.1%減)、ホンダは8324台(28.0%減)にとどまった。
 今年の予想販売台数90万台の内訳は、乗用車が30万1500台(13.7%増)、商用車が59万8500台(2.4%増)。トヨタは前年比7.3%増となる31万台の販売を見込む。内訳は乗用車が9万690台(17.1%増)、商用車が21万3100台(3.4%増)。
 トヨタの昨年のタイでの生産台数は65万9262台、前年比28%増。うち37万8454台を輸出した。今年の予想生産台数は前年比9.7%増となる72万3000台で、40万5000台の輸出を見込んでいる。

22年の自動車生産台数
188万3515台、11.7%増
FTI発表

 タイ工業連盟(FTI)自動車部会が24日に発表した12月の自動車生産台数は15万8606台で、前年同月を2.75%上回った。1~12月合計の生産台数は188万3515台で、前年比11.73%増。スラポン・パイシットパタナポン広報担当は24日の会見で、今年の国内自動車生産台数について前年比3.53%増となる195万台と予測した。主に輸出向け生産の増加が牽引する。輸出向け生産は105万台、国内市場向け生産は90万台と見積もった。
 12月の輸出向け生産台数は8万5766台で、前年同月比10.53%増。生産台数全体の54.07%を占めた。乗用車の輸出向け生産台数が2万7028台と前年同月比で127.26%増加した。昨年の輸出向け生産台数は103万7317台で、前年比8.45%増だった。
 12月の国内市場向け生産台数は7万2840台で、前年同月比5.13%減。乗用車の生産台数は2万7394台で、28.55%減となった。1トン・ピックアップ・トラック(PPVを含む)の生産台数は4万3624台で、同24.77%増。昨年の国内市場向け生産台数は84万6198台で、前年比16.05%増となった。
 国内新車販売台数は12月に8万2799台となり、前年同月を9.02%下回った。スラポン広報担当は、一部車種での半導体不足と国内での洪水被害の発生が影響したと説明している。昨年の販売台数は84万9388台で、前年比11.89%増だった。
 12月の輸出台数は11万1605台で、前年同月比10.17%増となった。昨年の輸出台数は100万256台で、前年比4.28%増だった。
 昨年のバッテリー電気自動車(BEV)の新規登録台数は2万815台。前年比で274.64%増。乗用車が9643台、ピックアップ車が30台、オート三輪が227台、電動二輪が9915台、バスが976台、トラックが24台。

12月の物品輸出は14%減
3か月連続で収縮通年では5.5%増

 商業省が24日に発表した12月の物品輸出額は217億1880万ドルで、前年同月比14.6%減となった。前年比での収縮は3か月連続で、減少幅も拡大した。この結果、昨年通年の物品輸出は前年比5.5%増にとどまり、6%超とした多くの調査機関の推定値を下回った。
 12月の物品輸入額は227億5270万ドルで、前年同月比12.0%減。貿易収支は10億3390万ドルの赤字となった。
 12月の農産物/アグロインダストリー製品の輸出は11.2%減。マイナス成長は3か月連続となった。生鮮・冷蔵・冷凍・乾燥果物の輸出は21.6%増。2か月連続で増加したが、コメは4.1%減、タピオカ製品は12.4%減、天然ゴムは47.7%減、果物缶詰は20.5%減、砂糖は45.4%減となった。通年では農産物/アグロインダストリー製品の輸出は8.8%増。
 工業製品の輸出は12月に15.7%減となった。収縮は3か月連続。輸送機械・同部品が17.1%減となったほか、石油関連製品は25.7%減、コンピュータ/同部品は24.3%減、宝石・宝飾品(金地金を除く)は12.4%減となった。通年では工業製品の輸出は4.4%増。
 仕向け地別では12月に主力市場向けが13.6%減となった。米国向けは3.9%減、中国向けは20.8%減、日本向けは13.7%減、アセアン(5)向けは24.2%減、CLMV向けは11.8%減、EU(27)向けは4.9%減となった。通年で見ると、主力市場向け輸出は中国を除き、前年比増となっている。中国向けは7.7%減。ゼロコロナ政策や不動産部門の停滞で中国国内の需要が減退したことに加え、前年の中国向け輸出が過去最高を記録していたハイベース効果が原因。
 12月の物品輸出の減少は、世界経済の減速、特に米国、EU、中国、日本などの主力市場における購買力の弱化が響いた。ジュリン・ラッサナウィシット副首相兼商業相は、通年で5.5%の伸びに関して、商業省が目標とした4%を上回ったことを強調した。また今年は1~2%増を目標とする方針を示した。
 これに対しカシコン・リサーチ・センター社は今年0.5%減と見積もっている。世界経済の減速は主要貿易相手国の購買力を低下させ、タイの輸出に大きな影響を及ぼすほか、バーツ高も価格競争力を低下させると見ている。

IEATが水素エネルギー事業
スマートパークで実施

 タイ工業団地公団(IEAT)が水素エネルギー・プロジェクトへの投資を計画している。ウィーリット・アマラパラ総裁が23日に明らかにしたもので、ラヨン県にIEATが開発中のスマートパークでの実施に向け、日本の経産省と協議中だと述べた。クリーン・エネルギーへの移行を進めるもので、トヨタの水素を使った燃料電池自動車(FCEV)で工業団地で働く労働者を輸送するプロジェクトが予定されている。
 IEATのスマートパークは1383ライの土地をカバーし、東部経済回廊(EEC)でのターゲット産業の投資誘致を目的に開発される。ロジスティクス、医療機器、ロボティクス・自動化、デジタルなどの低炭素産業の誘致を目指している。24年の竣工を目指すこの工業団地ではクリーン・エネルギーを主に使用する。IEATは運輸、物流部門で使用するための水素の輸入を計画している。長期的にはスマートパークで使用される車両に供給する水素の工場も建設したい考え。
 IEATはまた、ジェトロやラヨン県マプタプット工業団地の入居企業と協力して水素エネルギーの開発プロジェクトに関する共同研究も実施している。このプロジェクトでは日本の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの資金援助を期待している。
 マプタプット工業団地では化石燃料の削減、二酸化炭素の排出削減、エネルギー貯蔵システムの開発など、カーボン・ニュートラルを目指すプロジェクトの共同研究で7つの組織と協定を結んでいる。マプタプット深海港の第3期開発プロジェクトも進行中で、日本企業の投資を呼びかけている。

最近の更新 2023年02月06日
Powered by Fact-link.com
ファクトリンクTOPへ戻る