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週刊タイ経済
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タイ中銀の月例経済金融報告
12月30日の発表より

 11月のタイ経済は前月に引き続き減速した。貿易相手国経済の減速にともない物品輸出は収縮を続けている。このため物品輸入、工業生産、民間投資の指標も収縮した。政府支出は経常的経費と投資的経費の支出が減少したことで収縮した。民間消費の指標は引き続き減速する方向にある。政府の刺激策は購買力の向上にある程度寄与している。観光業は成長を続けている。
 経済安定性については、一般インフレ率は前月に比べて上昇した。コア・インフレ率の上昇をともなうもので、またエネルギー物価の下落ペースも鈍化した。季節調整済みの失業率は前月からわずかに上昇した。就労者数は横ばいだった。経常収支は黒字で、資本収支は資産面から出超となった。
 11月の景気動向の詳細は次のとおり。
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 物品輸出額は前年同月比7・7%減となった。金地金を除いた輸出額も近似した減少率となった。貿易相手国の景気減速、エレクトロニクス製品市況が依然回復していないことや世界市場の石油価格下落の結果、多くの製品で輸出額は減少した。加えて一部の製油所のメンテナンスのための生産休止という一時的な要因もあり、石油関連製品の輸出は価格下落と輸出数量の減少を受け輸出額が収縮した。このほかにも、これまでの貿易戦争からの生産と世界貿易の構造的変化の影響から一部のタイの製品は、アセアン市場において中国製品に取って代わられるようになっている。いずれにしてもアグロインダストリー製品の輸出は引き続き拡大している。物品輸出が全体として収縮した結果、工業生産も収縮した。
 物品輸入額は前年同月比で13・9%減だった。金地金を除けば15・4%減。経済活動の鈍化に連動して、ほぼすべての物品カテゴリーで収縮した。原材料/中間財の輸入は、主に原油輸入の減少にともない収縮した。一部製油所の休止という一時的な要因による。資本財の輸入は、主に蒸気タービンや通信機器の輸入減により収縮した。消費財の輸入は、前年の数値が大きかったハイベース効果による水産品輸入額の減少にともない、収縮を続けている。
 民間投資の指標は前年同期比で収縮を続けた。国内外の需要の鈍化によるもので、加えて製造業の設備稼働率も低位にとどまっている。その結果、企業セクターは投資の先延ばしを続けている。設備投資の指標は減少を続けている。資本財輸入、国内機械販売、自動車登録台数の指標が悪化した。建設投資の指標も収縮している。建設業の活動の低迷に沿った動き。全国の建設許可面積の減少が続いている。ただし工業目的のための建設許可面積は依然として拡大している。また、その他商業目的のための建設許可面積もこの月には増加に転じた。
 移転金を除く政府支出は前年同月比で収縮に転じた。中央政府の経常的経費と投資的経費の執行額が減った。2020年度歳出予算法がまだ施行になっていないことが理由。経常的経費は一部の治安維持関連の政府機関による物品・サービス調達費の執行額が細った。国営企業の投資支出も微減となった。主にエネルギー分野の国営企業の投資予算執行額が減少した。
 民間消費の指標は、前月から伸びが加速したものの、上半期と比べた場合には減速傾向は続いている。非農林水産業の被雇用者の所得と消費者の信頼感が脆弱なことによる。また金融機関は債権の質の劣化を警戒して自動車ローンの実行を抑制している。いずれにしても政府の刺激措置は購買力の底上げにある程度貢献している。この月には非耐久財とサービスの消費が鈍化した。政府の措置により前月に加速していたことによる反動減。他方、半耐久財と自動車を初めとする耐久財の支出は収縮を続けている。
 外国人観光客数は前年同月比5・9%増となった。到着ビザの手数料免除措置の効果で中国、インド、台湾からの観光客数が増加した。ロシア経済の回復やロシアとタイを結ぶ航空路線の拡大を受けロシアからの観光客も順調に増加した。またラオスや日本など、その他アジアからの観光客数も増え続けている。しかし外国人観光客数の伸びは前月に比べて鈍化した。前年のプーケット県での観光船沈没事故の影響から比較ベース値が低くなっていたローベース効果が徐々に剥がれ落ちてきていることが理由。
 経済安定性に関しては、一般インフレ率は0・21%となり、前月から上昇した。エネルギー物価の下落ペースが鈍化し、国内燃油小売価格が前月比で上昇した。またコア・インフレ率も前月からわずかに上昇した。季節調整済みの失業率は前月からわずかに上昇した。一方で就労者数は横ばいだった。経常収支は黒字が続いている。資本収支は出超。タイ人投資家による海外の株式、債券への投資による資本流出が理由。

EVバッテリーに課金
回収処理の基金設置へ
物品税局

 物品税局は電気自動車(EV)のバッテリーに最大で1000バーツの手数料を課すことを計画している。バッテリーの解体、リサイクルの追跡態勢を整えるためで、徴収した資金で基金を設ける。自動車オーナーが使用済みのバッテリーを正しく処理した後に返金される。
 パチャラ・アナンタシン局長は、バッテリーのサイズに応じた料金体系が必要かどうか検討していると述べた。使用済みバッテリーの処理は自動車メーカーが責任を負う。現在、タイにはEVバッテリーのリサイクル/処理施設が不足しているため、廃棄されるEVバッテリーは海外で処理する必要がある。ホンダは使用済みバッテリーを一旦、シンガポールに送り、ベルギーで処理している。

冷間圧延炭素鋼
AD関税を5年延長

 政府は中国、ベトナム、台湾からのコイル状/非コイル状の冷間圧延炭素鋼に対する反ダンピング(AD)税の適用期間の5年間延長を決めた。ダンピング防止・相殺関税委員会が12月18日に開いた会議で決定した。調査の結果、ダンピング行為の継続が確認されたため。
 タイは14年以降、CIF価格の4・22~20・11%のAD税を課している。期間は当初19年2月までだったが、20年2月までに延長されていた。18年にタイの冷間圧延炭素鋼の輸入量は合計105万3000トンを数え、前年の89万2529トンから急増した。18年の3か国からの輸入数量は2万835トンで、中国から7575トン、ベトナムから3107トン、台湾から1万152トンとなっている。
 タイの鉄鋼製品の国内消費量は推定で年間1930万トン、このうち1200万トンが輸入されている。鉄鋼業界はインフラ開発における国産鋼材の使用促進で政府に支援を求めている。
 なお、この日の会議では、中国からのクエン酸の輸入に対するAD関税についても5年間の延長を決めた。57・79%のAD関税を課す。18年の中国からのクエン酸輸入量は1528トン。

格安航空2社に事業許可へ
タイ民間航空事務局

 タイ民間航空事務局(CAAT)のチュラ・スックマノップ事務局長は12月23日、タイ・イースター・ジェットとタイ・サマー・エアウェイズの格安航空2社が2020年に新たに就航することを明らかにした。2社はすでに航空免許(AOL)を取得済みで、現在、航空運送事業許可(AOC)の取得手続きを進めている最中。
 タイ・イースター・ジェットはタイと韓国の合弁会社で、CAATによる試験の最終段階をパスしており、近日中にもAOCが下りる見通し。バンコクと台湾の高雄を結ぶ路線に就航予定。バンコクと韓国の都市を結ぶ路線も予定しているものの、韓国の航空当局が米連邦航空局の基準に沿ってタイの航空会社の新規乗入を規制しているため、当面は就航できない。米国は2015年12月以降、安全評価でタイをカテゴリー2にリストアップしている。一方、タイと中国の合弁会社のタイ・サマーも近くAOCの交付を受ける見通しで、従業員の採用を開始している。
 チュラ氏によれば、航空業法は航空会社がAOLを取得してから1年以内に商業サービスを始めなければならないと規定しており、20年末までに運航を開始しなければならない。2社は営業の初期段階ではチャーター便のみ運航する予定。
 CAATは、2015年6月に国際民間航空局(ICAO)がタイの航空安全に対する重大な懸念を表明し、レッドフラッグを出したことを受け、民間航空局を改組する形で発足した。CAATは既存のタイ国内の航空会社に再試験を課し、合格した航空会社にAOCを再発行した。ICAOは17年10月、タイの航空安全が国際的な基準を満たしたとしてレッドフラッグを解除したため、新規に航空会社への免許交付が可能になった。2社にAOCが発行されれば最初のケースとなる

レジ袋自粛開始
大手スーパーなど
1日から初日は大きな混乱なし

 1月1日から国内の主要なスーパー、ショッピングセンター(SC)で買物用レジ袋の無料提供が原則廃止された。天然資源・環境省が陣頭指揮を取り、国内の大手量販店・スーパー90業者と提携して自粛措置の導入で合意を取り付けたもので、「エブリデイ・セイ・ノー・トゥ・プラスチック・バッグ」と銘打ったキャンペーンを展開する。協賛する店舗は全国2万4500店超に達する。
 ワラーウット・シラパアーチャー環境大臣によれば、レジ袋など使い捨てのプラスチック袋がゴミとなって排出される量は1日平均5300トンに達していた。「新年からタイは新しい時代に入る」と、プラスチック・ゴミをゼロ化する目標に向けた第一歩を踏み出したことを強調した。大臣は1日、バンコク都内のスーパーなどを視察、都民が自分で買物袋を用意している状況などを確認した。買物袋を忘れた買物客には布袋をその場で購入する選択肢も用意され、大きな混乱はなかった。買物客が布製の袋だけでなく、バケツや大きな漁獲用の籠、肥料袋など思い思いの「買物袋」を用意している姿もユーモアたっぷりに報道され、視聴者の笑いを誘った。
 同省ではテレビ局と提携して、広報活動にも力を入れており、TVドラマでレジ袋を使用するシーンを極力削除することを申し合わせた。編集の都合上、間に合わなかったケースなどではレジ袋にボカシを入れて対応するケースがあり、視聴者からは「ちょっと不自然」、「そこまでしなくても」といった批判の声も寄せられた。同省筋は「TV局にボカシを入れるように指導していない。あくまでもTV局側の自主的な対応」とし、当局が強制したものではなく、民間の自主的な姿勢に一定の評価をする立場を明らかにした。
 生鮮市場などでは未だにプラスチック袋を使用している慣習から抜け出せず、「対応は難しい」と苦情を訴える声も出ており、草の根まで浸透するには今しばらくの時間が必要。生鮮市場関係者の中には今回の措置について「大手量販店がレジ袋代を節約できるだけで、一般の小売業者には不利」と批判する声もあり、今後当局による辛抱強い理解形成の作業が重要になる。
 汚染管理局の推定では国内で消費されるポリスチレン製の食品包材の量は年70万トン、プラスチック製のコップ/ストローは合わせて172万トン、レジ袋は117万トンで、国民1日1人あたりのゴミ排出量は1・13キログラム。年間の総量は2700万トンに達する。同局ではペットボトルのキャップ部分を覆うキャップ・シールの使用禁止方針を2018年に打ち出し、年間520トンのプラスチック・ゴミ削減につなげた実績から、レジ袋の使用自粛の効果は大きいと期待している。

最近の更新 2020年01月13日
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