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週刊タイ経済
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政策金利
中銀の金融政策委員会
追加利下げ実施 年1.00%に

 タイ中央銀行の金融政策委員会(MPC)は5日に開いた政策決定会合で、政策金利を0・25%幅で引き下げ、年1・00%とすることを全会一致で決定した。足元の景気が予想していたよりも悪化していることに加え、新型コロナウイルス感染拡大、2020年度予算法施行の遅れという想定外の事態が発生したことで、景気を下支えするためには金融の緩和水準を一段と高める必要があると判断した。
 市場は1月終わり頃から中銀の追加利下げを観測していた。タイ債券市場協会(TBMA)によれば、10年債の利回りは1月初めに年1・5%の水準だったのが1・3%まで低下していた(価格は上昇)。1~8年債に至っては政策金利(年1・25%)と同水準かそれ以下に下げていた。国内の機関投資家や商業銀行がリスク資産への投資を避けて長期債への投資を増やしていることが理由で、新型コロナウイルスの感染拡大を投資家が懸念していることが背景にある。また国内の経済活動を支援するためタイの政策金利が低水準にとどまり続ける見通しにあることも長期金利の低下につながっている。長期債の利回りが政策金利を下回る水準に低下したことは市場が追加利下げを織り込んでいたことを示している。債券市場では長期金利(国債利回り)が急落し、短期金利を下回る逆イールド現象が生じていた。
 ウィラタイ・サンティプラポップ中銀総裁は、利下げの決断には、タイの経済システムに対する3つの重大リスクを考慮したと説明している。1つは新型コロナウイルスの流行で、すでに観光産業に深刻な影響を及ぼしており、他の産業にまで影響が波及する可能性もある。2つ目は20年度歳出予算法の施行の遅れ。政府支出は20年の経済システムの重要な牽引力になると期待されていたが、予算法の施行が遅れることで、政府の予算執行に影響が及んでいる。特に投資的経費の執行の遅れは、地方経済への影響が大きい。3つ目は旱魃の問題。農林水産業がGDPに占める比率は高くないものの、就労人口の比率は高く、農民が旱魃の影響を受ければ個人消費が先細る。
 年1%の金利水準は過去最低を更新するものだが、ウィラタイ総裁はこれで追加利下げの余地がなくなったわけではなく、経済の下支えのために必要とあれば、さらなる利下げを決断することはあり得ると述べている。一方、タイ債券市場協会(TBMA)のアリヤ・ティラナプラキット副会長は、タイの長期金利(国債利回り)は下降を続けると予測している。経済成長に対するリスクが高まっていることから、リスクヘッジのための長期債運用のニーズが投資家の間で高まることが根拠。

市中銀行も金利引き下げ

 5日の政策金利引き下げを受け、政府系特殊金融機関と商業銀行が貸出金利引き下げを相次ぎ発表した。カシコン銀行は6日に最優遇小口顧客貸出金利(MRR)のみ0.25ポイント引き下げた。政府貯蓄銀行(GSB)は7日付けでMRRと最優遇当座貸越金利(MOR)を0.25ポイント引き下げた。GSBは定期預金の金利も同幅で引き下げた。政府住宅銀行(GHB)は最優遇貸出金利(MLR)とMRRを0.125ポイント、MORを0.25ポイント引き下げた。サイアム商業銀行(SCB)は7日付けでMLRを0.25ポイント引き下げたほか、定期預金の金利も0.05~0.25ポイント引き下げた。バンコク銀行も同日付けでMLRを0.25ポイント、MORを0.125ポイント引き下げた。

日系企業景気動向調査
業況感は悪化も改善見通し

 バンコク日本人商工会議所(JCC)は4日、2019年下半期の日系企業景気動向調査の結果を公表した。業況感は19年下半期に米中貿易戦争やバーツ高で国内経済が減速したことを受けて悪化した。20年上半期にかけては引き続き世界経済の不透明感やバーツ高などの懸念はあるものの、景気動向指数(DI)はマイナス幅が縮小する見通しとなっている。
 20年度に設備投資を増やす見込みの企業は20%、横ばいを見込む企業は39%、減らす見込みの企業は33%だった。20年上半期に輸出増を見込む企業は24%、横ばいを見込む企業は53%、減少を見込む企業は23%だった。今後の有望市場はベトナムが最多で、インド、インドネシア、ミャンマー、日本の順で続く。
 業務計画における設定為替レート(バーツ/ドル)は30・5~31・0バーツとする回答が全体の19・6%で最も多かった。31・0~31・5バーツとの回答は18・5%で、中央値は31・3バーツとなった。円/バーツでは3・5~3・6円とする回答が全体の49・7%と最も多かった。中央値は3・5円。
 経営上の問題点は、他社との競争激化が最も多かった。次いで総人件費の上昇、国内需要の低迷、製品・利用者ニーズの変化への対応の順に多かった。製造業ではエンジニアの人材不足、為替変動への対応、非製造業では従業員のジョブホッピング、事務系マネージャーの人材不足なども多かった。

APホンダ
シェア1位、31年連続達成

 APホンダ社はこのほど年頭記者会見を開き、昨年の販売台数が137万台(前年比1%減)となり、タイ国内二輪車市場で31年連続シェア1位を保った。今年は135万台の販売台数を見込んでいる。昨年の各社全体の販売は174万台(前年比3%減)で、今年は170万台と、さらに市場が縮小する見通しだという。
 木村滋利社長は、「ディスラプション」と「パーソナライズド」の時代にあって、①新製品開発②カスタマー・タッチポイント・オプティマイゼーション③市場リーダーとしての社会的責任、という経営指針を明らかにした。新製品は(1)家族が誰でも乗れる生活用(2)個人の関心を満たす(3)社会的地位を示す、という3製品グループのいずれかをカバーし、市場のニーズに応える。またホンダ・ウイングセンターをバイカーズ・ソリューションを提供する場とすることで、顧客の信頼感、ブランド・ロイヤリティをつなぎとめる。
 一方、EVに関してはキングモンクット工科大学トンブリ校と提携して、EVシェアリングの実験を行なう。学生はスマホのアプリを通じてホンダのPCXエレクトリック車を利用できる。また今年はバッテリー・スワッピングの実験にも取り掛かる。

サイアム・クボタ
実験農場「クボタファーム」公開
今年売上高5~10%増目標

 サイアム・クボタは1日、実験農場 「クボタファーム」を報道陣に公開した。合わせて昨年の売上高が540億バーツ(前年比2%増)で、このうち国内販売が330億バーツ、近隣諸国など外国向けが210億バーツだったとする営業実績を明らかにした。
 主力のトラクターの販売台数は3万5000台、コンバインが2700台だった。東隆尚社長によると、今年は3万8000台と3000台、総売上高も5~10%増を目指す。また今年は3億バーツを投じて農業生産技術の開発研究、農家の経営改善につながるスマート技術の開発などに振り向ける。
 投資予算の半分はチョンブリ県の実験農場「クボタファーム」に、残りの半分はナワナコン工業団地(パトゥムタニ県)とアタマシティ工業団地(チョンブリ県)の自社工場に配分する。市場規模が年間600~700億バーツと推定される畑作用農業機械と関連技術の開発研究、近隣諸国への製品輸出を重視していく方針。
 ソムサック・マーウットン上級副社長は、農業労働者の不足が深刻化する中、機械化と農場経営管理のスマート化需要は高まると見ており、特にスマート化需要の伸びは今年19%に達する見込み。このためIoT製品の開発を進め、リアルタイムで作物の写真を生産農家に送信する作況モニタリング・システムの導入やアプリの開発研究を推進する。
 さらに野焼き慣行の廃止実現に向けた代替技術の開発と普及(ゼロ・バーン・プロジェクト)、稲作における田植えの復興推進(ゼロ・ブロードキャスト・プロジェクト)なども積極的に推進していく。
 同社はクボタ60%、サイアムセメント40%出資の合弁企業。ナワナコン工場ではディーゼルエンジン、パワーティラーを生産(年産能力24万台)するほか、部品センター、研究開発センターとして機能している。一方、アマタシティ工場はトラクターとコンバインの生産拠点で年産能力が7万7000台ある。

タイ・ヤマハ発動機
5年/5万キロ品質保証

 タイ・ヤマハ発動機の早川茂男社長はこのほど年頭記者会見を開き、新たな戦略として5年間または5万キロの品質保証を提供すると発表した。20年1月1日以降の登録車が対象で、それ以前の登録車は3年間/3万キロ。排気量500㏄未満の自動二輪車に対する保証としては世界初だという。このほか最初の1年間または1万2000キロまで、路上での故障など緊急時の24時間レスキュー・サービスも提供する。
 ヤマハの昨年のタイ国内販売は26万台(前年比3・7%減)、市場シェアは15%だった。今年は27万台、16%が目標。
 ポンサトン・ウアモンコンチャイCOOによると、1月31日に工業省が工業製品規格を引き上げたことに合わせ、排気標準をユーロ3(タイ規格6)からユーロ4(タイ規格7)に引き上げる。猶予期間が60日設けられており、3月29日から出荷できるようにする。また今年1月から、二輪車の物品税が排気量から二酸化炭素排出量に基準が変更になったことにともない、販売価格を200~1000バーツ値上げしたことも明らかにした。

最近の更新 2020年02月17日
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