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週刊タイ経済
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1ドル=37バーツ台に16年ぶり
16日の外為市場でバーツ続落
株式市場では外国人が売り越し

 9月16日の外為市場ではバーツが続落し、1ドル=37バーツ台に入った。この日発表の中銀参照レートは1ドル=37.011バーツで、16年ぶりのバーツ安水準となった。米国のインフレ率の伸びが予想されたほどには減速しておらず、米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを急ぐ可能性が強まったことが背景にある。タイ株式市場では外国人投資家が売り越しに転じており、バーツは目先、弱含みで推移しそうだ。
 FRBは7月下旬の政策決定会合以来、インフレ抑制のためのタカ派の利上げの継続をアナウンスしてきた。このためFRBが20、21日に開く会合は政策金利の引き上げが確実視されているが、0.5%幅での利上げを予想する向きはなく、0.75%幅もしくはそれ以上の利上げになるとの見方が支配的になっている。
 米国で高インフレ率が持続し、利上げを急ぐことで、世界経済が後退するリスクは高まっている。FRBはインフレ抑制のため、景気を犠牲にしてでも金利を年4~5%の水準まで引き上げる可能性があり、そうなれば他国の中央銀行もそれに追随するしかなくなる。またロシア・ウクライナ戦争で冬季を迎える欧州ではガス価格が急騰し、欧州のエネルギー危機が欧州の景気に深刻な影響を及ぼすおそれもある。これまでは米欧の経済が失速しても中国が世界経済を支えてきたが、中国も国内経済に難題が山積しており、以前のような役割は期待できそうにない。世界経済の失速は対外依存度の大きいタイにとって懸念材料になる。
 タイ経済は回復軌道にあり、観光業の回復が今後の経済成長に大きく貢献するとの期待がある。バーツ安は観光業にプラスに作用する。インフレ率は8月まで4か月連続で7%台にあるが、金融当局は今がピークと判断しており、今年最終四半期には低下すると見ている。タイ中央銀行のセータプット・スティワートナルプット総裁は、タイのインフレが主にコストプッシュによるもので、米国とは事情が異なることを強調し、利上げを急ぐ必要はないと主張している。タイ中銀は8月10日に開いた金融政策委員会(MPC)の政策決定会合で利上げに着手している。今月28日に開く次回会合でも利上げを継続する方針だが、上げ幅は0.25%を超えそうにない。
 米国の利上げのペースが速い結果、米国との金利差は拡大する。これはバーツの減価要因になるものの、一方でタイ経済の回復と観光業の回復による経常収支の改善はバーツの価値を高める。世界の地政学的対立から距離を置くタイは中国やその他の国からの生産拠点の再配置先として評価され、直接投資の流入増も期待できる。タイ経済の抱えるリスクは米欧や中国などに比べて小さく、タイ経済のファンダメンタルズは健全だ。世界経済の不確実性が高まる中で、バーツ資産は投資マネーの一時的な逃避先として選好される可能性もある。バーツには支援要素も少なくないため、バーツ安に歯止めがかかるものと期待されている。

エネルギー高対策を閣議決定
電力/軽油/ガス価格助成

 政府は9月16日に開いた閣議で、エネルギー高による生活費負担を軽減する措置の導入を決定した。①液化石油ガス(LPガス)価格助成措置(国家福祉カードを通じた低所得層向け調理用ガス価格援助事業を拡充・延長)、②石油基金による軽油小売価格の助成、③電力料金上昇の影響軽減措置の原則を承認した。アヌチャー・ブラパチャイシー政府報道官は閣議後の会見で、生活費上昇、物価上昇に苦しんでいる国民を助けるための措置を延長すると語った。
 液化石油ガス(LPガス)価格助成では10月1日から31日までLPガスの工場渡し価格(付加価値税を除く)を1キロ㌘あたり19.9833バーツに据え置き、小売価格を15キロ詰めボンベで408バーツとする。国家福祉カードを通じた低所得層向け調理用ガス価格援助は、補助金を1人あたり3か月につき45バーツから同100バーツに拡充して10月1日から12月31日まで実施する。対象者は約550万人で、政策経費は3億250万バーツ。22年度中央予算の緊急予備費より配分する。また国家福祉カードを保持する屋台事業者向けLPガス助成を延長し、PTT社の協力で1人あたり月100バーツの補助を10月1日から12月31日までの3か月間実施する。
 軽油小売価格抑制措置は10月から12月にかけて、石油基金のメカニズムを用いて軽油の小売価格を適切なレベルに管理する。軽油の脂肪酸メチルエステル配合比率は高速軽油B7で5~7%、レギュラー軽油で5~10%、B20で5~20%とする。石油元売にはマーケティング・マージンを1㍑あたり1.40バーツ以下に抑制するよう協力を求める。圧縮天然ガス(CNG)の小売価格は見直し、一般車両向けの価格を9月16日以降は1キロ㌘あたり16.59バーツとし、PTT社の価格助成プログラムに参加するタクシー車両向けは9月16日から12月15日まで同13.62バーツで据え置く。
 電力料金上昇の影響軽減措置では9月から12月にかけて、1か月の電力消費量が300ユニット(キロワット時)以下の一般家庭の電力料金を1ユニットあたり0.9204バーツ割り引く。301~500ユニットの一般家庭の電力料金は燃料係数(Ftチャージ)の上昇分の15~75%を割り引く。301~350ユニットのユーザーは1ユニットあたり0.5150バーツ、351~400ユニットのユーザーは同0.3090バーツ、401~500ユニットのユーザーは同0.1030バーツを割り引く。対象は2146万9500世帯で、経費は月間22億8210万3000バーツ。9月分の22億8210万3000バーツは22年度中央予算の緊急予備費より配分し、10~12月分の68億4630万9000バーツは23年度中央予算の緊急予備費より配分する。

タイ荷主評議会
輸出拡大も先行きを警戒

 タイ荷主評議会(TNSC)は今年のドル建て物品輸出の伸び率が6~8%増に達するとの見通しを示す一方で、世界的な石油高、インフレ、海上運賃高、半導体、鉄鋼、飼料、肥料などの原料・生産材不足が依然としてリスク要因であることを指摘した。
 チャイチャーン・チャルーンスック会長は、国際通貨基金(IMF)の最新予測で今年の先進諸国の平均インフレ率が6.6%、開発途上国が9.5%に達するとしたことを引き合いに、中低所得層を中心に購買力が低下するなど、世界的に経済に悪影響が及ぶ可能性を示している。中国や欧州の景気後退懸念も高まりつつある。石油高も当面は持続する見通し。経済界は政府に対して、でき得る限りの措置を導入することで国内の石油価格上昇を抑えるよう求めているほか、商品価格についても適切な範囲で引き上げを認めるよう申し入れている。
 商業省が公表した7月の輸出額は17か月連続で前年同月比プラスとなる236億ドルだった。伸び率は4.3%で、3月の19.5%、4月の9.9%、5月の10.5%、6月の11.9%からは鈍化した。リアルセクター(金、石油製品、武器を除く)の輸出額の伸び率は3月が8.9%、4月が6.9%、5月が11.1%、6月が10.4%、7月が4.1%。一方、7月の輸入額は23.9%増の272億ドルで、36億ドル超の貿易赤字となった。1~7月では輸出額は11.5%増の1730億ドル、輸入額は21.4%増の1830億ドル。

物品税局
環境税制を検討

 財務省物品税局は、バイオプラスチック、バイオ航空燃料、リサイクル可能なバッテリーなどの生産を支援するための税制措置を検討している。エカニット・ニティタンプラパート局長が7日に明らかにした。ESG(環境・社会・ガバナンス)を支援する税制措置を通じた経済成長推進を構想している。
 今年10月からの新年度より研究に着手する予定でいる。環境保護を促進するため、バイオプラスチックやバイオ航空燃料の生産にエタノールを使用する場合、エタノールへの物品税の税率を引き下げることも検討する。将来的にリサイクル可能な電気自動車(EV)用バッテリーの物品税を2%に引き下げる可能性もある。現在、EV用バッテリーには一般的なバッテリーと同じ8%の税率を課している。
 タイでも若者に人気のあるノンアルコールのビールやワイン、カクテルも、一般的なノンアルコール飲料よりも税率は高くなるものの、アルコール飲料より低い税率にすることを考えている。

ファイザー製ワクチン
乳幼児も対象に

 政府は6日の閣議で、国によるファイザー製ワクチン3000万回分の調達計画を修正し、接種対象を生後6か月超5歳未満の乳幼児にまで広げることを決定した。ソーポン・イアムシリターウォン疾病管理局副局長が会見で明らかにした。合わせて調達計画の実施期間を今年9月末までから12月末までに延長することも決めた。
 乳幼児向け接種はワクチンの入荷を待って第4四半期(10~12月)から実施する方針。300万回分を乳幼児向けとする。間隔を空けて3回接種するため、対象者は100万人になる。初回接種から3週間後に2回目を接種し、それから8週間後に3回目を打つ。
 タイでは現在、5歳以上に対してファイザー製の接種が可能となっており、新型コロナ対策本部(CCSA)の発表によれば、8月末現在で、5歳以上12歳未満の子どもは330万3625人が接種を受けている。これは該当する人口の64.1%に相当する。うち242万5430人(47.1%)は2回目の接種も終えている。ファイザーによれば6か月~5歳未満に対するワクチンの用量は成人向けの10分の1。海外の臨床試験での副反応の頻度は5~11歳に対して接種した場合よりも低いという。
 ソーポン副局長は保健省が第2世代のワクチン調達を計画していることも明らかにした。10月にも国立ワクチン研究所と調達について協議する。

最近の更新 2022年09月26日
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