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週刊タイ経済
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3月の自動車生産
13万8331台、23%減
FTI発表

 タイ工業連盟(FTI)自動車部会が4月25日に発表した3月の自動車生産台数は13万8331台で、前年同月を23・08%下回った。国内市場向け生産が大幅に減少したほか、輸出向け生産も減少した。
 スラポン・パイシットパタナポン広報担当によると、金融機関による自動車ローンの絞り込みで国内市場が収縮していることや、経済の低迷、予算執行の遅れという前年から自動車業界を悩ませてきた3大要因に加え、一定の市場を確保したEVもまだ輸入販売が中心で国内生産は本格化していないことが理由。1~3月合計の生産台数は41万4123台で、前年同期比18・45%減。
 3月の乗用車の生産台数は5万2099台で、前年同月比18・39%減。内訳はエンジン車が3万1684台(34・39%減)、バッテリーEVが1226台(2965%増)、プラグイン・ハイブリッド車が606台(29・29%減)、ハイブリッド車が1万8583台(26・84%増)だった。乗用車の生産減は、中国からのEVの輸入が増加し、輸入車の市場シェアが上昇していることが背景にある。バスの生産台数は10台(68・75%減)、トラックは8万6232台(25・66%減)だった。トラックのうち1トン・ピックアップ車(PPVを含む)は8万3210台(26・34%減)だった。ピックアップ車の生産減は国内市場の収縮が影響している。
 3月の輸出向け生産台数は9万1808台で、前年同月比9・09%減。生産台数全体の66・37%を占めた。乗用車の輸出向け生産台数が2万8719台と、前年同月比で10・97%増加した一方、ピックアップ車(PPVを含む)は6万3089台(16・00%減)だった。
 国内市場向け生産台数は4万6523台で、前年同月比41・01%減。乗用車の生産台数は2万3380台で、38・41%減。ピックアップ車(PPVを含む)の生産台数は2万121台で同46・86%減。
 国内新車販売台数は3月に5万6099台となり、前年同月を29・83%下回った。乗用車/SUVは3万894台(22・70%減)で、内訳はエンジン車が1万3390台(48・36%減)、バッテリーEVが4615台(28・38%減)、プラグイン・ハイブリッド車が201台(8・93%減)、ハイブリッド車が1万2688台(70・24%増)だった。ピックアップ車は1万6212台(45・27%減)、PPVは3436台(46・68%減)、5~10トン・トラックは1582台(38・87%減)、その他が3975台(200・45%増)だった。
 一方、3月の輸出台数は9万5089台で、前年同月比3・35%減。
 スラポン氏は会見で、今年後半には、政府支出と企業の投資の増加、観光業の成長によって状況が改善されることを願っていると語った。また第3四半期頃からはEVメーカーの工場の稼働が相次ぐ見通しで、国内で生産されるEVの数は増える。ただしタイの家計債務残高はGDPの90%以上に膨張しており、金融機関は焦げ付きを恐れて、自動車購入希望者への融資に慎重になっており、ピックアップ車の生産減は続きそう。

低環境負荷型工業団地
IETAが東部に開発

 タイ工業団地公団(IEAT)は東部経済回廊(EEC)地域に国内初となる循環型経済工業団地(サーキュラー工業団地)を開発する構想を打ち出した。約5000ライの土地で緑地配分や廃棄物処理システムを重視した工業団地を開発することを想定、今後、国家EEC政策委員会など関連機関と調整を進める。
 IEATのウィリット・アマラパラ総裁によれば、EEC政策委員会のチュラ・スックマノップ事務局長とはすでに協議を始めており、EEC側も関心を示して約1万5000~2万ライの候補地を用意できると回答してきているという。IEATが必要な土地収用費用を拠出する方向で今後、調整していく。
 ウィリット総裁は、中国企業が今年末までに開業予定のラヨン県のスマートパーク工業団地でのEVのサプライチェーン構築やエネルギー事業への投資に関心を示していることを明らかにしている。中国企業は、タイで急成長するEV市場に対応するため、部品工場の設立に加え、エネルギー開発にも進出したい意向を示しており、このほど関心のある中国企業を現地視察旅行に招待した。タイ政府は、タイをEV生産の地域ハブにすることを目標に、世界のEVメーカーを誘致するためのEV普及支援策を実施している。
 ウィリット氏は、マップタプット地区の1383ライの土地に開発中のスマートパーク工業団地に入居する企業には、土地の賃貸料や手数料を1年間免除すると述べている。スマートパーク工業団地開発の現在の進捗率は82%。
 一方、南部地方ではソンクラー県のゴム関連産業専門工業団地「ラバーシティ工業団地」の分譲を加速させるため、3~5%の割引を3月15日~9月30日の期間限定で実施している。割引の条件は15%の頭金支払いと30日以内の残額支払い、3年以内の操業開始、当初9年間の分譲地の転売禁止(個人名で購入し、その後、当該個人が最低20%以上出資する法人名義に変更する場合を除く)などで、これらの条件を満たさなかった場合には割引は取り消され、差額をIEATに支払うことが義務付けられる。ラバーシティは同県ハジャイ郡の1043ライの土地に開発されたもので、工場用地は582ライ。すでに12社が入居して64ライを利用している。入居企業の資本構成はタイ資本が56%、マレーシアが21%、日系が4%などとなっている。

中国の広西柳工機械
タイ重機市場に本格参入

 中国の重機メーカーの広西柳工機械は3月中旬に「LIUGONG One For All Industries」と題したイベントを開催して、タイにおける自社の販売戦略と目標を発表した[=写真]。インフラ工事、鉱山事業、製糖工場の主要3市場で重機のシェア拡大を目指す。
 プリチャーポン・ウェーチャラック部長は、タイの重機市場に本格的に参入する準備が整ったと述べている。ホイールローダー、掘削機、ブルドーザーなど30種類の重機のラインナップを揃えた。動力は石油か電力を選択できる。全国に24か所のサービスセンターと配送センターがあり、コールセンター・チームが24時間サービスを提供している。ホイールローダーではタイで40%のシェアを確保したという。プリチャーポン部長は、競争力のある価格とアフターサービスにより、市場シェアの伸長を確信している。

再生可能エネ発電
発電容量の50%以上に
PDP最新版

 タイ政府が今年第2四半期にも最終決定する電源開発計画(PDP)最新版で、新たに開発する電源に占める再生可能エネ発電の割合を50%以上に増やす可能性が出てきた。エネルギー省エネルギー政策企画事務局のウィーラパット・キアットフアンフー事務局長は、再生可能エネ発電を主力にするよう求める意見に対し、コスト高で電力料金が値上がりする問題を考慮する必要があると指摘しつつも、原案の50%からさらに上積みすることも検討していると明らかにした。
 SET上場の再生可能エネ発電会社であるアブソルート・クリーン・エナジー社のタナチャイ・バンディットウォラプームCEOは、二酸化炭素排出量を削減するために電力部門はもっと努力する必要があると主張している。タイは2050年までに二酸化炭素の排出量と吸収量を均衡させるカーボンニュートラルの達成を約束している。
 エネルギー事業監督委員会(ERC)は、再生可能エネ発電プロジェクトの第1期募集ですでに5・2ギガ㍗を割り当てており、第2期で3・6ギガ㍗を募集する計画。しかしタナチャイ氏は、カーボンニュートラルの目標を達成するには、これら2回のフェーズでの再生可能エネでは不十分だと指摘している。
 PDP改訂版では合計800メガ㍗の2つの原子力発電所の開発を盛り込むが、地元住民やNGOからの強い反対を受ける可能性が高いと見ている。エネルギー当局は、気象条件に左右される太陽光や風力とは異なり、安定した電力を供給できるバイオマス発電所を推進しているが、タナチャイ氏は天然ガスなどの化石燃料によって発電された電力を部分的に置き換えることしかできないと指摘している。
 現在のPDPは2018年に制定され、その後、新型コロナのパンデミックを含む経済社会情勢の変化にともない複数回にわたって改訂してきた。ウィーラパット事務局長は、最新の改訂版について今年第3四半期までに完成するとしている。電力供給を管理するにあたっては、供給の信頼度を示す指標としてLOLEを採用する考えで、余剰発電容量に対する懸念が解消されるとしている。
 LOLEは、1年間に電力供給が実際の需要を満たすことができない期間を推定するもので、エネルギー政策企画事務局はこれを0・7日に定め、供給が需要量を下回る期間が年間で17時間を超えないように管理する。この指標の採用は、供給が安定しない再生可能エネルギー源を増やそうとする政策との親和性が高いという。

奇瑞汽車のEV生産事業
BOIが投資奨励認可

 投資委員会(BOI)事務局は4月22日、中国の奇瑞汽車の投資誘致を発表した。ナリット・トゥードサティラサック事務局長によれば、2年以上の協議を経たもので、今年半ばにもタイでEVを販売する準備を進めている。来年にはタイに生産拠点を設け、タイ国内ならびに右ハンドル仕様国への輸出を開始する。
 同事務局長によれば、奇瑞汽車のEV生産プロジェクトは4月2日のBOI本会議で投資奨励を認可した。11日にはタイ現地法人の幹部がナリット事務局長と会談した[=写真]。奇瑞汽車のタイ現地法人は「OMODA & JAECOO (Thailand)」で、社名の「OMODA」と「JAECOO」は奇瑞の海外販売ブランド。工場はラヨン県に設け、第1フェーズではバッテリーEV(BEV)とハイブリッド車(HEV)を合わせて年間5万台、生産する計画。28年までに第2フェーズで生産能力を8万台に拡張する。
 奇瑞汽車はタイ市場の反応を探るため、同社初のEVであるクロスオーバーSUVの「OMODA C5 EV」を輸入販売する。追ってプレミアム・オフロードSUVモデルの「JAECOO6  EV」、「JAECOO7 PHEV」、「JAECOO8  PHEV」をラインナップに加える計画。ショールームは全国39か所に設ける。
 ナリット事務局長によれば、これまでに中国の大手自動車メーカーによるタイでのEV生産拠点設立の投資プロジェクトは、BYD、MG、長安汽車、GACアイオン、フォトンなど全部で7社を数える。各社がタイを東南アジア地域における右ハンドル車の生産拠点に選んでいる。

最近の更新 2024年05月06日
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