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製造業の9割超が「マイナス」=最低賃金引き上げ、影響大-ジェトロ・バンコク

 日本貿易振興機構(ジェトロ)バンコク事務所は27日、来月1日に実施されるタイの最低賃
金に関する日系企業へのアンケート調査結果(回答企業数117社)を発表した。この中で、営業利益に与える影響を聞いたところ、「マイナスに影響する」と回答した企業は、87社(77.7%)に達し、多数のワーカーを雇用する製造業70社だけで見ると、94.3%に当たる66社がマイナスだと回答していることが分かった。

 同バンコク事務所は、「在タイ日系産業界は最低賃金引き上げを『タイ側が決める問題』と静観してきたが、その影響は少なくない」と指摘。「労務費上昇に耐えられない中小企業や、国際競争力を喪失する懸念がある輸出指向型企業を中心に、事業閉鎖や投資流出が続く懸念がある」と警告を発した。

 タイ政府は、昨年の総選挙で勝利した与党タイ貢献党の公約に基づき、4月からバンコクとその周辺県、南部プーケット県など7県で300バーツ、その他70県では一律40%の引き上げを実施し、13年までに全県で300バーツにすることを決定済み。

 ジェトロは、ドル換算で1日136ドルから190ドルに上昇するバンコクの最低賃金をアジア各都市と比較。バンコクの水準は中国・大連、瀋陽を抜き、北京、上海に肉薄。東南アジアではジャカルタ、マニラを抜き、ハノイやホーチミンの2倍になるという。

 アンケート結果によると、生産・事業コストに占める労務費比率は、製造業では現在の17.9%から22.5%に、非製造業は31.3%から34.7%に上昇。製造業のうち、今後の対応として、「効率化・自動化投資を実施」するとした企業は約6割で、約38%は「人員規模の縮小」を回答。「価格転嫁」を予定する企業は28.8%だったが、洪水被害を受けた電子部品企業は、「洪水に加え、最低賃金の大幅上昇は二重苦。全量輸出のため価格転嫁は難しい」との悲痛な声もあった。

 調査では、洪水被害からの回復についても質問。直接的な被害を受けた企業34社のうち、洪水前の水準を回復した企業は2社に過ぎず、それ以外は依然「復旧途上」。回復のレベルは平均4割にとどまり、最低賃金引き上げのタイミングを遅らすなど、タイ政府への何らかの働き掛けがあってもよかったのではないかとの見方は根強い。


日付 : 2012年03月27日

By : 時事速報

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