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輸出額がプラス成長に戻す 2月の輸出は0・91%増 

 商業省が三月二八日に発表した二月の物品輸出額は190億3880万㌦となり、前年同月を0・91%上回り、一月の同6・0%減から上向いた。バーツ建てで見た輸出額は5971億4560万バーツで、前年同月を4・21%上回った。単月の輸出額が前年同月を上回るのは4か月ぶりとなるもので、当初の予測を上回るペースで回復した。洪水被害を受けた製造業の生産は完全には復旧しておらず、工業製品の輸出は上向いた業種と収縮が続く業種が混在するまだら模様のままだが、予想以上のスピードで復旧している。

 金地金の輸出額を取り除いた輸出額を見ると、輸出の回復はより鮮明になる。二月の金地金を除く輸出額は前年同月比3・2%増を記録しており、一月の9・6%減から顕著に上向いている。国内生産の回復に加え、米国経済に明るい兆しが出るなど世界経済の安定感が増したことが寄与している。二月の工業製品の輸出額は前年同月比4・8%減と引き続き収縮しているが、一月の10・0%減に比べると改善している。工業製品の輸出額は直近の5か月間で最高を記録している。工業製品の輸出額は宝石(金地金を除く)が87・5%増、化粧品が29・8%増、飼料が25・3%増、スポーツ用品・玩具が20・1%増、自動車部品が15%増、ゴム製品が12%増となった。一方でエレクトロニクス製品は10・7%減、電化製品は6・5%減、繊維品は10・2%減となった。

 農産物/アグロインダストリー製品の輸出は4・8%増。タピオカ製品が3・5%増、エビを除く水産品が21・4%増、野菜・果物が7・2%増、鶏肉が23・7%増、砂糖が94・5%増となった。一方でコメの輸出は17・4%減、天然ゴムの輸出は23・3%減となった。

 仕向け地別で見ると、ASEAN新加盟国(4か国)向けが47・4%増、中国向けが3・4%増、中南米向けが16・1%増、中東向けが7・8%増、米国向けが4・0%増を記録した。

 一~二月の輸出額は347億7550万㌦で、前年同期比2・36%減。バーツ建てでは1兆858億5510万バーツで、前年同期比1・1%増となっている。

 一方、二月の輸入額は185億920万㌦で、前年同月比8・25%増となった。バーツ建てでは5874億4535万バーツで、11・76%増。ドル建ての輸入額は一月の4・2%減から上向いた。燃料輸入は原油相場急騰から前年同月比8・0%増と一月の5・4%増に比べて加速した。また資本財の輸入は19・9%増となり、一月の0・5%減から上向いた。輸送機械・同部品の輸入は8・9%増(一月は0・9%増)、消費財も35・4%増(同17・1%増)と加速した。二月にはバーツ相場が1ドル=30・5バーツの水準に上昇しており、バーツ高も輸入の拡大をもたらした。

 一~二月の輸入額は353億7310万㌦で、前年同期を1・94%上回った。バーツ建てでは1兆1175億2350万バーツで、前年同期比5・51%増だった。なお二月の貿易収支は5億2970万㌦の黒字となったが、一~二月の貿易収支は5億9740万㌦の赤字。

 カシコン・リサーチ・センター社(KRC)は、一二年第1四半期の輸出は前年同期比での収縮幅が縮小し、0・5%減になると予測している。一一年第4四半期は4・8%減だった。三月の輸出入動向については、洪水で損傷した機械の代替のための資本財の輸入増に加え、原油高が続いていることで、貿易収支が赤字になる可能性は高い。ただし、これはタイの生産、輸出と経済全体が成長軌道に復帰する過程の現象で、KRCは年央にも貿易収支が黒字基調に回帰するものと楽観している。

 タイ商業会議所のポンサック・アッサクン会頭は、洪水の影響を受けた製造業の大半が第2四半期までに生産を再開するため、それにともない工業製品の輸出も上向くとしている。同会頭は、ほぼ全ての工場が第3四半期までに通常操業に復帰できると述べている。今年の雨季に再度、洪水被害に直面するような事態とならない限り、輸出は二桁増を達成できるとしている。

 商業省の今年の輸出目標は前年比15%増。欧州向けの輸出は欧州経済の悪化から懸念が続くが、米国は一一月に大統領選を迎えることもあり、先々の展望が明るい。またASEANならびにその他アジアの市場も経済が堅調で、輸出拡大のチャンスが大きい。



日付 : 2012年04月02日

By : 週刊タイ経済

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