ユーザー名 パスワード
クイック検索
キーワード

東部地方で水不足 来年の乾季に渇水リスク

 東部水源開発会社(イースト・ウォーター)は七月一六日、来年の乾季に東部地方で渇水の可能性があることを明らかにしている。今年、旱魃で水不足が生じるリスクはないものの、来年に関しては予防手段が必要だと指摘している。ジャルーンスック・ウォラパンソーパック副社長は、当局は十分な給水を約束しているが、3つの貯水池の今年末時点の水量が2億4000万立米を切れば、〇五年のような水不足問題が生じる可能性が出てくると述べている。

 ジャルーンスック副社長によれば、工業用水の原水を供給するイーストウォーターはすでに当局と、来年の乾季における原水安定供給のための準備を開始している。ラヨン県内にあるクロンヤイ、ドーククライ、ノンプラーライの3つの貯水池の水量は現時点で1億3740万立米で、貯水能力の49・9%。チョンブリ県のバンプラ、ノンコーの2つの貯水池の水量は7112万立米で、貯水量の51・4%となっている。

 イーストウォーターの事業区域における工業用水の需要は、〇五年時点で1億9000万立米だったのが、現在は2億9200万立米へと30%増加している。10年後には需要は4億2000万立米まで増加すると見積もられている。〇五年当時に比べて需要が増加しているため、原水の供給量が〇五年と同じレベルになったとしても水不足は〇五年よりも深刻なものになる。

 水の年間消費量は全国で7億5600万立米で、農業セクターの消費量が全体のおよそ40%を占め、以下、工業の38%、家庭の12%、環境保全の10%が続く。しかしラヨン県では工業セクターの消費量が全体の60%、チョンブリ県でも40%を占めている。農業セクターの水は潅漑局が管轄している。

 イーストウォーターは水需要の増加に対応するため、一部の貯水池でのポンプ増設で供給量を増やしている。また水不足を防止するためにラヨンからチョンブリに日量5万立米の水を送っているほか、プラセー貯水池からクロンヤイ貯水池への日量23万立米の引水、水の再利用、新たな水源の確保、海水の真水化などにも取り組んでいく。タイ工業連盟(FTI)は東部地区で〇五年のような渇水が生じれば、農業セクターで76億バーツ、工業セクターで3000億バーツ以上の被害が生じると試算している。

 FTIの持続可能な用水管理研究所のティーラサック・パドンタントラクン副理事長は、ラヨン県の貯水池の水位を監視しているが、状況はあまり良くないと述べている。ティーラサック氏は不吉な合図の一つはこの雨期の降雨量が前年を下回っていることで、局地的な集中豪雨も貯水池よりも川下で生じていると述べている。また水不足が顕在化した場合には灌漑局に農業用水を分けてもらうことも考えているとしている。


日付 : 2012年07月23日

By : 週刊タイ経済

登録