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シルフィをタイで生産・販売

 日産自動車タイランドは八月三〇日、コンパクトセダン「シルフィ」を発表した。今年初めに中国の北京でのオートショーで初公開した日産の世界戦略車の一つで、タイで生産する。タイではこれまで「ティーダ」を生産していたが、シルフィが後継モデルになる。

 タイはシルフィの地域生産ベースとして機能し、タイ国内販売に次いで中東、オーストラリア向けにタイで生産するシルフィを輸出する計画。シルフィは、このセグメントでは初めてデュアル噴射の新開発エンジンを搭載している。エンジンは1・8㍑と1・6㍑の2タイプ。日産タイの木村隆之社長は、コンパクトカー・セグメントは競争が激しく、非常に強力なプレーヤーもいるが、二〇一二年度(一三年三月期末)の販売目標は2万台に設定したと説明している。シルフィの販売価格は1・6㍑タイプで74万6000~83万3000バーツ、1・8㍑タイプで89万9000~93万1000バーツ。トヨタの「カローラ」、ホンダの「シビック」の対抗車種となるもので、室内空間の広さと騒音が極めて低いことをアピールしている。

 日産自動車タイは、二〇一一年七月に発表した新中期経営計画「パワーアップ2016」で商品ラインアップの拡充と10車種の新車投入によって商品力を強化し、タイでの一六年度の市場シェアを一〇年度の7・4%から2倍以上に引き上げる目標を掲げている。この計画発表後に投入した最初のモデルはタイ政府が独自に規格するエコカーの標準を満たした「アルメーラ」で、シルフィは2番目のモデルとなる。〇九年時点で日産のシェアはわずか5・7%に過ぎなかったが、一一年には9・2%の市場シェアを達成している。日産自動車の志賀俊之COO(最高執行責任者)は同日にバンコクで開いた記者会見で、一六年時点でのシェア15%の達成を確信していると述べている。

 日産は、エコカーをタイでいち早く生産・販売し、エコカー・セグメントで首位をいく。一〇年三月に発売した新型マーチがタイの消費者に人気で、日産第2のエコカーのアルメーラも売れている。木村社長によれば、日産のタイでのエコカーの累計販売台数はこの八月に10万台を突破した。

 日産タイの今年上半期の販売台数は5万1482台で、前年同期比40・3%増を記録している。今年通年では12万台の販売を見込んでおり、実現すれば市場シェアは2桁に乗りそう。

 日産タイは、販売網拡充も急いでおり、ショールームの数は来年までに現在の171か所から210か所に拡張する。

 日産タイの木村社長は設備増強を検討していることも明らかにしている。日産のバンナー・トラート通りにある工場の生産能力は22万台。三菱自動車タイランドとの業務提携で1トン・ピックアップ車の年間4万台の生産ラインは外し、三菱自のレムチャバン工場に生産委託しており、自社工場では乗用車のみを生産しているが、国内外の需要増から早晩、手狭になることは目に見えている。日産本社の志賀COOは、日本で販売するすべてのモデルを日本で生産することは不可能で、タイで生産して日本に輸入するモデルが増える可能性があると述べている。


日付 : 2012年09月03日

By : 週刊タイ経済

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