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アマタ、304工業団地 土地分譲面積が過去最高に

 工業団地運営のSET上場企業、アマタ・コーポレーションは、タイ企業と外資系企業の双方での工場用地の旺盛な需要を受け、一二年通年の土地分譲目標を3000ライから3500ライに上方修正した。ウィブン・クロマディットCOOによれば、上半期だけで約2000ライを分譲しており、さらに800ライが契約調印を残すのみとなっている。

 顧客の多くは自動車、アグロ、消費財で、日系企業の割合が大きい。自動車メーカーの生産増強を受け、日系部品メーカーの進出も後を絶たない。領土問題をめぐる日中の政治緊張と、中国での反日デモは日系企業に中国リスクを実感させるものになっており、ウィブンCOOは日本企業の投資先としてのタイの魅力がアップすることを期待している。また中国も米欧との貿易摩擦を避けるため、アジア諸国への生産の再配置を進めている。中国の賃金は上昇し、生産コストが増大している。

 一方、タイ国内での投資は、チャオプラヤ川沿いの洪水リスク・エリアから、より安全でロジスティックにも便利で、原料調達先にも近い東部地域へとシフトし始めている。ラヨン県とチョンブリ県のアマタシティ工業団地とアマタナコン工業団地は2800ライの造成済み用地があるほか、造成待ちの1万1000ライの土地がある。アマタは入居企業の増加にともない電力や水の供給能力を増強するための投資も増やすことにしている。九月にはアマタナコン工業団地で出力130メガワットのSPP発電所が運転を開始しており、一三年にはアマタシティ工業団地でも2つの発電所が運転を開始する見込み。

 プラチンブリ県にある304工業団地の土地分譲も好調だ。昨年の大洪水の発生で、水に強い立地が重視されるようになったことが追い風になっている。プーンサック・スタンタウィブン副社長は、今年の土地分譲面積が1000ライを超える見通しにあることを明らかにしている。過去の年間平均の分譲面積は300ライ程度となっているため、今年はその3倍の勢いになっている。

 今年に入ってから304工業団地に工場用地を求めたのは東芝、キヤノン、日立など大半が新規の顧客。304工業団地は海抜20㍍に位置し、洪水に強いため、第4四半期には土地分譲がさらに勢いを増すと見ている。一三年も1000ライ以上の分譲を計画している。304工業団地は1万4000ライの敷地があり、これまでに5800ライを造成済み。100以上の工場が進出しており、多くは電機、自動車関連の日系企業となっている。

 304工業団地の運営会社と同系列の発電事業会社、ナショナル・パワー・サプライ社は304工業団地で2つのバイオマス発電所建設を計画している。発電容量は223メガワット。パルプ生産の副産物を燃料に使う。また系列の製紙会社、ダブルA(1991)社は60億バーツを投じて第3工場を建設する計画。新工場の年産能力は20万㌧。3工場全体で80万㌧となる。

 304工業団地はベトナム、ミャンマー、バングラデシュを含む海外進出機会を調査している。バングラデシュは1億5000万人の人口を有し、賃金も安いため、有望と見ている。

 一方、ロジャナ工業団地運営のSET上場企業、ロジャナ・インダストリアル・パーク社(ROJNA)は、ラヨン県とプラチンブリ県の2工業団地の分譲が好調なことから、今年通年の工場用地の分譲目標を50%引き上げて1500ライとする考えだ。同社の主力で最初の工業団地であるアユタヤ県のロジャナ工業団地は昨年の大洪水で冠水しているが、同工業団地は海水面から高さ6㍍のコンクリート製の輪中堤で防水機能を強化している。大量の良質な水が確保できることからアユタヤの同団地の需要も回復すると期待している。ラヨン県プルアクデーン郡にあるロジャナ工業団地は2000ライの敷地で、600ライは分譲予約済み。


日付 : 2012年10月15日

By : 週刊タイ経済

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