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タイ国トヨタ自動車 設立50周年記念式典を開催

 トヨタ自動車のタイにおける販売・生産会社であるタイ国トヨタ自動車は、設立50周年を記念し、一一月八日にバンコクで記念式典を開催した。式典には来賓としてキッティラット・ナ・ラノーン副首相兼財務相をはじめ、政府関係者、サプライヤー、ディーラー、現地関係者などが出席、またトヨタ本社からは豊田章男社長、タイ国トヨタから棚田京一社長など、約1800人が出席した。

 式典において豊田社長は、トヨタがタイの人々と手を取り合いながら、通貨危機や洪水といった多くの苦難を乗り越えてきたことを強調するとともに、トヨタ・グループ一丸となって、今後もタイの発展のため精一杯努力していきたいと、感謝の意と抱負を表明した。

 豊田社長はまた、一三年にタイで新コンパクトカーの生産を開始し、タイでの販売に加え、グローバルに供給する計画であることを明らかにした。新モデルは来年三月に開催されるバンコク・インターナショナル・モーターショーでの発表を予定している。新モデルはタイ政府が独自に規格するエコカーではなく、エコカーの標準を満たした新モデルは来年第3四半期の発売を予定している。エコカーは、すでに日産、ホンダ、三菱、スズキがタイで生産・販売を手がけており、トヨタの参入で、来年中にはエコカー生産で投資委員会(BOI)の認可を受けた各社のモデルが出揃うことになる。

 豊田社長は、近い将来、タイでの生産規模は年間100万台レベルまで引き上げていきたいと述べている。現在、タイ国トヨタは、サムロン工場、ゲートウェイ工場、バンポー工場の3工場を擁し、生産能力はそれぞれ23万台、22万台、22万台となっている。サムロン工場では1トン・ピックアップのハイラックスを生産し、ゲートウェイ工場では乗用車のカムリ、カムリHV、プリウス、ヴィオス、カローラ、ヤリスを生産、バンポー工場ではハイラックスとフォーチュナーを生産している。一一年の生産実績は50万8000台だった。

 タイ国トヨタの棚田京一社長は、今年のタイの国内新車販売台数が最終的に140万台に達するとの見通しを示している。トヨタの販売台数は50万台を上回りそう。またタイ全体での自動車の生産台数は230万台に達する見通しで、トヨタの生産台数は88万台に達する見込みになっている。

 タイ国トヨタは設立50年に際し、さらなるタイでの人材育成の強化を目指し、王立学校であるチットラダー・スクールに自動車技術の専門学科を新設するために協力することも決定した。

タイ国トヨタは一九六二年設立。一九六四年にサムロン工場で「ダイナ」「コロナ」の組み立てを開始し、一九九六年に乗用車生産を行なうゲートウェイ工場の稼働を開始した。〇四年には世界戦略車IMV(Innovative International Multi-purpose Vehicle)プロジェクトとして1トン・ピックアップ・トラックのハイラックスと派生車種の生産をサムロン工場で開始した。その後、〇七年にはバンポー工場を立ち上げ、IMVのグローバル生産供給拠点の一つとして大きな役割を担っており、約100か国・地域へ供給している。

 一方、一〇日にはトヨタ自動車ならびにトヨタ車体、豊田通商、アイシン精機、デンソー、ダイハツ工業(株)のグループ6社は、今後のインドネシアの自動車産業発展に向けた、さらなる活動の強化を発表した。トヨタ・グループは、一九七〇年代より40年以上にわたって、インドネシアでの自動車ビジネスに取り組んできた。ここに来てインドネシアの自動車市場が著しく成長していることから、グループの総力を挙げてインドネシア事業を加速させていく考え。

トヨタはインドネシア市場の拡大に伴う今後の需要増への対応と、さらなる現地調達推進のため、カラワン工場近くにエンジン工場建設を目的とした150へクタールの新工場用地取得を決定した。また世界戦略車のIMVの生産を強化するため、一三年九月を目途に、カラワン第1工場の生産能力を11万台から13万台に増強する。あわせて、新たに約190人を新規に雇用する。

トヨタ車体は、ブガシ県にある「スギティー・クリエイティブス」の工場において、一二年一二月より車両生産を開始する。スギティー・クリエイティブスは九五年にトヨタ車体、インドネシア・トヨタ自動車、豊田通商の合弁で設立した自動車及び部品の製造販売会社。ダイハツはジャカルタ北部のスンター工場(一九九二年稼働開始)に続く、2か所目の生産拠点として、一二年一〇月よりカラワン工場の操業を開始した。年内には同敷地内に、海外2か所目となるテストコースとデザインセンターの建設も開始する。豊田通商、アイシン精機、デンソーも、インドネシアの裾野産業発展のため、これまでの活動を一層強化する。

トヨタ・グループは、トヨタ、ダイハツがインドネシアで完成車生産を行なっており、今後はトヨタ車体を含めた3社で顧客のニーズに合致したクルマづくりを進めていく。またアイシン精機、デンソー、豊田通商は、部品の生産・流通を通じ、裾野産業の育成に貢献している。グループ一体となった取り組みにより、主要モデルの現調率は約75%にまで達しているが、今後も引き続き現調率を高める取り組みを進めていく。

トヨタ・グループ6社の、インドネシアでの40年以上にわたる累計投資額は約27兆ルピアに達する。現在の総雇用人数は約3万2000人にのぼる。今後5年内にトヨタ・グループ6社でさらに約13兆ルピアを投資し、雇用人数を約4万1000人まで増やすことを目指す。

 トヨタ自動車の豊田章男社長は、インドネシアならびに東南アジアは、その大きな人口、安定している政局と経済を背景に、トヨタにとって重要な地域だと述べている。豊田社長は、トヨタ車体の網岡卓二社長、豊田通商の加留部淳社長、アイシン精機の藤森文雄社長、デンソーの加藤宣明社長、ダイハツ工業の伊奈功一社長とともに一〇日にインドネシアのユドヨノ大統領と会談し、インドネシアの自動車産業発展に向けたさらなる活動強化に取り組む考えを改めて表明した。


日付 : 2012年11月19日

By : 週刊タイ経済

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