最低賃金大幅改定の影響軽減 財政・金融措置を閣議決定
政府は一月八日、最低賃金改定による影響軽減と中小事業者の能力強化における財政・金融措置の原則を承認した。キティラット・ナ・ラノーン副首相兼財務相が明らかにしたところによれば、この日の閣議では関連する国税法典に基づく勅令4案と財務省令1案を承認した。
財務省の措置は、労働省がまとめた最低賃金改定による影響軽減と中小事業者の能力強化措置を実際に運用するためのもの。労働省は16の措置をまとめ、同日の閣議で承認された。16の措置は、①信用供与を通じた資金繰り強化と金融コスト低減措置、②税と拠出金を通じた事業者のコスト低減措置、③事業者の労働生産性向上措置、④政府部門の経費見直しによる事業者の収入増加措置、⑤消費を通じた販売刺激・振興措置の5分野に分類される。
信用供与を通じた資金繰り強化と金融コスト低減措置では、社会保障基金が100億バーツの原資を提供し、5つの銀行を通じて実施する低利融資を一三年一二月末まで1年間延長するほか、財務省が200億バーツの生産性向上支援融資を一五年末まで延長する。また第5期のポートフォリオ・ギャランティ形態による信用保証、新規事業者向けポートフォリオ・ギャランティ制度を導入する。
税と拠出金を通じた事業者のコスト低減措置では、一三年の社会保険の保険料を被保険者の月給の5%から4%に引き下げるほか、財務省は法人所得税率を20%に引き下げる。また中小企業の法人所得税免除枠も増やした。財務省は、一二年比での賃金の上昇分について、1・5倍を損金計上できる措置を導入するほか、二〇〇二年労働技能開発振興法に基づく労働技能開発訓練の費用について実際の費用の2倍を費用計上できるようにする。財務省は生産効率向上のための機械更新における税制措置も1年間延長する。機械減価償却費を初年度に100%計上できる措置も1年間延長する。中小企業による役務発注費などにかかる源泉税率も引き下げる。民間部門は3%から0・01%への引き下げを求めていたが、2%への引き下げにとどめることとした。このほかホテル事業者から国が徴収する手数料も3年間にわたって引き下げる。
事業者の労働生産性向上措置では労働技能開発基金からの金利0・1%での低利融資の期間を延長するほか、移動労働技能開発クリニックのプログラムを導入する。政府部門の経費見直しによる事業者の収入増加措置では、政府機関がホテルなどで開催するセミナーや会議の経費増を認める。消費を通じた販売刺激・振興措置では商業省が消費財の廉価販売の青旗プログラムを強化する。
パドゥムチャイ・サソムサップ労相は、社会保障事務局のデータによれば、一三年一月一日に最低賃金が300バーツに引き上げられて以降、2500人の労働者が解雇されていると報告している。一方、キティラット副首相は、中小企業の所得税の非課税枠を純利益の15万バーツから30万バーツに引き上げる措置で、約21万社の中小企業がこの措置の恩恵を受けると説明している。金融支援措置では8万社の中小企業が資金にアクセスできるようになり、結果として32万人の雇用が新たに創出されると試算した。
ただし民間企業部門の評価は低く、タイ商業会議所(TCC)のプーミン・ハリンスット副会頭は、労働省がまとめた16の措置では不十分だと指摘している。
日付 : 2013年01月14日
By : 週刊タイ経済
財務省の措置は、労働省がまとめた最低賃金改定による影響軽減と中小事業者の能力強化措置を実際に運用するためのもの。労働省は16の措置をまとめ、同日の閣議で承認された。16の措置は、①信用供与を通じた資金繰り強化と金融コスト低減措置、②税と拠出金を通じた事業者のコスト低減措置、③事業者の労働生産性向上措置、④政府部門の経費見直しによる事業者の収入増加措置、⑤消費を通じた販売刺激・振興措置の5分野に分類される。
信用供与を通じた資金繰り強化と金融コスト低減措置では、社会保障基金が100億バーツの原資を提供し、5つの銀行を通じて実施する低利融資を一三年一二月末まで1年間延長するほか、財務省が200億バーツの生産性向上支援融資を一五年末まで延長する。また第5期のポートフォリオ・ギャランティ形態による信用保証、新規事業者向けポートフォリオ・ギャランティ制度を導入する。
税と拠出金を通じた事業者のコスト低減措置では、一三年の社会保険の保険料を被保険者の月給の5%から4%に引き下げるほか、財務省は法人所得税率を20%に引き下げる。また中小企業の法人所得税免除枠も増やした。財務省は、一二年比での賃金の上昇分について、1・5倍を損金計上できる措置を導入するほか、二〇〇二年労働技能開発振興法に基づく労働技能開発訓練の費用について実際の費用の2倍を費用計上できるようにする。財務省は生産効率向上のための機械更新における税制措置も1年間延長する。機械減価償却費を初年度に100%計上できる措置も1年間延長する。中小企業による役務発注費などにかかる源泉税率も引き下げる。民間部門は3%から0・01%への引き下げを求めていたが、2%への引き下げにとどめることとした。このほかホテル事業者から国が徴収する手数料も3年間にわたって引き下げる。
事業者の労働生産性向上措置では労働技能開発基金からの金利0・1%での低利融資の期間を延長するほか、移動労働技能開発クリニックのプログラムを導入する。政府部門の経費見直しによる事業者の収入増加措置では、政府機関がホテルなどで開催するセミナーや会議の経費増を認める。消費を通じた販売刺激・振興措置では商業省が消費財の廉価販売の青旗プログラムを強化する。
パドゥムチャイ・サソムサップ労相は、社会保障事務局のデータによれば、一三年一月一日に最低賃金が300バーツに引き上げられて以降、2500人の労働者が解雇されていると報告している。一方、キティラット副首相は、中小企業の所得税の非課税枠を純利益の15万バーツから30万バーツに引き上げる措置で、約21万社の中小企業がこの措置の恩恵を受けると説明している。金融支援措置では8万社の中小企業が資金にアクセスできるようになり、結果として32万人の雇用が新たに創出されると試算した。
ただし民間企業部門の評価は低く、タイ商業会議所(TCC)のプーミン・ハリンスット副会頭は、労働省がまとめた16の措置では不十分だと指摘している。
日付 : 2013年01月14日
By : 週刊タイ経済