二〇一三年のタイの自動車工業 生産台数は前年比増が続く見通し
タイの自動車業界は二〇一三年も明るい展望を期待している。国内市場は、初めての新車購入に対する税還付スキームによる好況が今しばらく続くものの、下半期には反動減も見込まれる。しかし外需は好調が続く見通しで、全体として自動車の生産台数は増えると予想されている。
一二年のタイ国内の新車販売台数は前年比7割増となる140万台に達したもよう。一一年終わりの大洪水の発生で、一一年最終四半期に新車購入を予定していた者が、購入決定を一二年に先延ばししたことに加え、新車スキームが新車需要を刺激した。国内市場の急拡大を受け、自動車各社は輸出向け生産をある程度犠牲にして、国内向け生産を強化した。一三年は各社が輸出向け生産の能力を元に戻すものと見られる。また自動車・同部品工業は一二年だけで1000億バーツを超える設備投資を実施しており、自動車の生産能力も増強されている。
タイ工業連盟(FTI)自動車部会は、一三年のタイの自動車生産台数が250万台に達すると予測している。国内市場は130~140万台と前年並みか、前年比マイナスになるが、スパラット・シースワンナンクン部会長は、一二年に国内市場向け供給のために輸出を抑制したことを考えれば、輸出市場を維持するだけでも年間250万台の自動車生産台数の達成は難しいことではないと述べている。
タイに生産拠点を持つ主要メーカーはタイを輸出拠点としても活用している。タイの自動車輸出は約32%がアジア、26%がオセアニア、20%が中南米、7%が欧州、3%がアフリカとなっている。
タイ国トヨタ自動車のウィチアン・イムプラサートスック副社長は、一三年のタイ国内市場について140万台を下らないとの見方を示している。トヨタは一二年の50万台を下回らない販売台数を目標に掲げている。トヨタのタイ国内3か所の工場は現在、2直体制でフル稼働している。タイ工場は自動車1台の生産に要する時間が56秒と、世界中のトヨタの工場と比較しても最も効率に優れている。トヨタはタイ国内の新車需要はまだまだ大きいため、受注残も考慮すれば一二年の国内市場は前年並みか微増が見込まれるとしている。トヨタは一三年も新モデルを投入する計画がある。トヨタは国内向けと輸出向けを合わせて年間100万台の生産を目指している。
トリペッチいすゞセールス社のパナッダー・ジェーンナワシン副社長は、一二年の新車市場が前年比5~10%減になると予測しているが、一二年の新車市場が各種の支援材料による膨張していたことを考えれば、満足のいく水準になるとした。世界経済の先行きも不透明な部分が依然として残り、中国経済の減速が続けば、輸出依存度の高いタイの経済にも悪影響が及び、その衝撃は新車市場にも及ぶことになる。いすゞは、国内市場の収縮を見込んで、生産比率を国内60%、輸出40%から国内50%、輸出50%に調整することにしている。
ホンダ・オートモービル(タイランド)社のピタック・プリティサーリコン上級副社長は、二〇一三年のホンダの四輪車販売台数について、一二年と等しい約17万台を見込んでいることを明らかにしている。タイの新車販売台数は一一年に79万4081台にとどまったが、一二年は約140万台に達したもよう。新車スキームが国内市場の拡大に大きく寄与したが、需要を先食いした部分があるため、ホンダは一三年のタイ全体の新車市場は120万台に減少すると見ている。ホンダの一一年の販売台数は8万3952台。一二年は、ロジャナ工場の復旧作業が進められていた最初の四半期こそ販売台数が落ち込んだが、三月末の再稼動後は、供給体制の回復にともない販売台数の伸びも加速した。ホンダの新車販売台数は一~一一月で15万745台、前年同期比84・4%増を記録している。
ピタック氏によれば、ホンダは約10億バーツの投資で生産能力の増強を進めており、一三年第1四半期中に完成見通し。一三年には販売サービスセンターの数も現在の165か所から200か所に増やす。
ピタック副社長は、販売を最大化するために多種多様な販売のプロモーションを展開すると述べている。ピタック氏は、一二年から持ち越す受注残は、一部メーカーの一部車種を除き、上半期中に解消されると指摘。下半期はメーカー間の販売競争が激化すると見ている。受注残の多くは、新車スキーム分になっており、納車時期の遅れは大きな問題にならないと見ている。購入予約した者の多くは、新車スキームの締め切りのため駆け込み予約したもので、多くの顧客は状況を理解しているほか、今すぐに納車を求めているわけではないと説明している。ホンダの受注残は10万台規模に達しており、解消には半年かかる見通しとなっている。
三菱自動車タイランドの村橋庸元社長は、一二年はタイの自動車業界にとって黄金年になったが、一三年に大きな反動に直面する兆しはないとしている。村橋社長は、市場はまだ活況が続いていると述べている。村橋社長は、一三年には政府の政策による刺激がなくなるため、自動車市場は正常に戻り、自動車を本当に欲しい人のための市場になると指摘。燃費に優れ、価格も手頃なエコカー・セグメントは人気が続くと予測している。三菱自動車の一三年の販売目標は12万台。
日付 : 2013年01月14日
By : 週刊タイ経済
一二年のタイ国内の新車販売台数は前年比7割増となる140万台に達したもよう。一一年終わりの大洪水の発生で、一一年最終四半期に新車購入を予定していた者が、購入決定を一二年に先延ばししたことに加え、新車スキームが新車需要を刺激した。国内市場の急拡大を受け、自動車各社は輸出向け生産をある程度犠牲にして、国内向け生産を強化した。一三年は各社が輸出向け生産の能力を元に戻すものと見られる。また自動車・同部品工業は一二年だけで1000億バーツを超える設備投資を実施しており、自動車の生産能力も増強されている。
タイ工業連盟(FTI)自動車部会は、一三年のタイの自動車生産台数が250万台に達すると予測している。国内市場は130~140万台と前年並みか、前年比マイナスになるが、スパラット・シースワンナンクン部会長は、一二年に国内市場向け供給のために輸出を抑制したことを考えれば、輸出市場を維持するだけでも年間250万台の自動車生産台数の達成は難しいことではないと述べている。
タイに生産拠点を持つ主要メーカーはタイを輸出拠点としても活用している。タイの自動車輸出は約32%がアジア、26%がオセアニア、20%が中南米、7%が欧州、3%がアフリカとなっている。
タイ国トヨタ自動車のウィチアン・イムプラサートスック副社長は、一三年のタイ国内市場について140万台を下らないとの見方を示している。トヨタは一二年の50万台を下回らない販売台数を目標に掲げている。トヨタのタイ国内3か所の工場は現在、2直体制でフル稼働している。タイ工場は自動車1台の生産に要する時間が56秒と、世界中のトヨタの工場と比較しても最も効率に優れている。トヨタはタイ国内の新車需要はまだまだ大きいため、受注残も考慮すれば一二年の国内市場は前年並みか微増が見込まれるとしている。トヨタは一三年も新モデルを投入する計画がある。トヨタは国内向けと輸出向けを合わせて年間100万台の生産を目指している。
トリペッチいすゞセールス社のパナッダー・ジェーンナワシン副社長は、一二年の新車市場が前年比5~10%減になると予測しているが、一二年の新車市場が各種の支援材料による膨張していたことを考えれば、満足のいく水準になるとした。世界経済の先行きも不透明な部分が依然として残り、中国経済の減速が続けば、輸出依存度の高いタイの経済にも悪影響が及び、その衝撃は新車市場にも及ぶことになる。いすゞは、国内市場の収縮を見込んで、生産比率を国内60%、輸出40%から国内50%、輸出50%に調整することにしている。
ホンダ・オートモービル(タイランド)社のピタック・プリティサーリコン上級副社長は、二〇一三年のホンダの四輪車販売台数について、一二年と等しい約17万台を見込んでいることを明らかにしている。タイの新車販売台数は一一年に79万4081台にとどまったが、一二年は約140万台に達したもよう。新車スキームが国内市場の拡大に大きく寄与したが、需要を先食いした部分があるため、ホンダは一三年のタイ全体の新車市場は120万台に減少すると見ている。ホンダの一一年の販売台数は8万3952台。一二年は、ロジャナ工場の復旧作業が進められていた最初の四半期こそ販売台数が落ち込んだが、三月末の再稼動後は、供給体制の回復にともない販売台数の伸びも加速した。ホンダの新車販売台数は一~一一月で15万745台、前年同期比84・4%増を記録している。
ピタック氏によれば、ホンダは約10億バーツの投資で生産能力の増強を進めており、一三年第1四半期中に完成見通し。一三年には販売サービスセンターの数も現在の165か所から200か所に増やす。
ピタック副社長は、販売を最大化するために多種多様な販売のプロモーションを展開すると述べている。ピタック氏は、一二年から持ち越す受注残は、一部メーカーの一部車種を除き、上半期中に解消されると指摘。下半期はメーカー間の販売競争が激化すると見ている。受注残の多くは、新車スキーム分になっており、納車時期の遅れは大きな問題にならないと見ている。購入予約した者の多くは、新車スキームの締め切りのため駆け込み予約したもので、多くの顧客は状況を理解しているほか、今すぐに納車を求めているわけではないと説明している。ホンダの受注残は10万台規模に達しており、解消には半年かかる見通しとなっている。
三菱自動車タイランドの村橋庸元社長は、一二年はタイの自動車業界にとって黄金年になったが、一三年に大きな反動に直面する兆しはないとしている。村橋社長は、市場はまだ活況が続いていると述べている。村橋社長は、一三年には政府の政策による刺激がなくなるため、自動車市場は正常に戻り、自動車を本当に欲しい人のための市場になると指摘。燃費に優れ、価格も手頃なエコカー・セグメントは人気が続くと予測している。三菱自動車の一三年の販売目標は12万台。
日付 : 2013年01月14日
By : 週刊タイ経済