タイで省エネ実証プロジェクト NEDOが2件を実施
日本の独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、一月一一日、タイで実施している2件の省エネ実証事業の設備が完成したことを明らかにした。一月一六、一七日にそれぞれ竣工式を行ない、タイにおけるNEDOの新たな取り組みが本格的にスタートした。
タイなどの新興国では急激な経済発展に伴いエネルギー需要が増加する一方で、その有効利用技術の導入が遅れており、過度なエネルギー消費や環境問題を引き起こす一因となっている。NEDOはこれらの問題を解決すべく、東南アジア各国の政府と協力し、日本が所有する省エネルギー・再生可能エネルギー技術の実証プロジェクトを現地で実施、同技術の有効性などを示すことで、エネルギー・環境問題解決の一助とするだけでなく、国際展開や普及拡大を図っている。
NEDOはタイにおいて、民生ビルの省エネ実証事業(委託先は中国電力)をバンコク市内のアマリ・ウオーターゲート・ホテルにおいて実施しており、この度、設備が完成した。この技術は、既設の空調などのビル内設備を日本の最新技術に置き換えることで15%程度の省エネ効果を見込んでいる。この事業を足がかりに、東南アジアの民生ビルにおける省エネ技術の普及を目指す。
タイの商業エネルギー消費は〇三年から〇八年までの5年間で約20%増加しており、特に民生(業務)分野では39%と高い伸びを示している。こうしたエネルギー消費の増加もあってタイの商業エネルギー供給は約60%を輸入に依存する状態になっている。そこで、NEDOはタイの民生施設を対象に、同分野の省エネルギーに貢献することを目的に、日本の保有する省エネルギー設備と技術を組合せた省エネルギーモデル事業を実証している。将来的にはESCO事業に代表される省エネルギーサービスの普及も考えている。アマリ・ウォーターゲート・ホテルを選定し、高効率機器の導入、インバータを活用した搬送動力削減など省エネルギー技術の導入、ヒートポンプなど再生可能エネルギーの活用やBEMS(Building Energy Management System)の導入によるエネルギー管理・運用の最適化など、各種の省エネルギー対策を適用することにより省エネルギーを実現し、温室効果ガス削減を図る。一三年三月まで実証試験によるデータの評価、検証を行なう予定。また実証事業終了後は、タイ政府機関などと協力して、省エネ診断などによるPR活動を行なうことにしている。
またNEDOは、タイにおいて「民生用水和物スラリー蓄熱空調システムモデル事業」(委託先はJFEエンジニアリング)をタイ発電公団で実施しており、このほど設備が完成した。水蓄熱、氷蓄熱等の既存技術に対し、蓄熱量に優れたTBAB(テトラブチルアンモニア)を利用する新たな冷媒として開発された水和物スラリーを使用した空調用蓄熱システムで、タイにおいて初めて導入された。
NEDOとタイのエネルギー省とで基本協定書を締結しスタートした事業で、それぞれ委託されたJFEエンジニアリングとEGATが実証試験を実施している。水和物スラリー蓄熱空調システムは、〇一~〇三年度にNEDOとJFEエンジニアリングとの共同研究として実施した「水和物スラリー空調システムの研究開発」の研究成果。TBABは水の約2倍以上の冷熱密度を持つため、蓄熱槽スペースの半減が可能になる一方、融点が高いため氷蓄熱よりも蓄熱時のエネルギー効率が高く、水と氷両方の特長を併せ持った先進的な蓄熱材。夜間蓄熱運転時には氷よりも高い温度域での冷凍機定格運転になるため、エネルギー消費効率向上が図れる。
日付 : 2013年01月21日
By : 週刊タイ経済
タイなどの新興国では急激な経済発展に伴いエネルギー需要が増加する一方で、その有効利用技術の導入が遅れており、過度なエネルギー消費や環境問題を引き起こす一因となっている。NEDOはこれらの問題を解決すべく、東南アジア各国の政府と協力し、日本が所有する省エネルギー・再生可能エネルギー技術の実証プロジェクトを現地で実施、同技術の有効性などを示すことで、エネルギー・環境問題解決の一助とするだけでなく、国際展開や普及拡大を図っている。
NEDOはタイにおいて、民生ビルの省エネ実証事業(委託先は中国電力)をバンコク市内のアマリ・ウオーターゲート・ホテルにおいて実施しており、この度、設備が完成した。この技術は、既設の空調などのビル内設備を日本の最新技術に置き換えることで15%程度の省エネ効果を見込んでいる。この事業を足がかりに、東南アジアの民生ビルにおける省エネ技術の普及を目指す。
タイの商業エネルギー消費は〇三年から〇八年までの5年間で約20%増加しており、特に民生(業務)分野では39%と高い伸びを示している。こうしたエネルギー消費の増加もあってタイの商業エネルギー供給は約60%を輸入に依存する状態になっている。そこで、NEDOはタイの民生施設を対象に、同分野の省エネルギーに貢献することを目的に、日本の保有する省エネルギー設備と技術を組合せた省エネルギーモデル事業を実証している。将来的にはESCO事業に代表される省エネルギーサービスの普及も考えている。アマリ・ウォーターゲート・ホテルを選定し、高効率機器の導入、インバータを活用した搬送動力削減など省エネルギー技術の導入、ヒートポンプなど再生可能エネルギーの活用やBEMS(Building Energy Management System)の導入によるエネルギー管理・運用の最適化など、各種の省エネルギー対策を適用することにより省エネルギーを実現し、温室効果ガス削減を図る。一三年三月まで実証試験によるデータの評価、検証を行なう予定。また実証事業終了後は、タイ政府機関などと協力して、省エネ診断などによるPR活動を行なうことにしている。
またNEDOは、タイにおいて「民生用水和物スラリー蓄熱空調システムモデル事業」(委託先はJFEエンジニアリング)をタイ発電公団で実施しており、このほど設備が完成した。水蓄熱、氷蓄熱等の既存技術に対し、蓄熱量に優れたTBAB(テトラブチルアンモニア)を利用する新たな冷媒として開発された水和物スラリーを使用した空調用蓄熱システムで、タイにおいて初めて導入された。
NEDOとタイのエネルギー省とで基本協定書を締結しスタートした事業で、それぞれ委託されたJFEエンジニアリングとEGATが実証試験を実施している。水和物スラリー蓄熱空調システムは、〇一~〇三年度にNEDOとJFEエンジニアリングとの共同研究として実施した「水和物スラリー空調システムの研究開発」の研究成果。TBABは水の約2倍以上の冷熱密度を持つため、蓄熱槽スペースの半減が可能になる一方、融点が高いため氷蓄熱よりも蓄熱時のエネルギー効率が高く、水と氷両方の特長を併せ持った先進的な蓄熱材。夜間蓄熱運転時には氷よりも高い温度域での冷凍機定格運転になるため、エネルギー消費効率向上が図れる。
日付 : 2013年01月21日
By : 週刊タイ経済