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味の素(タイランド) 旨味調味料で世界最大級工場

 味の素(タイランド)が60億バーツを投じてアユタヤ県ナコンルアン郡に建設中の旨味調味料(グルタミン酸ナトリウム)工場が一二年五月にも操業を開始する。年産能力は最大で6万4000トンを計画しており、味の素の旨味調味料の工場では、ブラジル工場に匹敵する世界最大級のものになる。新工場は、労働者不足に対応して、自動化を進める方針で、新規の雇用は150人にとどめる。

 味の素は現在、サムットプラカン県プラパデン郡で旨味調味料を生産している。新工場が操業を開始すると、サムットプラカン工場は輸出生産拠点に改め、新工場は国内供給を中心にする。輸出市場はカンボジア、フィリピン、バングラデシュ、インドなど。

 味の素は一九九六年にミャンマーに進出し、パッケージングの工場を設けている。旨味調味料は全量をタイから送り、この工場で袋詰めにしてミャンマー国内市場に供給している。ミャンマー政府は旨味調味料の消費を禁止した時期があり、一時的に事業活動の停止を余儀なくされたこともある。味の素は、二〇一一年以降のミャンマーの改革・開放を受け、ミャンマーでの旨味調味料の生産も視野に入れている。ただ、タピオカ澱粉などの原料や電力の安定供給に課題があるため、製造進出にはあと5年は必要と見ている。

 味の素はミャンマーだけでなく、カンボジアにもパッケージングの工場を設けている。カンボジア工場も旨味調味料を全量タイから仕入れており、味の素(タイ)の子会社になっている。一一年にはバングラデシュとラオスにもタイ法人が出資する現地子会社を設立した。日本の親会社は東南アジアではベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピンに工場を設けている。味の素は現在、世界26か国で105工場を経営し、130か国で製品を販売している。東南アジアは、味の素にとって最も重要な地域になっており、二〇〇二年にはバンコクに地域統括事務所を設けている。タイは味の素にとって最大の市場で、味の素の世界売上のおよそ20%を占めている。タイを含むASEANでの売上高は、総売上の3~4割を占めている。旨味調味料の世界需要は年間約4%のペースで伸びているが、中国のメーカーとの競争が激化している。

 味の素のサムットプラカン工場は一九六〇年に建設された、味の素の最初の海外生産拠点。一九八六年にはパトゥムタニ、九七年にはカムペンペットにも工場を設け、飼料添加物のリジンを生産している。〇三年にはタイに加工食品工場を設けており、製品の9割近くを輸出している。〇五年には、サラブリ県ノンケー工業団地に「ロットディー」ブランドの粉末シーズニングの工場を開設し、〇八年には隣接する土地で缶コーヒー「バーディ」の工場も設けた。



日付 : 2013年01月21日

By : 週刊タイ経済

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