NESDBが月次経済情勢報告 1月の景気は引き続き拡大
国家経済社会開発委員会(NESDB)事務局は三月五日に開かれた定例閣議に今年一月の経済情勢を報告した。チャリットラット・チャンスベクサー政府副報道官が閣議後の会見で明らかにしたところによれば、政府は昨年一二月一一日の閣議で、NESDB事務局が毎月の経済情勢を密接に追跡し、内閣に報告するよう命じていた。
NESDB事務局の報告によれば、一月のタイ経済は国内需要が引き続き拡大している。季節調整済みの前月比で民間消費と民間投資はそれぞれ2・0%、0・6%増加した。また輸出額も2・8%増加した。ただし生産面の主要指標は前月比で低下しており、工業生産指数は季節調整済みの前月比で0・6%減となり、一二月の同4・7%増から収縮に転じた。農業生産指数も前月比で3・8%減となり、一二月の2・5%増から収縮に転じた。年度米の収穫期の終わりに近づいたこととパーム椰子の生産の減少が響いている。外国人観光客数は前月比で3・6%減少した。
一月の経済情勢を前年同月と比較すると、経済指標の大半は引き続き成長している。なかでも民間消費指数、民間投資指数、物品輸出額が増加している。一方、農業生産指数、工業生産指数、民間投資指数、観光客数の伸び率は一二年一二月のそれに比べて減速している。比較ベースとなる前年の数値が徐々に高くなってきているベース効果が理由。経済安定性は良好な水準にあるが、経常収支は赤字となった。
家計消費支出は引き続き拡大している。一月の民間消費指数は前年同月比6・8%増となり、前月の同3・5%増から加速した。付加価値税収、消費財輸入がそれぞれ17・1%、32・2%増えたことによるもので、消費者の景気全般に対する信頼感指数は一月に72・1ポイントとなり、前月の70・6ポイントから改善した。民間投資も良好な水準で拡大している。一月の民間投資指数は22・0%増となった。ただし前月の29・0%増に比べると伸びは鈍化した。国内セメント販売数量と資本財輸入は引き続き拡大している。また建設許可面積は1・1%増となり、前月の3・1%減から上向いた。商用車の販売台数は36・5%増となったが一二月の155・4%増に比べて伸びが減速した。
一月の物品輸出額は179億2400万ドルで、前年同月比15・6%増だった。伸び率は前月の13・6%増から加速した。工業製品輸出が引き続き好調で、特に自動車(35・6%増)、エレクトロニクス製品(31・6%増)、電化製品(65・4%増)の輸出が増えた。主要農産物の輸出もコメ(31・3%増)、果物(65・4%増)で増えている。ただし金地金と天然ゴムの輸出はそれぞれ94・3%、2・7%減少した。輸出はすべての市場で拡大し、特に主力市場の米国(16・7%増)、日本(7・3%増)、EU(24・5%増)向けが伸びた。
工業生産は申し分のない水準で拡大している。一月の工業生産指数は前年同月比10・1%増となったが、前月の23・0%増に比べると減速した。食品・飲料(10・1%増)、繊維(14・8%増)、自動車(72・4%増)、皮革(12・1%増)、集積回路(12・1%増)の生産が伸びた。一方で衣料の生産は16・1%減少し、石油工業は10・5%減となった。設備稼働率は平均で67・0%となり、前月の63・5%から上昇した。
農業生産は鈍化した。一月の農業生産指数は前年同月比で0・8%増にとどまり、前月の1・1%増から鈍化した。農産物価格は3・8%下落したが、前月の6・1%減に比べて改善した。この結果、農業所得は3・0%減となったものの、前月の5・1%減に比べると改善した。価格が下落した主要農産物はパーム椰子(35・6%減)、天然ゴム(11・0%減)、キャッサバ(10・7%減)、サトウキビ(5・2%減)、畜産(2・1%減)。一方、籾米と白エビ(バナメイ)の価格はそれぞれ3・6%、12・0%上昇した。
観光セクターは伸びが鈍化した。一月の外国人観光客数は220万人で前年同月比12・5%増えたが、一二年一一月の66・0%増、一二月の20・4%増に比べて伸びが鈍化した。外国人観光客で最も多かったのは中国人で、全体の13・8%を占めた。以下、マレーシア、ロシア、日本がそれぞれ9・5%、8・9%、6・1%を占めた。
経済安定性は申し分のない水準にある。一月の一般インフレ率と一二月の失業率は引き続き低い水準となっている。ただし貿易収支と経常収支は赤字となった。一月の一般インフレ率は3・4%増で、一二月の3・6%増から低下した。エネルギー価格の低下によるもの。一二月の失業者数は19万人で、失業率は0・5%だった。一方、一月の経常収支は22億3700万ドルの赤字となった。貿易収支が28億2100万ドルの赤字となったことが響いた。貿易収支の大幅な赤字は、航空機の輸入が6億3500万ドル分あったこと、金地金の輸入額が27億966万ドルに達したこと、経済の回復傾向に沿った原材料と資本財輸入の拡大、バーツ相場の上昇が原因となっている。サービス・所得・移転収支は5億8400万ドルの黒字。一月末時点の外貨準備高は1817億1400万ドルで、前月の1816億800万ドルから増えた。
日付 : 2013年03月11日
By : 週刊タイ経済
NESDB事務局の報告によれば、一月のタイ経済は国内需要が引き続き拡大している。季節調整済みの前月比で民間消費と民間投資はそれぞれ2・0%、0・6%増加した。また輸出額も2・8%増加した。ただし生産面の主要指標は前月比で低下しており、工業生産指数は季節調整済みの前月比で0・6%減となり、一二月の同4・7%増から収縮に転じた。農業生産指数も前月比で3・8%減となり、一二月の2・5%増から収縮に転じた。年度米の収穫期の終わりに近づいたこととパーム椰子の生産の減少が響いている。外国人観光客数は前月比で3・6%減少した。
一月の経済情勢を前年同月と比較すると、経済指標の大半は引き続き成長している。なかでも民間消費指数、民間投資指数、物品輸出額が増加している。一方、農業生産指数、工業生産指数、民間投資指数、観光客数の伸び率は一二年一二月のそれに比べて減速している。比較ベースとなる前年の数値が徐々に高くなってきているベース効果が理由。経済安定性は良好な水準にあるが、経常収支は赤字となった。
家計消費支出は引き続き拡大している。一月の民間消費指数は前年同月比6・8%増となり、前月の同3・5%増から加速した。付加価値税収、消費財輸入がそれぞれ17・1%、32・2%増えたことによるもので、消費者の景気全般に対する信頼感指数は一月に72・1ポイントとなり、前月の70・6ポイントから改善した。民間投資も良好な水準で拡大している。一月の民間投資指数は22・0%増となった。ただし前月の29・0%増に比べると伸びは鈍化した。国内セメント販売数量と資本財輸入は引き続き拡大している。また建設許可面積は1・1%増となり、前月の3・1%減から上向いた。商用車の販売台数は36・5%増となったが一二月の155・4%増に比べて伸びが減速した。
一月の物品輸出額は179億2400万ドルで、前年同月比15・6%増だった。伸び率は前月の13・6%増から加速した。工業製品輸出が引き続き好調で、特に自動車(35・6%増)、エレクトロニクス製品(31・6%増)、電化製品(65・4%増)の輸出が増えた。主要農産物の輸出もコメ(31・3%増)、果物(65・4%増)で増えている。ただし金地金と天然ゴムの輸出はそれぞれ94・3%、2・7%減少した。輸出はすべての市場で拡大し、特に主力市場の米国(16・7%増)、日本(7・3%増)、EU(24・5%増)向けが伸びた。
工業生産は申し分のない水準で拡大している。一月の工業生産指数は前年同月比10・1%増となったが、前月の23・0%増に比べると減速した。食品・飲料(10・1%増)、繊維(14・8%増)、自動車(72・4%増)、皮革(12・1%増)、集積回路(12・1%増)の生産が伸びた。一方で衣料の生産は16・1%減少し、石油工業は10・5%減となった。設備稼働率は平均で67・0%となり、前月の63・5%から上昇した。
農業生産は鈍化した。一月の農業生産指数は前年同月比で0・8%増にとどまり、前月の1・1%増から鈍化した。農産物価格は3・8%下落したが、前月の6・1%減に比べて改善した。この結果、農業所得は3・0%減となったものの、前月の5・1%減に比べると改善した。価格が下落した主要農産物はパーム椰子(35・6%減)、天然ゴム(11・0%減)、キャッサバ(10・7%減)、サトウキビ(5・2%減)、畜産(2・1%減)。一方、籾米と白エビ(バナメイ)の価格はそれぞれ3・6%、12・0%上昇した。
観光セクターは伸びが鈍化した。一月の外国人観光客数は220万人で前年同月比12・5%増えたが、一二年一一月の66・0%増、一二月の20・4%増に比べて伸びが鈍化した。外国人観光客で最も多かったのは中国人で、全体の13・8%を占めた。以下、マレーシア、ロシア、日本がそれぞれ9・5%、8・9%、6・1%を占めた。
経済安定性は申し分のない水準にある。一月の一般インフレ率と一二月の失業率は引き続き低い水準となっている。ただし貿易収支と経常収支は赤字となった。一月の一般インフレ率は3・4%増で、一二月の3・6%増から低下した。エネルギー価格の低下によるもの。一二月の失業者数は19万人で、失業率は0・5%だった。一方、一月の経常収支は22億3700万ドルの赤字となった。貿易収支が28億2100万ドルの赤字となったことが響いた。貿易収支の大幅な赤字は、航空機の輸入が6億3500万ドル分あったこと、金地金の輸入額が27億966万ドルに達したこと、経済の回復傾向に沿った原材料と資本財輸入の拡大、バーツ相場の上昇が原因となっている。サービス・所得・移転収支は5億8400万ドルの黒字。一月末時点の外貨準備高は1817億1400万ドルで、前月の1816億800万ドルから増えた。
日付 : 2013年03月11日
By : 週刊タイ経済