東レは、タイにおける事業が５０周年を迎え、三月二〇日に、都内のプラザアテネ・バンコク・ロイヤルメリディアン・ホテルにおいて記念式典および記念展示会を開催した。式典にはスラユット枢密顧問、キティラット副首相、佐藤駐タイ日本大使を主賓に招き、約１０００人が参加した。

　タイは東レにとってグループ初の本格的海外生産拠点を設けた国で、一九六三年にポリエステル／レーヨン（Ｔ／Ｒ）混織物のタイ東レ・テキスタイルミルズ（ＴＴＭ）を設立している。現在、ポリエステル／綿（Ｔ／Ｃ）紡績・織布・染色、ポリエステル長繊維の織布・染色、エアバッグ用織物を手掛けるラッキーテックス（タイランド）社（ＬＴＸ）や、ナイロン・ポリエステル長繊維、ナイロン・ＰＢＴ樹脂コンパウンド、ポリプロピレン・フィルム、蒸着フィルムを製造するタイ東レ・シンセティクス社（ＴＴＳ）など、幅広い事業展開を行なっている。また二〇〇一年には商社の東レ・インターナショナル（タイランド）を、〇二年にはタイ東レ・グループの事業統括会社となる東レ・インダストリーズ（タイランド）を設立し、ＡＳＥＡＮ地域の中央に位置する重要な輸出拠点として事業を拡大している。

　東レ・グループは一一年からスタートした中期経営課題「プロジェクトＡＰ・Ｇ２０１３」で、持続的に事業収益拡大を実現する企業グループへの転換を目指し、今後大きな経済成長が見込まれるアジアやその他地域の新興国の成長を取り込む「アジア・新興国事業拡大（ＡＥ）プロジェクト」に取り組んでいる。中でも急速に発展するＡＳＥＡＮ地域での事業を拡大していく考え。既存の繊維、フィルム、樹脂に加え、水処理、医薬・医療、炭素繊維複合材料などについても積極的に展開を進めていくことにしている。タイでは今後、１７０億バーツを投資し、売上高を二〇二〇年までに現在の２倍の水準に引き上げる。昨年のタイでの売上高は約１８０億バーツ。東レは過去６年間、年間平均１３億バーツをタイに投資してきており、インドネシアやマレーシアでの投資と同水準。東レ・インダストリーズ・タイの山下康夫社長は、エアバック用織物の設備増強に今年、９億６０００万バーツを投資する計画を明らかにするとともに、チョンブリ県シーラチャー郡に炭素繊維の新工場を設ける計画を示している。タイの自動車生産の拡大に沿ってコンパウンド・プラスチックの生産能力も年間３２００トンへ２倍に引き上げる。

　東レは一九九四年にタイ東レ科学振興財団（ＴＴＳＦ）を設立し、タイでの科学技術振興に貢献している。科学技術は国家の発展に必須であることから、ＴＴＳＦは自然科学分野における様々なプロジェクトへの支援、表彰を行なってきた。


日付 : 2013年04月01日

By : 週刊タイ経済