イオン・タナシンサップ・タイ 債権流動化で事業資金調達
イオン・フィナンシャル・サービス社のタイ現地法人で、消費者ローン大手のイオン・タナシンサップ・タイランド社(AEONTS)は五月二一日、タイ国内におけるクレジットカード債権を流動化し、バーツ建て資産担保証券(ABS)を発行したと発表した。タイに設立された特別目的会社(SPV)が、このバーツ建て資産担保証券を担保に通貨スワップを通じて総額8000万ドル相当の資金を債券の発行と融資により調達するもので、日本の国際協力銀行(JBIC)が保証を提供するほか、ABSの一部を取得する。JBICから100%の元本保証を受けることになる。調達する資金は、さらなる業容の拡大に向け、各種事業への投資と運転資金として活用する。
JBICの発表によれば、AEONTSを発行人とするABSのうち5000ドル分を取得するとともに、民間投資家取得分(元本部分3000万ドル分)に対する保証、ならびにAEONTSが民間金融機関から借り入れる2000万ドルの資産担保融資(ABL)に対する保証を提供した。
JBICは、資金貸付や債務保証などに加え、新たな金融手法の活用を図ることを目的に、二〇〇八年一〇月から証券化業務を開始している。今回の案件はJBICにとってクレジットカード債権の証券化で初めてとなるもの。JBICによる証券化商品の一部取得や保証の提供により、AEONTSの資金調達手段の多様化ニーズに応える。JBICはこうした取り組みを通じ、カントリーリスクやストラクチャーリスクの軽減を通じた証券化市場における民間投資家の投資機会の提供に貢献できると期待している。一方、AEONTSによる今回の債権流動化は、一一年に発生したタイ洪水後で初のタイにおける消費者向けクレジット債権の流動化案件となっている。
AEONTSは、イオン・フィナンシャル・サービスの香港法人に次ぐ2番目の海外拠点として一九九二年に設立され、クレジット事業を中核に業容を拡大してきた。〇一年にはタイ証券取引所(SET)に株式を上場している。昨年一二月には設立20周年を迎えた。これまで小売業や家電販売店などとの提携カードを発行し、カード会員数は約670万人を有し、タイにおけるクレジットカード、個人ローン分野のパイオニア企業として知られる。今回の債権流動化は、AEONTSのこれまでの実績が認められ、JBICならびにタイ当局の協力を得て実現した。
この案件は、さらなる業務拡大に向け安定的な資金調達手法の確保を図る思惑があるものだが、同社の資金調達ニーズとアジア企業への与信拡大を目論む日本の民間投資家や金融機関のニーズをクロスボーダーでの流動化の仕組みを取り入れることで結びつけた取引ともなっている。AEONTSはこれまで、クレジットカード債権の流動化をはじめ、資金調達の多様化に積極的に取り組んできている。今後も低利で安定した資金調達を推進し、長期資金を確保していく考え。
JBICによると、この案件は、アジア債券市場育成イニシアティブ(ABMI)の「新ロードマップ・プラス」で合意された9つの優先分野の一つである「消費者や中小企業の金融アクセスの強化」に沿った取組みで、AEONTSの個人向け金融事業の強化を通じ、タイ国内消費者の金融アクセス環境の改善にも貢献するとしている。JBICは今後も、新興国における証券化案件の組成支援といった市場型の金融手法を活用し、日本の産業の国際競争力の維持・向上を金融面から支援していく考え。
日付 : 2013年05月27日
By : 週刊タイ経済
JBICの発表によれば、AEONTSを発行人とするABSのうち5000ドル分を取得するとともに、民間投資家取得分(元本部分3000万ドル分)に対する保証、ならびにAEONTSが民間金融機関から借り入れる2000万ドルの資産担保融資(ABL)に対する保証を提供した。
JBICは、資金貸付や債務保証などに加え、新たな金融手法の活用を図ることを目的に、二〇〇八年一〇月から証券化業務を開始している。今回の案件はJBICにとってクレジットカード債権の証券化で初めてとなるもの。JBICによる証券化商品の一部取得や保証の提供により、AEONTSの資金調達手段の多様化ニーズに応える。JBICはこうした取り組みを通じ、カントリーリスクやストラクチャーリスクの軽減を通じた証券化市場における民間投資家の投資機会の提供に貢献できると期待している。一方、AEONTSによる今回の債権流動化は、一一年に発生したタイ洪水後で初のタイにおける消費者向けクレジット債権の流動化案件となっている。
AEONTSは、イオン・フィナンシャル・サービスの香港法人に次ぐ2番目の海外拠点として一九九二年に設立され、クレジット事業を中核に業容を拡大してきた。〇一年にはタイ証券取引所(SET)に株式を上場している。昨年一二月には設立20周年を迎えた。これまで小売業や家電販売店などとの提携カードを発行し、カード会員数は約670万人を有し、タイにおけるクレジットカード、個人ローン分野のパイオニア企業として知られる。今回の債権流動化は、AEONTSのこれまでの実績が認められ、JBICならびにタイ当局の協力を得て実現した。
この案件は、さらなる業務拡大に向け安定的な資金調達手法の確保を図る思惑があるものだが、同社の資金調達ニーズとアジア企業への与信拡大を目論む日本の民間投資家や金融機関のニーズをクロスボーダーでの流動化の仕組みを取り入れることで結びつけた取引ともなっている。AEONTSはこれまで、クレジットカード債権の流動化をはじめ、資金調達の多様化に積極的に取り組んできている。今後も低利で安定した資金調達を推進し、長期資金を確保していく考え。
JBICによると、この案件は、アジア債券市場育成イニシアティブ(ABMI)の「新ロードマップ・プラス」で合意された9つの優先分野の一つである「消費者や中小企業の金融アクセスの強化」に沿った取組みで、AEONTSの個人向け金融事業の強化を通じ、タイ国内消費者の金融アクセス環境の改善にも貢献するとしている。JBICは今後も、新興国における証券化案件の組成支援といった市場型の金融手法を活用し、日本の産業の国際競争力の維持・向上を金融面から支援していく考え。
日付 : 2013年05月27日
By : 週刊タイ経済