高級外車の脱税輸入シンジケート 特別事件捜査局(DSI)が捜査開始
法務省特別事件捜査局(DSI)は六月六日、自動車再組立業者4社の事業所及び所有者の自宅などを家宅捜査した。JMW、TNNエクスプレス、ポーチャイ・オートクラス、タンマモータリッチの4社で、いずれも自動車組立に必要な設備、機械類がなかったほか、密輸酒2万本以上などを押収した。DSIのタリット・ペンディット局長によると、今回の捜査は高級外車の脱税疑惑の解明の一環で、今後、再組立業者として登記した約40社を家宅捜査するほか、二〇一〇年一〇月以降に再組立乗用車として登録された高級外車6862台、現在登録を待っている約3000台のオーナー、輸入業者などを捜査する方針。
今回、高級外車の脱税問題が浮上したきっかけは、五月二九日にナコンラチャシマ県パクチョン郡の国道2号線上であった輸送中の高級外車の火災事件。6台の高級輸入車を自動車運搬車でシーサケート県に輸送中、そのうちの1台ランボルギーニから発火し、4台に延焼している。発火したのはランボルギーニに積載された天然ガスタンク。この火災事件はテレビ、新聞で大きく報道されたが、自動車のオーナー、荷主をはじめ関係者が車を引き取りに現れず、また高級外車は通常、ガス燃料を使わないため疑惑が強まった。
その後、燃えたランボルギーニの登録ナンバーの持ち主がパドゥームチャイ・サソムサップ労相の息子であることが判明、政治家が関与した脱税シンジケートの存在が報じられるようになった。この労相の息子は六月五日にDSIに出頭後、記者会見し、問題の登録ナンバーは昨年購入したランボルギーニのナンバーで、その後入札で別のナンバーを入手し、元のナンバーは陸運局に返還したと釈明した。購入したランボルギーニは現在も使用しており、燃えたランボルギーニとはモデルも違うとしている。
タリットDSI局長によると、高級外車の輸入関税は200%以上。しかし中古部品として輸入され、国内で再組立された場合は30~50%に過ぎない。実際には完成車のまま輸入され、地方県の陸運局事務所で登録する際はガス燃料車として届け出て、タイ工業規格院(TISI)の品質検査も逃れているという。このためシンジケートには民間の業者だけでなく、関税局、物品税局、国税局といった税当局、陸運局、TISIなどの役人に加え、政治家が関与していると同局長は見ている。関税局のラコップ・シースパーアート副局長は、密輸車を年数百台摘発していると主張する一方で、すべての輸入貨物を検査することは不可能として、関税局の不正関与を否定している。陸運局は事件発覚後、シーサケート県の事務所の所長と登録課長を更迭した。
タリットDSI局長は、過去2年半だけで脱税額は200億バーツは下らないと見ている。捜査はまず1台400万バーツ以上の高級車を対象にし、追ってそれ以下の日本車なども同様の手口を使って輸入販売されていないか調べる方針。六日には関税局、物品税局、陸運局、TISI、法務省法科学研究所の代表を呼んで捜査方針を伝えている。
政治家、役人の関与が疑われることから国家汚職防止取締委員会(NACC)もこの問題に関心を寄せており、近く調査を開始するための部会を立ち上げる方針。なお運輸省は高級外車の脱税を防ぐため昨年の段階で、国内で組み立てる目的で中古部品を輸入する行為を禁止する省令案を策定し、閣議に提出、昨年四月一七日の閣議で承認を受けている。しかし、まだ官報公示、施行に至ってないのは与党政治家の妨害があったためという憶測が流れている。
日付 : 2013年06月10日
By : 週刊タイ経済
今回、高級外車の脱税問題が浮上したきっかけは、五月二九日にナコンラチャシマ県パクチョン郡の国道2号線上であった輸送中の高級外車の火災事件。6台の高級輸入車を自動車運搬車でシーサケート県に輸送中、そのうちの1台ランボルギーニから発火し、4台に延焼している。発火したのはランボルギーニに積載された天然ガスタンク。この火災事件はテレビ、新聞で大きく報道されたが、自動車のオーナー、荷主をはじめ関係者が車を引き取りに現れず、また高級外車は通常、ガス燃料を使わないため疑惑が強まった。
その後、燃えたランボルギーニの登録ナンバーの持ち主がパドゥームチャイ・サソムサップ労相の息子であることが判明、政治家が関与した脱税シンジケートの存在が報じられるようになった。この労相の息子は六月五日にDSIに出頭後、記者会見し、問題の登録ナンバーは昨年購入したランボルギーニのナンバーで、その後入札で別のナンバーを入手し、元のナンバーは陸運局に返還したと釈明した。購入したランボルギーニは現在も使用しており、燃えたランボルギーニとはモデルも違うとしている。
タリットDSI局長によると、高級外車の輸入関税は200%以上。しかし中古部品として輸入され、国内で再組立された場合は30~50%に過ぎない。実際には完成車のまま輸入され、地方県の陸運局事務所で登録する際はガス燃料車として届け出て、タイ工業規格院(TISI)の品質検査も逃れているという。このためシンジケートには民間の業者だけでなく、関税局、物品税局、国税局といった税当局、陸運局、TISIなどの役人に加え、政治家が関与していると同局長は見ている。関税局のラコップ・シースパーアート副局長は、密輸車を年数百台摘発していると主張する一方で、すべての輸入貨物を検査することは不可能として、関税局の不正関与を否定している。陸運局は事件発覚後、シーサケート県の事務所の所長と登録課長を更迭した。
タリットDSI局長は、過去2年半だけで脱税額は200億バーツは下らないと見ている。捜査はまず1台400万バーツ以上の高級車を対象にし、追ってそれ以下の日本車なども同様の手口を使って輸入販売されていないか調べる方針。六日には関税局、物品税局、陸運局、TISI、法務省法科学研究所の代表を呼んで捜査方針を伝えている。
政治家、役人の関与が疑われることから国家汚職防止取締委員会(NACC)もこの問題に関心を寄せており、近く調査を開始するための部会を立ち上げる方針。なお運輸省は高級外車の脱税を防ぐため昨年の段階で、国内で組み立てる目的で中古部品を輸入する行為を禁止する省令案を策定し、閣議に提出、昨年四月一七日の閣議で承認を受けている。しかし、まだ官報公示、施行に至ってないのは与党政治家の妨害があったためという憶測が流れている。
日付 : 2013年06月10日
By : 週刊タイ経済