上半期のBOI投資申請 投資予定額は前年比47%増
プラサート・ブンチャイスック工業相がこのほど明らかにしたところによれば、今年上半期(一~六月)の投資委員会(BOI)への投資奨励申請件数は1055件、合計投資予定額で6328億バーツに達した。前年同期と比べて件数で5・8%増、金額で47%増となった。投資申請のうち462件は1件あたりの投資予定額が2000万~2億バーツの規模で、合計投資予定額は389億バーツとなっているが、1件あたりの投資額が10億バーツを超える大規模案件は104件あり、投資額は4792億バーツを数えている。
業種別で上半期に最も投資額が多かったのはサービス/インフラ事業で、256件、3022億バーツとなった。金額で前年同期比190%増。大規模案件は空輸事業、天然ガス発電事業、液化天然ガス・ターミナル事業、工業区造成、バイオマス発電、物流センター、アミューズメントパークなど。その次に多かった業種は金属/機械/自動車・同部品で、227件、1484億バーツを数えた。投資予定額で前年同期比35%増。自動車組立、エンジン部品生産、金属部品、ディーゼル・エンジン生産、ピックアップトラック組立、金型生産、各種部品生産事業などの投資があった。
3番目に投資が多かったのは農業/アグロインダストリーで、243件、880億バーツの投資申請があった。金額で前年同期比140%増。野菜・果物飲料、ブロック状ゴム/コンパウンド・ゴム生産、缶詰・冷凍食品生産、澱粉生産、パーム油/米糠油、低温倉庫、旨味調味料生産、飼料生産、養殖などの事業で投資があった。
上半期には海外からの直接投資も増えている。外国人投資家による投資申請は619件、2790億バーツを数えており、その比率は前年同期に近似したものとなっている。日本からの投資が引き続き最大で、333件、1841億5300万バーツを数えた。合計投資予定額は前年同期比で28%増えた。2番目に多かったのはマレーシアからの投資で、18件、173億4100万バーツを数えた。香港からの投資は19件、513億8100万バーツ、シンガポールからの投資は44件、115億9900万バーツ、オランダからの投資は12件、93億6000万バーツだった。
ウドム・ウォンウィワットチャイ事務局長は一三年通年の投資申請は1兆バーツを目標としていることを明らかにしている。バーツが弱基調にあり、輸出競争力が向上していること、タイにとって重要な市場であるCLMV諸国(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)の景気が上向き、経済開発のための投資が増えていること、サービス業、とくに観光業の高い成長が持続していること、これまでの自動車工業の投資拡大で自動車メーカーに追随する形での部品メーカーの投資が増える傾向にあることを理由に挙げている。
国連貿易開発会議(UNCTAD)の今年初めの調査では、タイは投資先として世界で8番目に関心を集める国となっており、アジアでは中国、インド、インドネシアに次いで4番目に多くの関心を集めている。
ただしウドム事務局長は、一部の工業部門の投資にマイナスの影響を及ぼす要因もあることを指摘している。世界経済の回復が予想よりも遅れていること、労働力不足と賃金上昇、キャピタル・アウトフローとそれにともなうタイの長期金利の上昇、国内需要の伸びの減速、パソコン市場の減速傾向によりタイが世界的な生産拠点になっているハード・ディスク・ドライブ(HDD)の市況の悪化をリスク要因に挙げている。
一三年は投資が伸びる業種と鈍化する業種に二極化する見通しで、食品・飲料などの農業/アグロインダストリー、自動車・同部品などは投資が伸びそう。自動車の国内市場は減速する見通しにあるものの、自動車メーカーの生産増強が進んだ結果、部品供給のための投資プロジェクトは持続すると予想されている。サービス/インフラ事業も投資家の関心が高い。投資額が大きい大規模発電事業のほか、空輸事業も引き続き投資が拡大しそう。
一方で軽工業は投資が減少する見込み。とくに労働集約度の高い衣料、製靴などは労働力不足と労賃上昇の影響を大きく受ける。加えてEUは特恵関税(GSP)の基準を変更し、中所得国に対するGSPを打ち切っているため、欧州向け輸出に影響が及び、生産拠点の近隣国へのシフトが進んでいる。ただし川上繊維部門や医療機器などの分野は投資が持続している。電機・電子工業では、HDD工業が世界のパソコン販売の減少による影響を受けそう。一方で、冷蔵庫、洗濯機、エアコンなどの家電はタイへの投資が持続している。石油化学工業は横ばいで、回復には2、3年を要しそう。将来的には汎用品から高付加価値製品への投資シフトが進むものと予測されている。
日付 : 2013年07月29日
By : 週刊タイ経済
業種別で上半期に最も投資額が多かったのはサービス/インフラ事業で、256件、3022億バーツとなった。金額で前年同期比190%増。大規模案件は空輸事業、天然ガス発電事業、液化天然ガス・ターミナル事業、工業区造成、バイオマス発電、物流センター、アミューズメントパークなど。その次に多かった業種は金属/機械/自動車・同部品で、227件、1484億バーツを数えた。投資予定額で前年同期比35%増。自動車組立、エンジン部品生産、金属部品、ディーゼル・エンジン生産、ピックアップトラック組立、金型生産、各種部品生産事業などの投資があった。
3番目に投資が多かったのは農業/アグロインダストリーで、243件、880億バーツの投資申請があった。金額で前年同期比140%増。野菜・果物飲料、ブロック状ゴム/コンパウンド・ゴム生産、缶詰・冷凍食品生産、澱粉生産、パーム油/米糠油、低温倉庫、旨味調味料生産、飼料生産、養殖などの事業で投資があった。
上半期には海外からの直接投資も増えている。外国人投資家による投資申請は619件、2790億バーツを数えており、その比率は前年同期に近似したものとなっている。日本からの投資が引き続き最大で、333件、1841億5300万バーツを数えた。合計投資予定額は前年同期比で28%増えた。2番目に多かったのはマレーシアからの投資で、18件、173億4100万バーツを数えた。香港からの投資は19件、513億8100万バーツ、シンガポールからの投資は44件、115億9900万バーツ、オランダからの投資は12件、93億6000万バーツだった。
ウドム・ウォンウィワットチャイ事務局長は一三年通年の投資申請は1兆バーツを目標としていることを明らかにしている。バーツが弱基調にあり、輸出競争力が向上していること、タイにとって重要な市場であるCLMV諸国(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)の景気が上向き、経済開発のための投資が増えていること、サービス業、とくに観光業の高い成長が持続していること、これまでの自動車工業の投資拡大で自動車メーカーに追随する形での部品メーカーの投資が増える傾向にあることを理由に挙げている。
国連貿易開発会議(UNCTAD)の今年初めの調査では、タイは投資先として世界で8番目に関心を集める国となっており、アジアでは中国、インド、インドネシアに次いで4番目に多くの関心を集めている。
ただしウドム事務局長は、一部の工業部門の投資にマイナスの影響を及ぼす要因もあることを指摘している。世界経済の回復が予想よりも遅れていること、労働力不足と賃金上昇、キャピタル・アウトフローとそれにともなうタイの長期金利の上昇、国内需要の伸びの減速、パソコン市場の減速傾向によりタイが世界的な生産拠点になっているハード・ディスク・ドライブ(HDD)の市況の悪化をリスク要因に挙げている。
一三年は投資が伸びる業種と鈍化する業種に二極化する見通しで、食品・飲料などの農業/アグロインダストリー、自動車・同部品などは投資が伸びそう。自動車の国内市場は減速する見通しにあるものの、自動車メーカーの生産増強が進んだ結果、部品供給のための投資プロジェクトは持続すると予想されている。サービス/インフラ事業も投資家の関心が高い。投資額が大きい大規模発電事業のほか、空輸事業も引き続き投資が拡大しそう。
一方で軽工業は投資が減少する見込み。とくに労働集約度の高い衣料、製靴などは労働力不足と労賃上昇の影響を大きく受ける。加えてEUは特恵関税(GSP)の基準を変更し、中所得国に対するGSPを打ち切っているため、欧州向け輸出に影響が及び、生産拠点の近隣国へのシフトが進んでいる。ただし川上繊維部門や医療機器などの分野は投資が持続している。電機・電子工業では、HDD工業が世界のパソコン販売の減少による影響を受けそう。一方で、冷蔵庫、洗濯機、エアコンなどの家電はタイへの投資が持続している。石油化学工業は横ばいで、回復には2、3年を要しそう。将来的には汎用品から高付加価値製品への投資シフトが進むものと予測されている。
日付 : 2013年07月29日
By : 週刊タイ経済