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10月の業況判断指数(BSI) 4か月連続で前月比下落

 タイ中央銀行が一一月三〇日に発表した一〇月の業況判断指数(BSI)は、4か月連続で前月を下回った。指数は47・4ポイントまで低下した。主に製造業の事業者の信頼感が低下している。とくに国内外からの受注、生産、業績に対する信頼感が落ち込んでいる。一方で投資と雇用の信頼感は良好な水準を保っている。

 3か月先に関しては、業況感は現在よりも上向く見通しとなっている。3か月先のBSIは51・7ポイントとなっている。事業者の信頼感はすべての側面において現在よりも小幅上向いている。例外はコスト面で、引き続き中間値の50ポイントを下回っている。業況感の改善は主に非製造業で顕著になっている一方、製造業では依然として業況感は現状から横這いとなっている。

 一〇月のBSIは47・4ポイントとなり、九月の47・5ポイントを小幅下回った。業況感は5か月連続で中間値を下回っている。3か月先の指数は51・7ポイントで、引き続き中間値を上回っているが、前月の52・3ポイントから低下した。事業経営の制約は、コストの上昇、商品値上げの困難さ、国内市場での競争の激化、経済情勢の不確実性、政治的不確実性が上位に入った。とくに政治デモの発生を受け、政治情勢に対する懸念を事業経営のリスクと回答した企業の比率は上昇した。

 業績の指数は一致指数が47・7ポイント(前月は49・5ポイント)、3か月先の先行指数が55・6ポイント(前月は57・3ポイント)となった。業績に対する信頼感は全体として前月から低下した。主に製造業の事業者の信頼感が低下している。受注と生産の指数が5か月連続で低下したことに一致したものとなっている。一方、非製造業の信頼感は前月に近似するものとなった。いずれにしても今後の期には、製造業と非製造業の事業者の双方で業績は上向く見通しとなっている。将来の業況が現在よりも上向く見通しにあることを反映したものとなっている。

 生産・取引・サービスの信頼感指数は46・7ポイント(前月は48・6ポイント)、3か月先は54・9ポイント(前月は55・9ポイント)となった。指数は4か月連続で低下した。製造業と非製造業の双方の事業者で信頼感が低下している。経済活動が鈍化し続けていることを反映したもの。いずれにしても今後については、大半の事業者は生産・取引・サービス活動は現在よりも上向くと見ている。

 投資の指数は一致指数が54・7ポイント(前月は55・1ポイント)、先行指数が58・7ポイント(前月は59・3ポイント)。投資に対する信頼感は、現在と3か月先の双方で中間値を上回る状態が続いていることを反映して、製造業と非製造業の双方で良好な水準が続いている。ただし投資を増やす予定との回答の比率は低下し続けている。向こう3か月内に投資を増やすとした企業の58%は生産効率改良のための投資で、設備稼働率の指数などからも事業者の大半は、現在の設備能力で十分だと考えている。これが生産能力増強のための投資の必要性を低下させる一因となっている。この月に生産能力増強のための投資を予定しているとした事業者は石油、自動車、食品、運輸通信、ホテル・レストラン、小売業に多かった。

 雇用の信頼感指数は一致指数が51・6ポイント(前月は52・1ポイント)、先行指数が54・8ポイント(前月は54・0ポイント)。事業者の多くは依然として労働力不足の問題に直面している。このことは労働力確保の困難度を示す指数が50ポイントの中間値を下回っていることに示されている。このため、この月には企業の受注や生産は低下しているものの、事業者の多くが前月比で雇用を増やしている。事業者は3か月先も雇用は増え続けると予測している。ただし景気の減速を反映して、雇用を増やすとした事業者の比率は低下している。

 新規受注の指数は一致指数で45・7ポイント(前月は44・8ポイント)、先行指数で52・1ポイント(前月は55・9ポイント)となった。この月に事業者の新規受注は引き続き前月比で低下した。製造業と非製造業の双方で国内からの受注と海外からの受注が低下している。民間消費の減速と輸出額が前月比で減少したことに一致した動きとなっている。しかし今後、大半の事業者は新規受注が現在よりも増えるものと期待している。主に国内受注に期待している。一方で製造業の事業者は、エレクトロニクスと機械・工具を除くほぼすべての業種で海外からの受注が現在よりも減少すると見ている。

 経営コストに関しては、事業者は製造業と非製造業の双方で、前月から上昇していると見ており、3か月先にはさらに上昇すると見ている。一致指数は37・4ポイント(前月は34・2ポイント)、3か月先の指数も33・9ポイント(前月は33・3ポイント)と中間値を大きく割り込んでいる。ただし経営コストが上昇していると回答した事業者の比率は前月に比べて減少している。世界市場の原油価格の下落を反映したものとなっている。

 事業者は現在の販売価格が前月から変化していないと見ている。しかし3か月先には、コストが上昇を続ける見通しにあることに従い、価格引き上げを考えている。ただし価格を引き上げると回答した事業者の比率は年初時点に比べて低下している。国内需要が減速し、国内における競争が激しい中で、商品価格の値上げの困難さを反映したものとなっている。販売価格の信頼感指数は、現在が49・1ポイント、3か月先が52・5ポイントとなっている。

 12か月先のインフレ率については、事業者の大半は3~4%増の間になると見ている。標準偏差値は3・29%で、前月の3・36%から幾分低下している。インフレ期待に対する上位の要因は、エネルギー価格、生産コスト、商品・サービス需要となっている。

 タイ中央銀行のルーン・マリカマート調査課長は、一〇月のBSIについて、政治デモが激しさを増す前の状況で、一一月に入ってからの政治情勢をカバーしていないことを指摘。一一月の信頼感は一段と悪化する可能性があるとしている。消費者の信頼感も悪化しているため、民間支出に大きな影響が出る恐れがある。



日付 : 2013年12月09日

By : 週刊タイ経済

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