下院解散の政治空白 治水・運輸インフラ事業にも影響
政治デモの拡大とそれにともなう下院の解散を受け、3500億バーツの治水プロジェクトと2兆バーツの運輸インフラ開発プロジェクトの先行きに不透明感が出てきた。治水プロジェクトは、すでに投資資金を確保済みで、施工業者も入札選定されているが、公聴会を進めている最中。政府は公聴会後の契約調印を予定しているが、政治空白により、調印が延期になる可能性もあり、不確実性が増している。一方の2兆バーツ運輸インフラ事業は、資金借入の法案が国会を通過したものの、憲法裁判所による違憲審査段階にあり、まだ施行になっていない。
国家経済社会開発委員会(NESDB)事務局、タイ中央銀行、財務省財政局は、一四年のタイの経済成長率は一三年から上向くと予測しているが、その根拠の一つになっているのが多額の政府投資支出。これらプロジェクトの実施が遅れる、あるいは修正または廃止されれば一四年の経済成長にも悪影響が及ぶことになる。
財務省筋は、2兆バーツの運輸インフラ計画について、たとえ憲法裁が合憲判断を下して法律ができたとしても、政権が交代するようなことになれば廃止される可能性があると指摘している。チャッチャート・シティパン運輸大臣は、2兆バーツ法案の命運は新政権次第だと述べている。アムポーン・キティアムポーン内閣官房長は、新政権が発足するより前に憲法裁が合憲判断を下した場合、現政権は国王認証を求めることが可能だとしているが、新政権の手に委ねる考え。チャッチャート運輸大臣は、運輸インフラ開発に関し、長期的な国の競争力の強化に役立つもので、すでにサブモジュールのうちのいくつかは詳細の準備がなされていることを明らかにしている。運輸省運輸交通政策企画事務局のチュラ・スックマノップ事務局長は、調査研究に時間がかかるためプロジェクトの研究は続行すると述べている。
治水プロジェクトについては、治水・洪水管理委員会のスポット・トーウィチャックチャイクン事務局長は下院解散の影響を受けないとしている。治水・洪水管理委事務局は、中央行政裁判所の命令にしたがって公聴会を各地で実施中。一二月六日に予定されていたバンコクでの最後の公聴会は反政府デモの影響で延期になったものの、近く開催されることになっている。公聴会はこれまでに全国レベルのものが1回、地域レベルのものが4回、県レベルのものが39回開催されている。
ただしスポット事務局長は、当初、一四年一月または二月にも予定していた施工業者との契約調印については、下院の解散で延期になる見通しにあることを明らかにしている。スポット事務局長は、数百億バーツに上る契約を選挙管理内閣の下で行なうことは無理があるとしている。入札で最大の金額のモジュールを受注している韓国水資源公社(Kウォーター)は、治水プロジェクトのステータスについて説明を政府と治水・洪水管理委に求めている。
治水プロジェクトで契約調印前の公聴会の開催を求める行政訴訟を起こした地球温暖化防止協会率いるシースワン・ジャンヤー氏は、治水プロジェクトを実施するかどうかは新政権が決めるべきで、現政権は手をつけるべきではないと主張している。なお同氏は各地で開催された公聴会について、その無効性を行政裁判所に訴える考えを示している。
NESDB事務局は、一四年の経済成長率を4・0~5・0%増と予測している。治水プロジェクトと運輸インフラ開発については、二〇一四年にそれぞれ665億2200万バーツ、1600億バーツの投資支出を見込んでいた。この投資支出が実行され、世界経済の成長率が3・5%増を下回らず、二〇一四年度予算の下での政府部門の投資的経費の執行率が目標の80%を下回らず、ドバイ原油価格が二〇一四年平均で1バレルあたり105ドル以下、政治対立が激しくなって経済活動や観光・投資に対する信頼感に影響を及ぼすことがなければ、一四年の経済成長率は5%台に達するとしている。
タイ中央銀行のクルーク・ワニッカクン副総裁は、2兆バーツの運輸インフラ開発プロジェクトが廃止になった場合にも、年度予算が滞りなく消化されるなら、一四年の経済成長に及ぼす影響は小さいと述べている。政治情勢の悪化は景気に悪影響を及ぼすものの、政局が正常化すれば景気は迅速に回復すると見ている。
日付 : 2013年12月16日
By : 週刊タイ経済
国家経済社会開発委員会(NESDB)事務局、タイ中央銀行、財務省財政局は、一四年のタイの経済成長率は一三年から上向くと予測しているが、その根拠の一つになっているのが多額の政府投資支出。これらプロジェクトの実施が遅れる、あるいは修正または廃止されれば一四年の経済成長にも悪影響が及ぶことになる。
財務省筋は、2兆バーツの運輸インフラ計画について、たとえ憲法裁が合憲判断を下して法律ができたとしても、政権が交代するようなことになれば廃止される可能性があると指摘している。チャッチャート・シティパン運輸大臣は、2兆バーツ法案の命運は新政権次第だと述べている。アムポーン・キティアムポーン内閣官房長は、新政権が発足するより前に憲法裁が合憲判断を下した場合、現政権は国王認証を求めることが可能だとしているが、新政権の手に委ねる考え。チャッチャート運輸大臣は、運輸インフラ開発に関し、長期的な国の競争力の強化に役立つもので、すでにサブモジュールのうちのいくつかは詳細の準備がなされていることを明らかにしている。運輸省運輸交通政策企画事務局のチュラ・スックマノップ事務局長は、調査研究に時間がかかるためプロジェクトの研究は続行すると述べている。
治水プロジェクトについては、治水・洪水管理委員会のスポット・トーウィチャックチャイクン事務局長は下院解散の影響を受けないとしている。治水・洪水管理委事務局は、中央行政裁判所の命令にしたがって公聴会を各地で実施中。一二月六日に予定されていたバンコクでの最後の公聴会は反政府デモの影響で延期になったものの、近く開催されることになっている。公聴会はこれまでに全国レベルのものが1回、地域レベルのものが4回、県レベルのものが39回開催されている。
ただしスポット事務局長は、当初、一四年一月または二月にも予定していた施工業者との契約調印については、下院の解散で延期になる見通しにあることを明らかにしている。スポット事務局長は、数百億バーツに上る契約を選挙管理内閣の下で行なうことは無理があるとしている。入札で最大の金額のモジュールを受注している韓国水資源公社(Kウォーター)は、治水プロジェクトのステータスについて説明を政府と治水・洪水管理委に求めている。
治水プロジェクトで契約調印前の公聴会の開催を求める行政訴訟を起こした地球温暖化防止協会率いるシースワン・ジャンヤー氏は、治水プロジェクトを実施するかどうかは新政権が決めるべきで、現政権は手をつけるべきではないと主張している。なお同氏は各地で開催された公聴会について、その無効性を行政裁判所に訴える考えを示している。
NESDB事務局は、一四年の経済成長率を4・0~5・0%増と予測している。治水プロジェクトと運輸インフラ開発については、二〇一四年にそれぞれ665億2200万バーツ、1600億バーツの投資支出を見込んでいた。この投資支出が実行され、世界経済の成長率が3・5%増を下回らず、二〇一四年度予算の下での政府部門の投資的経費の執行率が目標の80%を下回らず、ドバイ原油価格が二〇一四年平均で1バレルあたり105ドル以下、政治対立が激しくなって経済活動や観光・投資に対する信頼感に影響を及ぼすことがなければ、一四年の経済成長率は5%台に達するとしている。
タイ中央銀行のクルーク・ワニッカクン副総裁は、2兆バーツの運輸インフラ開発プロジェクトが廃止になった場合にも、年度予算が滞りなく消化されるなら、一四年の経済成長に及ぼす影響は小さいと述べている。政治情勢の悪化は景気に悪影響を及ぼすものの、政局が正常化すれば景気は迅速に回復すると見ている。
日付 : 2013年12月16日
By : 週刊タイ経済