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一四年のタイの経済成長率 政治デモの状況次第で下振れ

 国家経済社会開発委員会(NESDB)事務局は一四年の経済成長率について、インフラ投資プロジェクトが前進し、物品輸出と観光業が成長する場合、4~5%増の成長を達成できると見ている。アーコム・トゥームピタヤーパイシット事務局長は、2兆バーツの運輸インフラと3500億バーツの治水プロジェクトが多少の遅延はあっても実行され、物品輸出が回復し、観光業の好調が続く必要があると述べている。

 アーコム事務局長は一九日、予算局や財務省を含む政府機関の代表との会議で、一四年の経済見通しについて協議している。反政府デモが観光、民間投資、政府支出、消費者の信頼感や個人消費に及ぼす影響について分析した。

 タイ商業会議所大学(UTCC)は、政治的不確実性がタイの経済成長に対する主要なリスクとなっており、政治デモが続けば、一四年の経済成長率は3%増をも下回る可能性があると警告している。UTCCは、選挙前に政治改革を実行するために、暫定内閣を樹立するという反政府派の構想が広範な支持を集めれば、政治の安定につながると指摘している。消費者の信頼感は改善し、消費支出増により経済成長率は4%増に上向くと述べている。

 二月二日に投票が予定されている総選挙が延期される場合には、政治空白が長引くことになり、経済にマイナスになるとの見方があるが、UTCCは選挙前に政治改革が実現すれば、その後の経済は飛躍的に成長が加速すると見ている。しかし改革が実施されず、しかも政治デモが長期化して政治的な緊張が高まるケースでは、経済的損失は2000~3000億バーツ規模に膨らむと見ている。
 UTCC景気予測センターのタナワット・ポンウィチャイ所長は、タイ経済は幸運なことに、一四年には世界経済の回復による恩恵を受けるとしている。物品輸出は回復し、これが内需の改善をもたらすと期待している。同センターは一四年のタイの物品輸出額を2490億ドル、前年比6・5%増と予測している。

 UTCC景気予測センターは、二〇一三年の経済成長率を従来の3・5%増から3・0%増に下方修正した。また一四年の経済成長率は政治が安定するベースケースで4・5%増と予測している。

 タイ中央銀行のアムポーン・キティアムポーン理事長は、期日通りに選挙は実施されるべきだとしており、もし選挙が実施されなければ、国内ならびに海外の投資家の信頼感が損なわれ、経済に激しい影響が及ぶとしている。

 国家経済社会開発委員会(NESDB)事務局は一七日に開かれた閣議に一三年一〇月の景気動向を報告している。ティーラット・ラタナセーウィー政府報道官によれば、民間消費は一〇月に0・03%減となっているが、第3四半期(七~九月)の2・1%減に比べると改善の兆しが見られる。一〇月の物品輸出は194億ドルで、前年同月比0・5%減となったが、第2、第3四半期の1・9%減、1・8%減に比べると改善している。

 NESDBは二〇一三年のタイ経済は3・0%増となると予測している。一般インフレ率は2・4%増、経常収支はGDP比0・9%の赤字。一方、二〇一四年は4・0~5・0%増を見込んでいる。一般インフレ率は2・1~3・1%増、経常収支はGDP比0・6%の赤字。

 キティラット・ナ・ラノーン副首相兼財務相は一二月一七日、下院解散後の選挙管理内閣の経済政策について、どのような措置であれば認められるのかを選挙委員会(EC)と協議する考えを明らかにした。下院解散勅令は、二〇一三年一二月九日に官報公示になっている。下院解散後、内閣は退任するが、任務遂行のために憲法第181条に基づきその地位にとどまると規定されており、内閣は国益の最大化のために必要なすべての事項について国政運営を続けることが可能。ただし新たな作業計画や事業計画または新内閣を拘束する事案は認可することができない。また新内閣を拘束することになる政策または行動指針を規定することもできない。ただし選挙委員会が事前に承認すれば必要な政策を打ち出すことは可能。

 現政権が実施している政策で、下院解散後の選挙管理内閣が実施できるかどうかが微妙なものには、軽油の物品税の時限減税措置がある。この政策はプアタイ党政権が発足するより前から導入されていたもので、減税期間は1か月ごとに延長を繰り返してきた。最新の規定では、軽油の物品税の特別減税は一二月末までとなっている。 ティーラット政府報道官は、一一月二五日に財務省が反政府デモ隊に包囲されて以来、政府調達がストップしたまま下院解散を迎えたと説明している。軽油の個別物品税減税の延長のほかでは、南部国境県での低利融資プログラムも延長の必要性がある。籾米担保貸付政策は一〇月一日に開始された雨季米のプログラムに関しては、二月末まで継続実施される見通し。その後の乾季米のプログラムは継続の是非を新政権が決定することになる。ゴム農家に対する補助金の支払いも継続される。

 ジンラック首相は一七日の閣議で、主要政府機関に法的に可能な経済対策を考案するよう命じると同時に、国家経済社会開発委員会(NESDB)事務局には、翌週の閣議に政治混乱の経済への影響についての報告を上げるよう指示している。


日付 : 2013年12月23日

By : 週刊タイ経済

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