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11月の工業生産指数 前年同月比で10・6%減

 工業省工業経済事務局が一二月二七日に発表した一一月の工業生産指数(MPI)は、前年同月比で10・6%減となった。前年同月比でのマイナス成長は8か月連続で、一一月は2桁減となった。設備稼働率は63・14%。一~一一月のMPIは前年同期比で2・9%収縮した。世界経済の回復の遅れ、ならび主要貿易相手国経済の減速、国内消費の鈍化が主因で、特に自動車の生産は国内市場の収縮と前年の数値が高いハイベース効果からマイナス成長となっている。

 ウィトゥーン・シマチョークディ工業省次官は、工業部門のGDPが第3四半期に0・4%減となったことについて、輸出の減少と国内市場の減速が響いていると述べている。ソムチャーイ・ハーンヒラン事務局長が明らかにしたところによれば、一~一一月のMPIは前年同期比2・9%減で、設備稼働率は64・77%だった。自動車、ハード・ディスク・ドライブ、冷凍水産品・缶詰の生産の落ち込みが響いている。

 自動車工業は一~一一月に前年同期比で4・09%増となった。オセアニア、中東、アフリカ、欧州、中南米向け輸出が伸びていることが生産を支えている。輸出は10・13%増を記録している。しかし国内販売は5・36%減となっている。二〇一四年の見通しについては、生産台数は前年比3・75%増となる260万台が見込まれている。国内販売が130万台、輸出が130万台の見積もりで、それぞれ前年比0・69%減、15・97%増と予測されている。

 電機・エレクトロニクス工業は、一~一一月の生産指数が6・05%減となった。エレクトロニクス工業の生産が6・71%減少したことが響いている。技術変化のスピードが急で、世界的にパソコンの需要が伸び悩み、主力のHDDの生産が落ち込んだ。電機工業の生産は3・05%減となった。家電の生産減による。一四年に生産は1~3%増に上向くものと予測されている。

 鉄鋼業に関しては、一三年一~一一月の国内鉄鋼消費量は前年比で5・19%増となった。しかし生産は1・96%増に鈍化した。下半期に建設業、電機工業、機械工業などの関連工業の生産が横這いとなっていることが響いた。一四年に関しては、鉄鋼需要は景気動向に左右されそう。

 繊維・衣料工業に関しては、一~一一月の生産、国内出荷、輸出のいずれも拡大した。繊維輸入は減少したが、布地は中国からの安価な商品の流入の影響を受けた。また既製服は米欧景気の影響を受けた。一四年に関しては繊維、布地の生産は拡大しそう。ASEANや日本からの需要が期待できる。一方、既製服の生産は一三年並みの伸びにとどまる見通し。

 食品工業の一三年一~一一月の生産は前年同期比0・1%減となった。輸出は6・2%減となった。エビの生産減と輸入国の景気減速の影響を受けた。一四年に関しては1~2%増が見込まれている。

 工業省工業経済事務局は、一三年通年の工業生産指数が前年比3%減になると見積もっている。また一一月に工業生産が2桁減になった一因は政治緊張にあると見ており、これが一四年の工業経済の見通しを曇らせていると指摘している。工業製品は物品輸出のおよそ65%を占めており、物品輸出はタイのGDPの60%以上に相当するだけに、工業生産の行方はタイ経済全体を左右する。ただソムチャイ事務局長は、世界経済の復興が工業生産と工業部門のGDPを押し上げるとしており、工業部門の成長は戻ると見積もっている。金利・インフレ率が低位にとどまっていることは支援材料になるとしている。



日付 : 2014年01月06日

By : 週刊タイ経済

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