非常事態宣言 マネーマーケットも懸念
マネーマーケットはタイ政府が非常事態宣言に踏み切ったことを受け、政治情勢に対する警戒を一段と強めている。反政府派のPDRCが一三日より「バンコク封鎖」を開始して以来、投資家の資産運用リスクは高まっているが、非常事態宣言で投資環境はさらに悪化している。ただし株式市場では、政治不安の株価への影響は短期的なものにとどまり、売買代金の低下も一時的なものにとどまるとの楽観的な見方も少なくない。政府は非常事態宣言に基づき政治集会を禁止しているものの、反政府デモ隊はこれを無視して、ジンラック首相の即時辞任を要求する集会を続けており、二月二日の総選挙投票の阻止を当面の運動目的としている。
資本市場連合会のパイブーン・ナリントランカーン会長は、非常事態宣言は、3か月近くに達しようとしている政治混乱を平和的な話し合いによって解決しようとする努力を放棄し、武力を使う選択肢を加えたことを意味すると指摘。政治対立は一段と激しいものになると述べている。正常悪化を恐れてタイを訪れることを避けているのは外国人観光客だけでなく、グローバルな投資ファンドのファンド・マネージャーなどもタイ訪問をキャンセルしているとした。パイブーン氏はさらに、政府が非常事態宣言の適用期間を60日間と長めに定めていることについても、国民には知らせたくない何かがあるのではないかと疑っている。
二二日のタイ株式市場のSET株価指数終値は1290・49ポイントで、前日比2・61ポイント安となった。外国人投資家はこの日、8億6164万バーツを売り越している。前場は非常事態宣言を懸念して株価が下げたが、政府側がデモ隊の制圧などの実力行動に出ないことを表明したことで、後場には値を下げた銘柄を買い戻す動きが目立った。なお、この日の売買代金は317億6000万バーツだった。ある証券アナリストは、投資家は非常事態を宣言しても軍が関与を拒否しているため、軍隊による制圧はなく、反政府デモ隊も政府の命令を無視している以上、非常事態宣言で情勢が大きく変わることはないと分析している。このアナリストは、目先、株価指数は1250ポイントまで下げる可能性があるが、これを下回れば買い戻しの動きが出て、下げ止まると予測している。また外国人投資家は買い戻す機会をうかがい、政局が落ち着くのを待っていると述べている。
一方で別の証券アナリストは、二〇一〇年の赤シャツ派デモに比べると、今回のデモは暴力的ではないが、当時に比べると経済状態そのものが芳しくないことを指摘。投資マネーはより高いリターンを求めて他の外国の市場にシフトすると予測している。タイ証券会社協会のパッティラ・ディロックルンティラポップ会長によれば、デモ隊のバンコク封鎖が始まった一三日以降、株式市場の売買代金は顕著に減少している。最近の1日あたり売買代金は200億バーツ台にとどまっており、一時期の500億バーツ超から激減している。ただしパッティラ女史は、出来高の減少は短期的なもので、政治状況が好転すれば投資は戻ってくるとしている。
バーツ相場は一〇月末から反政府集会デモが始まってから以降、対ドルで5%超下落しているが、世界的なドル高基調に連動した部分が大きく、タイ中央銀行のプラサーン・トライラットウォラクン総裁は、バーツ相場は相対的に安定した値動きをしていると説明している。同総裁はタイからのマネー流出は、タイ債券市場と株式市場における外国人投資家の持分に比して小さなものにとどまっていると指摘している。タイ資本市場連合会は毎月の定例会議を二三日に開き、国内政治情勢の悪化が上場企業や資本市場、さらには経済全般に及ぼす影響について分析している。
日付 : 2014年01月27日
By : 週刊タイ経済
資本市場連合会のパイブーン・ナリントランカーン会長は、非常事態宣言は、3か月近くに達しようとしている政治混乱を平和的な話し合いによって解決しようとする努力を放棄し、武力を使う選択肢を加えたことを意味すると指摘。政治対立は一段と激しいものになると述べている。正常悪化を恐れてタイを訪れることを避けているのは外国人観光客だけでなく、グローバルな投資ファンドのファンド・マネージャーなどもタイ訪問をキャンセルしているとした。パイブーン氏はさらに、政府が非常事態宣言の適用期間を60日間と長めに定めていることについても、国民には知らせたくない何かがあるのではないかと疑っている。
二二日のタイ株式市場のSET株価指数終値は1290・49ポイントで、前日比2・61ポイント安となった。外国人投資家はこの日、8億6164万バーツを売り越している。前場は非常事態宣言を懸念して株価が下げたが、政府側がデモ隊の制圧などの実力行動に出ないことを表明したことで、後場には値を下げた銘柄を買い戻す動きが目立った。なお、この日の売買代金は317億6000万バーツだった。ある証券アナリストは、投資家は非常事態を宣言しても軍が関与を拒否しているため、軍隊による制圧はなく、反政府デモ隊も政府の命令を無視している以上、非常事態宣言で情勢が大きく変わることはないと分析している。このアナリストは、目先、株価指数は1250ポイントまで下げる可能性があるが、これを下回れば買い戻しの動きが出て、下げ止まると予測している。また外国人投資家は買い戻す機会をうかがい、政局が落ち着くのを待っていると述べている。
一方で別の証券アナリストは、二〇一〇年の赤シャツ派デモに比べると、今回のデモは暴力的ではないが、当時に比べると経済状態そのものが芳しくないことを指摘。投資マネーはより高いリターンを求めて他の外国の市場にシフトすると予測している。タイ証券会社協会のパッティラ・ディロックルンティラポップ会長によれば、デモ隊のバンコク封鎖が始まった一三日以降、株式市場の売買代金は顕著に減少している。最近の1日あたり売買代金は200億バーツ台にとどまっており、一時期の500億バーツ超から激減している。ただしパッティラ女史は、出来高の減少は短期的なもので、政治状況が好転すれば投資は戻ってくるとしている。
バーツ相場は一〇月末から反政府集会デモが始まってから以降、対ドルで5%超下落しているが、世界的なドル高基調に連動した部分が大きく、タイ中央銀行のプラサーン・トライラットウォラクン総裁は、バーツ相場は相対的に安定した値動きをしていると説明している。同総裁はタイからのマネー流出は、タイ債券市場と株式市場における外国人投資家の持分に比して小さなものにとどまっていると指摘している。タイ資本市場連合会は毎月の定例会議を二三日に開き、国内政治情勢の悪化が上場企業や資本市場、さらには経済全般に及ぼす影響について分析している。
日付 : 2014年01月27日
By : 週刊タイ経済