ユーザー名 パスワード
クイック検索
キーワード

籾米担保貸付政策の費用調達 政府は1300億バーツを借入へ

 プアタイ党政府は、籾米担保貸付政策の担保代金の調達のため、1300億バーツの借入計画を続行する方針だ。政府は、この借入が選挙管理の暫定政権の下で可能かどうか、選挙委員会(EC)に照会していたが、ECは財務省の計画する1300億バーツの借入が合法かどうかを決める権限は持ってないとし、政府が自らの責任で判断すべきだと回答している。

 プアタイ党政府はこれを受け、一月二一日に開いた閣議で二〇一四年度の公的債務管理計画の修正を承認。1300億バーツの借入を同計画に組み込んだ。憲法は下院解散後も内閣は、新政権が発足するまで任にとどまると規定する一方、この間に、新政権を財政的に拘束することになる政策や措置は講じることができないと規定している。

 政府は籾米の担保代金を一月一五日までに支払うとしていたが、代金支払い窓口となっている農業・農協銀行(BAAC)は手持ち資金による立替拠出を拒否、商業省による政府保管米の払い下げも延期になり、籾米担保代金を捻出できないでいた。代金支払いの遅延に不満を募らせた稲作農民は、政府に支払いを要求し、国道11号線、アジアハイウェイなどの道路封鎖の抗議行動に出ていた。ピチット県の稲作農民グループはBAACの支店を包囲して閉鎖に追い込んでいる。同様の農民による抗議デモはチェンライ県、シンブリ県などでも生じており、一部では反政府デモ隊と連携する動きも見せている。

 キティラット・ナ・ラノーン副首相は当初、担保代金の支払いが遅れているのは、反政府デモ隊が財務省を包囲したことが理由と弁明していた。その後の説明では、政府に担保代金支払いのための十分な資金はあるが、ECの承認が必要だとしていた。同副首相の最新の説明によれば、1300億バーツの借入は、政府が下院解散前の九月三日時点で閣議承認していた2700億バーツの予算の一部で、政府が借入を進めることは可能。借入は次期政権を拘束する新規プロジェクトではないとしている。新政権は借金を引き継ぐことになるものの、以前に内閣が承認済みのもので、新たな借金ではないと主張している。

 一方、タイ弁護士協会は、籾米担保代金の支払い遅延で困窮する農家による国を相手取った訴訟を支援する用意があることを表明している。デートウドム・クライリット会長は、代金支払いで約束を破ったのは政府であり、農民側が敗訴する可能性はゼロだと主張している。民事訴訟のほか、詐欺罪などでの刑事訴訟も考えている。弁護士協会は証拠集めに2か月はかかり、実際の訴訟はその後になるとしている。

 一方、タヌーサック・レックウタイ財務副大臣は二一日、政府が1300億バーツ借入を見送る場合には、BAACが稲作農民を助けてくれると述べている。タヌーサック副大臣は資金流用を拒むBAACの説得役を任されている。BAACは籾米代金の立替を拒否してきたが、担保代金の支払い遅延で資金繰りがつかなくなっている農家に対しては新規の資金融通、既存借金の返済繰り延べなどの支援措置を講じている。タヌーサック副大臣は、担保代金の証書を担保にした資金貸付で与信枠の拡張をBAACに要請している。

 BAAC本部には一月二〇日、反政府デモ隊が押し寄せ、資金流用で政府の要請に応じないよう要求している、対応にあたったスウィット・ティラットシリクン上級副総裁は、次の定例理事会に諮るかどうかはその時の状況次第としている。これに対し同行労組は断固反対の立場で、デモ隊とも意気投合している。同行労組は二〇日、黒服を着用して立替拠出への反対を表明。もし経営陣が政府の要請を受諾した場合には、経営陣追放の抗議行動を起こすとしている。ヤンヨン・プアンラット商業副大臣はBAACの労組に対し、代金をもらえずにいる稲作農民に同情してほしいと呼びかけている。



日付 : 2014年01月27日

By : 週刊タイ経済

登録