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日本の国際協力銀行 日系中小企業向け協調融資

 日本の国際協力銀行(JBIC)は二月四日、「海外展開支援融資ファシリティ」の一環として、マノ精工のタイ現地法人、マノ・プレシジョン(タイランド)社との間で1500万バーツを限度とする貸付契約、ならびに横山興業のタイ現地法人、横山興業(タイランド)との間で2500万バーツを限度とする貸付契約を締結したと発表した。2件の融資は民間金融機関との協調融資によるもの。

 マノ・プレシジョン(タイランド)社への融資は、多摩信用金庫との初の協調融資によるもので、協調融資総額は6500万バーツ相当。マノ精工はアユタヤ県にタイ現地法人を設立し、金属製精密機械部品(トラック自動車金属部品など)の製造・販売事業を行なう計画で、JBICと多摩信用金庫が必要な資金をバーツ建てで融資する。

 マノ精工は一九四八年の創業以来、金属製精密機械部品の製造・販売を行なう中小企業。アジアを中心に今後も自動車部品などの需要拡大が見込まれる中、主要取引先のニーズに応えるべく、一三年五月にマノ・プレシジョン(タイランド)社を設立。タイでの事業拡大を計画している。

 横山興業(タイ)への融資も民間金融機関との協調融資によるもので、ラヨン県にある自動車用シート部品の工場建屋の拡張と機械装置の追加導入に必要な資金をバーツ建てで融資する。

 横山興業は一九五一年創業で、自動車用シート部品の製造・販売事業などを手掛ける中小企業。特に自動車用シートフレームに関する金属プレス・溶接加工に強みを持ち、大手自動車向け一次サプライヤーを中心に製品を供給している。タイには二〇一〇年一二月に進出した。タイの安定した経済成長を背景に自動車・同関連産業の需要拡大が見込まれることから、横山興業にとって初の海外製造拠点としてタイ現地法人を設立した。今回の拡張によりタイでのさらなる事業拡大を計画している。

 JBICは今回の2件の融資について、マノ精工と横山興業の海外事業展開への支援を通じて、日本の産業の国際競争力の維持・向上に貢献することになるとしている。JBICは今後も、日本の公的金融機関として、こうした現地通貨建て資金ニーズへの対応を含め、金融ツールを活かした案件組成やリスクテイク機能を通じ、タイを初めとする成長市場における中堅・中小企業を含む日本企業の海外事業展開を金融面から支援していく方針。

 JBICはこれより前、一月二二日にもキーレックスとの間で、7億円の貸付契約を締結している。広島銀行との協調融資によるもので、協調融資総額は12億円。キーレックスが過半を出資し、ラヨン県で自動車部品の製造・販売を行なうタイ法人、サミット・キーレックス(タイランド)社の工場建設のために必要な資金を融資した。

 キーレックスは、自動車車体部品と車両部品の製造・販売事業を行なう中小企業。タイで今後も自動車の生産増が見込まれることから、一三年二月にサミット・キーレックス(タイ)を設立し、タイでの事業拡大を計画している。

 なお海外展開支援融資ファシリティは、日本企業の海外展開支援をより一層推進していくことを目的に二〇一三年四月に創設したもの。一三年三月末に期限を迎えた「円高対応緊急ファシリティ」の支援対象分野を拡充の上、発展的に改編した。「海外展開支援出資ファシリティ」と併せ、日本企業の海外展開を支援する「車の両輪」として、海外M&Aやインフラ、資源案件などへの長期資金供給を通じて、中堅・中小企業を含む日本企業の海外展開を積極的に支援している。


日付 : 2014年02月10日

By : 週刊タイ経済

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