三菱東京UFJ出資のアユタヤ銀行 自動車、電機・電子のSMEにシフト
タイの中堅商業銀行のアユタヤ銀行(BAY)は、三菱東京UFJ銀行との資本提携を受け、シナジー効果を活用した自動車、電機・エレクトロニクス工業分野の中小企業向け金融サービスを強化する。自動車、電機・エレクトロニクス分野の中小企業は、東京三菱UFJ銀行の顧客ベースである日系企業のサプライヤーやディーラーが多いため、取引機会も大きいと判断している。
BAYは伝統的にリテール・バンキングに強い。リテール・バンキングは利幅が大きいものの、経済の先行きに不透明感が漂うため、重点強化の対象からは外す。またリテール・ローンの不良債権率は1%以上で、中小企業向け融資よりも比率が高くなっている。今年の貸出目標は、中規模企業向けで14%増、小規模企業向けで16%増に設定した一方、リテール・ローンは8%増にとどめた。
BAYは中小企業向け融資では貸出残高で現在5位となっているが、5年以内に上位3位入りを目指す。当初は3年以内の目標達成を目指していたが、三菱東京UFJの基準に沿って、中小企業向け融資のうち370億バーツをコーポレート・バンキングのポートフォリオに組み込んだことが理由で、5年以内の達成に変更した。クレジットラインが10億バーツを超える企業向けの融資は、コーポレート・バンキングのポートフォリオに加えることになったため、中小企業向け貸出残高は昨年末時点で2200億バーツあったのが1830億バーツに減っている。BAYの三菱東京UFJ銀に倣った融資ポートフォリオの基準は、信用限度額1200万バーツまでがリテール、1200万バーツ超3000万バーツまでが小規模企業、3000万バーツ超10億バーツまでが中規模企業に改められた。
現在、自動車、電機・エレクトロニクス分野の取引先は、BAYの中小企業向け融資ポートフォリオの1割に満たないものとなっている。日本はタイへの直接投資で最大の投資国で、投資委員会(BOI)のデータによれば、二〇一二年には日本からの投資は761件、3480億バーツを数えている。このうち479件の投資は自動車、電機・エレクトロニクス分野となっている。両分野の中小取引先の獲得にあたって、東京三菱UFJ銀は、タイの日系企業のサプライチェーンにある企業をBAYに紹介する。BAYは今年、自動車工業の中小企業で65億バーツ、電機・エレクトロニクス工業の中小企業で10億バーツの融資実行を目指す。両産業向けの特別金融プログラムも用意する方針。二〇一四年のタイの経済成長率は2%増程度にとどまる可能性が出ているものの、BAYは今年の中小企業向け融資の成長率を12・4%増に置いている。
一方、富裕層向け資産運用管理のウェルス・マネジメント事業では地方の市場を開拓する。顧客の数を3万人から5万人に増やすことが目標。BAYの同サービスは資産規模500万バーツを最小要件としている。現在の同行のウェルス・マネジメント業務での運用管理資産額は3200億バーツ。地方の富裕層を開拓することで、年末までに3500億バーツに拡張することを目標としている。東京三菱UFJ銀を大株主に迎えたことで、同行の信用格付は「BBB」から「A」に引き上げられるものと期待しているほか、ビジネス機会の強化につながると見ている。
日付 : 2014年03月31日
By : 週刊タイ経済
BAYは伝統的にリテール・バンキングに強い。リテール・バンキングは利幅が大きいものの、経済の先行きに不透明感が漂うため、重点強化の対象からは外す。またリテール・ローンの不良債権率は1%以上で、中小企業向け融資よりも比率が高くなっている。今年の貸出目標は、中規模企業向けで14%増、小規模企業向けで16%増に設定した一方、リテール・ローンは8%増にとどめた。
BAYは中小企業向け融資では貸出残高で現在5位となっているが、5年以内に上位3位入りを目指す。当初は3年以内の目標達成を目指していたが、三菱東京UFJの基準に沿って、中小企業向け融資のうち370億バーツをコーポレート・バンキングのポートフォリオに組み込んだことが理由で、5年以内の達成に変更した。クレジットラインが10億バーツを超える企業向けの融資は、コーポレート・バンキングのポートフォリオに加えることになったため、中小企業向け貸出残高は昨年末時点で2200億バーツあったのが1830億バーツに減っている。BAYの三菱東京UFJ銀に倣った融資ポートフォリオの基準は、信用限度額1200万バーツまでがリテール、1200万バーツ超3000万バーツまでが小規模企業、3000万バーツ超10億バーツまでが中規模企業に改められた。
現在、自動車、電機・エレクトロニクス分野の取引先は、BAYの中小企業向け融資ポートフォリオの1割に満たないものとなっている。日本はタイへの直接投資で最大の投資国で、投資委員会(BOI)のデータによれば、二〇一二年には日本からの投資は761件、3480億バーツを数えている。このうち479件の投資は自動車、電機・エレクトロニクス分野となっている。両分野の中小取引先の獲得にあたって、東京三菱UFJ銀は、タイの日系企業のサプライチェーンにある企業をBAYに紹介する。BAYは今年、自動車工業の中小企業で65億バーツ、電機・エレクトロニクス工業の中小企業で10億バーツの融資実行を目指す。両産業向けの特別金融プログラムも用意する方針。二〇一四年のタイの経済成長率は2%増程度にとどまる可能性が出ているものの、BAYは今年の中小企業向け融資の成長率を12・4%増に置いている。
一方、富裕層向け資産運用管理のウェルス・マネジメント事業では地方の市場を開拓する。顧客の数を3万人から5万人に増やすことが目標。BAYの同サービスは資産規模500万バーツを最小要件としている。現在の同行のウェルス・マネジメント業務での運用管理資産額は3200億バーツ。地方の富裕層を開拓することで、年末までに3500億バーツに拡張することを目標としている。東京三菱UFJ銀を大株主に迎えたことで、同行の信用格付は「BBB」から「A」に引き上げられるものと期待しているほか、ビジネス機会の強化につながると見ている。
日付 : 2014年03月31日
By : 週刊タイ経済