商業省統計の2月の物品輸出額 前年同月比2・43%増に回復
商業省が三月二六日に発表した二月のタイの物品輸出額は183億6300万ドルで、前年同月比2・43%増となった。一方、二月の物品輸入額は165億9600万ドルで、前年同月比16・62%減となっている。この結果、二月の貿易収支は17億6700万ドルの黒字となった。タイの物品輸出は昨年一二月に4か月ぶりに前年同月比プラス成長に転じていたものの、一月は減少していた。商業省は主力輸出市場の景気回復にともない下半期には輸出が上向いてくると予測している。
シーラット・ラサタパナ商業省次官によれば、二月の物品輸出の成長率は直近の6か月間で最高となっている。特に鉱物・燃料、金地金などの特定商品の輸出が引き続き伸びている。また主要工業製品の輸出も上向いている。エレクトロニクス製品は9・6%増、電機製品は7・2%増、輸送機械は17・2%増、合成樹脂・プラスチックは2・9%増となった。一方で建材の輸出は40・6%減となったため、工業製品全体では6・8%増にとどまった。
これに対し、農業・アグロインダストリー製品の輸出は5・7%減と引き続き収縮している。天然ゴムは13・8%減、冷凍水産品・同缶詰は9・9%減、冷凍エビ・同調製品は26・9%減、冷凍鶏肉・同調製品は3・8%減、砂糖は43・8%減となった。
コメの輸出は二月に17・4%増を記録した。輸出価格が下がり、競合国並みとなったことにバーツ安も加わり、輸入国からの引き合いが戻ってきている。特にコメ自給目標を断念したマレーシアの輸入が増えている。コートジボワール、カメルーン、モザンビーク、ナイジェリア、南アフリカ、ベニンなどでも需要が増えている。ナイジェリア政府はタイ米の輸入関税算出における参照価格を1トンあたり690ドルから455ドルに引き下げた。
天然ゴムの二月の輸出は13・8%減。中国、日本からの引き合いが細った。在庫が高水準にあることに加え、世界のゴム需要も依然、回復していない。タピオカ製品の輸出は26・0%増。市場出荷量が増え、エタノール生産のための需要が続いている中国向け輸出が伸びている。
冷凍エビ・同調製品はEMS(早期死亡症候群)流行問題で原料不足が続いている上、児童労働問題でタイのエビ産業のイメージが悪化している。冷凍鶏肉・同調製品の輸出は、飼料コストの上昇からタイの価格競争力が低下しており、主力市場の日本やオランダからの引き合いが減少している。砂糖は、大口輸入国のインドネシアが輸入量を減らしている。十分な在庫があるためで、またルピア安の結果、輸入価格も上昇している。
二月の輸出額を仕向け地別に見ると、主力市場向けは2・3%増となっている。EU(15)、日本向けはそれぞれ7・0%増、2・7%増となった。一方で、米国向けは2・3%減だった。有望市場向けの輸出は全体で0・2%増となった。ASEAN(9)、香港向けがそれぞれ0・9%増、8・7%増となったが、中国、インド向けはそれぞれ0・8%減、9・6%減だった。準有望市場向け輸出は全体で1・9%増となり、オセアニア、中東、アフリカ、中南米、EU(12)向けがそれぞれ順に0・8%、0・4%、3・6%、4・9%、1・4%増加した。その他市場向けは171・4%増で、特にスイス向けは468・5%増となった。
EU、日本向け輸出の増加は両国・地域の景気拡大によるところが大きい。またASEAN向け輸出は、CLMV(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)向けが14・1%増加したほか、ブルネイ、フィリピン、マレーシア向けもそれぞれ順に43・0%、17・0%、6・9%増となった。中国向け輸出の減少は、中国政府が内需主導の経済成長を目指していることが一因で、またインド向け輸出の収縮はインド経済の減速が主因となっている。
一方で二月の輸入額は前年同月比16・62%減となった。燃料の輸入は9・0%増で、原油、精製油、天然ガスの輸入が伸びている。原材料・中間財は0・3%増で、鉄鋼・同製品、電機・エレクトロニクス部品が伸びている。消費財は5・2%増で、家電、青果などの輸入が拡大した。これに対し、資本財は5・6%減となった。機械・同部品、電機、コンピュータなどの輸入が減少した。輸送機械の輸入は6・4%減で、乗用車の輸入が減少している。
自由貿易協定(FTA)締結8か国・地域(ASEAN、日本、インド、中国、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、ペルー)向けの二月の輸出額は103億3800万ドルとなり、前年同月を0・3%下回った。FTAの特典を利用した輸出は42億650万ドルで、前年同月比0・3%増だった。AFTAでの特典利用による輸出額は14億5320万ドルで、前年同月比5・3%増、商用車、エアコン、シャンプー、非アルコール飲料、ポリエチレンなどが多い。中国向けの特典利用による輸出額は12億4630万ドルで、前年同月比12・0%増。ゴム、タピオカ澱粉、その他エチレン・ポリマー、パラキシレン、ポリカーボネートなどの輸出が多い。オーストラリア向けの特典利用による輸出額は5億9060万ドルで、前年同月比23・8%減、トラック、乗用車、ツナ調製品、ポリエチレン、エアコン・同部品、冷蔵庫、ポリエチレン・テレフタレート(PET)などの輸出が多い。
FTA締結8か国・地域からのタイの輸入額は93億540万ドルで、前年同月比18・6%減。FTAの特典を利用した輸入額は19億1700万ドルで、18・2%減となっている。AFTAでの特典利用による輸入額は7億990万ドルで、前年同月比8・3%減、自動車、石炭、制御機器、キャッサバ、ニンジンなどが多い。中国からの特典利用による輸入額は5億1470万ドルで、前年同月比27・4%減、圧延鋼板、鋼管・棒鋼、銅線などが多い。日本からの特典利用による輸入額は4億3700万ドルで、前年同月比28・4%減、圧延鋼板、ステンレス鋼板などが多い。
隣国(マレーシア、ミャンマー、ラオス、カンボジア)との国境貿易は一~二月に1581億3890万バーツとなり、前年同期を2・19%上回った。マレーシアとの国境貿易額が860億8150万バーツで、最も多く、国境貿易全体の54%を占めた。また国境貿易でのタイの輸出額は992億5620万バーツで、前年同期比7・23%増となった。自動車、軽油、コンピュータなどが多い。国境貿易でのタイの輸入額は588億8280万バーツで、前年同期比5・3%減。この結果、国境貿易でタイは403億7340万バーツの黒字を記録している。国境横断貿易は一、二月期に230億9220万バーツで、前年同月比43・72%増となった。シンガポール向けが最も多い。国境横断貿易でのタイの輸出額は110億4550万バーツで、前年同期比44・39%増、エンジン、非アルコール飲料、冷蔵・冷凍果物などが多い。タイの輸入額は120億4660万バーツで、同43・11%増だった。
なお一~二月のタイの物品輸出額は362億7100万ドルで、前年同期比0・20%増となっている。同期の輸入額は370億2600万ドルで、同16・00%減。貿易収支は7億5400万ドルの赤字となった。
シーラット次官は、政治混乱が輸出に及ぼしている影響は限定的だと指摘。今後の輸出に影響を及ぼす恐れがあるリスク材料として、原油高、広範囲に及ぶ旱魃被害、為替変動を挙げている。同次官は、今年第1四半期(一~三月)の輸出がゼロ成長にとどまるか、前年同期比微減になる可能性に言及しているが、主力市場の景気の回復や、水産品や鶏肉輸出の回復が見込まれることを根拠に、通年の輸出目標の前年比5%増は達成可能と見ている。商業省では、輸出が第2四半期に4%増へと持ち直し、下半期には7%増に達すると期待している。
日付 : 2014年03月31日
By : 週刊タイ経済
シーラット・ラサタパナ商業省次官によれば、二月の物品輸出の成長率は直近の6か月間で最高となっている。特に鉱物・燃料、金地金などの特定商品の輸出が引き続き伸びている。また主要工業製品の輸出も上向いている。エレクトロニクス製品は9・6%増、電機製品は7・2%増、輸送機械は17・2%増、合成樹脂・プラスチックは2・9%増となった。一方で建材の輸出は40・6%減となったため、工業製品全体では6・8%増にとどまった。
これに対し、農業・アグロインダストリー製品の輸出は5・7%減と引き続き収縮している。天然ゴムは13・8%減、冷凍水産品・同缶詰は9・9%減、冷凍エビ・同調製品は26・9%減、冷凍鶏肉・同調製品は3・8%減、砂糖は43・8%減となった。
コメの輸出は二月に17・4%増を記録した。輸出価格が下がり、競合国並みとなったことにバーツ安も加わり、輸入国からの引き合いが戻ってきている。特にコメ自給目標を断念したマレーシアの輸入が増えている。コートジボワール、カメルーン、モザンビーク、ナイジェリア、南アフリカ、ベニンなどでも需要が増えている。ナイジェリア政府はタイ米の輸入関税算出における参照価格を1トンあたり690ドルから455ドルに引き下げた。
天然ゴムの二月の輸出は13・8%減。中国、日本からの引き合いが細った。在庫が高水準にあることに加え、世界のゴム需要も依然、回復していない。タピオカ製品の輸出は26・0%増。市場出荷量が増え、エタノール生産のための需要が続いている中国向け輸出が伸びている。
冷凍エビ・同調製品はEMS(早期死亡症候群)流行問題で原料不足が続いている上、児童労働問題でタイのエビ産業のイメージが悪化している。冷凍鶏肉・同調製品の輸出は、飼料コストの上昇からタイの価格競争力が低下しており、主力市場の日本やオランダからの引き合いが減少している。砂糖は、大口輸入国のインドネシアが輸入量を減らしている。十分な在庫があるためで、またルピア安の結果、輸入価格も上昇している。
二月の輸出額を仕向け地別に見ると、主力市場向けは2・3%増となっている。EU(15)、日本向けはそれぞれ7・0%増、2・7%増となった。一方で、米国向けは2・3%減だった。有望市場向けの輸出は全体で0・2%増となった。ASEAN(9)、香港向けがそれぞれ0・9%増、8・7%増となったが、中国、インド向けはそれぞれ0・8%減、9・6%減だった。準有望市場向け輸出は全体で1・9%増となり、オセアニア、中東、アフリカ、中南米、EU(12)向けがそれぞれ順に0・8%、0・4%、3・6%、4・9%、1・4%増加した。その他市場向けは171・4%増で、特にスイス向けは468・5%増となった。
EU、日本向け輸出の増加は両国・地域の景気拡大によるところが大きい。またASEAN向け輸出は、CLMV(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)向けが14・1%増加したほか、ブルネイ、フィリピン、マレーシア向けもそれぞれ順に43・0%、17・0%、6・9%増となった。中国向け輸出の減少は、中国政府が内需主導の経済成長を目指していることが一因で、またインド向け輸出の収縮はインド経済の減速が主因となっている。
一方で二月の輸入額は前年同月比16・62%減となった。燃料の輸入は9・0%増で、原油、精製油、天然ガスの輸入が伸びている。原材料・中間財は0・3%増で、鉄鋼・同製品、電機・エレクトロニクス部品が伸びている。消費財は5・2%増で、家電、青果などの輸入が拡大した。これに対し、資本財は5・6%減となった。機械・同部品、電機、コンピュータなどの輸入が減少した。輸送機械の輸入は6・4%減で、乗用車の輸入が減少している。
自由貿易協定(FTA)締結8か国・地域(ASEAN、日本、インド、中国、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、ペルー)向けの二月の輸出額は103億3800万ドルとなり、前年同月を0・3%下回った。FTAの特典を利用した輸出は42億650万ドルで、前年同月比0・3%増だった。AFTAでの特典利用による輸出額は14億5320万ドルで、前年同月比5・3%増、商用車、エアコン、シャンプー、非アルコール飲料、ポリエチレンなどが多い。中国向けの特典利用による輸出額は12億4630万ドルで、前年同月比12・0%増。ゴム、タピオカ澱粉、その他エチレン・ポリマー、パラキシレン、ポリカーボネートなどの輸出が多い。オーストラリア向けの特典利用による輸出額は5億9060万ドルで、前年同月比23・8%減、トラック、乗用車、ツナ調製品、ポリエチレン、エアコン・同部品、冷蔵庫、ポリエチレン・テレフタレート(PET)などの輸出が多い。
FTA締結8か国・地域からのタイの輸入額は93億540万ドルで、前年同月比18・6%減。FTAの特典を利用した輸入額は19億1700万ドルで、18・2%減となっている。AFTAでの特典利用による輸入額は7億990万ドルで、前年同月比8・3%減、自動車、石炭、制御機器、キャッサバ、ニンジンなどが多い。中国からの特典利用による輸入額は5億1470万ドルで、前年同月比27・4%減、圧延鋼板、鋼管・棒鋼、銅線などが多い。日本からの特典利用による輸入額は4億3700万ドルで、前年同月比28・4%減、圧延鋼板、ステンレス鋼板などが多い。
隣国(マレーシア、ミャンマー、ラオス、カンボジア)との国境貿易は一~二月に1581億3890万バーツとなり、前年同期を2・19%上回った。マレーシアとの国境貿易額が860億8150万バーツで、最も多く、国境貿易全体の54%を占めた。また国境貿易でのタイの輸出額は992億5620万バーツで、前年同期比7・23%増となった。自動車、軽油、コンピュータなどが多い。国境貿易でのタイの輸入額は588億8280万バーツで、前年同期比5・3%減。この結果、国境貿易でタイは403億7340万バーツの黒字を記録している。国境横断貿易は一、二月期に230億9220万バーツで、前年同月比43・72%増となった。シンガポール向けが最も多い。国境横断貿易でのタイの輸出額は110億4550万バーツで、前年同期比44・39%増、エンジン、非アルコール飲料、冷蔵・冷凍果物などが多い。タイの輸入額は120億4660万バーツで、同43・11%増だった。
なお一~二月のタイの物品輸出額は362億7100万ドルで、前年同期比0・20%増となっている。同期の輸入額は370億2600万ドルで、同16・00%減。貿易収支は7億5400万ドルの赤字となった。
シーラット次官は、政治混乱が輸出に及ぼしている影響は限定的だと指摘。今後の輸出に影響を及ぼす恐れがあるリスク材料として、原油高、広範囲に及ぶ旱魃被害、為替変動を挙げている。同次官は、今年第1四半期(一~三月)の輸出がゼロ成長にとどまるか、前年同期比微減になる可能性に言及しているが、主力市場の景気の回復や、水産品や鶏肉輸出の回復が見込まれることを根拠に、通年の輸出目標の前年比5%増は達成可能と見ている。商業省では、輸出が第2四半期に4%増へと持ち直し、下半期には7%増に達すると期待している。
日付 : 2014年03月31日
By : 週刊タイ経済