運輸省は、鉄道複線化、電車プロジェクト、チュムポン県での深海港建設とパタヤ～マプタプット間の特別自動車道（モーターウェイ）建設プロジェクトを二〇一五年度の年度予算で実施する計画だ。合計投資予算は約１１００億バーツ。運輸省配分の投資予算１４１０億バーツのほぼ４分の３を占める。

　国家平和秩序維持団（ＮＣＰＯ）の副団長で、経済行政を担当するプラチン・チャントーン空軍司令官は六月二三日、運輸省の高級官僚との会議後の会見で、これらプロジェクトの実施を発表した。プロジェクトの詳細と経費は七月中にも取りまとめる。投資予算の残りは、来年から始まるＮＣＰＯの期間８年の戦略的インフラ開発計画に使用される。

　プラチン副団長は、鉄道複線化プロジェクトが最も優先順位が高いと述べ、直ちに着手する考えを示した。また電車プロジェクトは、グリーン・ライン、ピンク・ラインとオレンジ・ラインの計画を進める。レッド・ラインに関しては設計の見直しをともなうため、ひとまず認可を見送ることにした。またチョンブリ県パタヤ市とラヨン県マプタプット地区を結ぶ特別自動車道（モーターウェイ）も至急のプロジェクトとして予算を割り当てる。このほか地方国道局と国道局は道路の補修と２車線道路の４車線化を進める。チュムポン県での深海港建設とパーサック川での港建設も、準備が整っていることから予算が配分される見通し。

　プラチン副団長は、現在、予算監視委員会が、提案された投資額１億バーツ超の開発プロジェクトのスクリーニングを実施している最中で、もし疑わしい部分がなければ、追って予算配分が承認され、計画は実行に移されると述べている。こうしたプロジェクトには、圧縮天然ガス燃料仕様のバス調達、鉄道機関車・客車調達事業、ドンムアン空港とスワナプーム空港の拡張プロジェクトが含まれる。ソムチャイ・シリワタナチョーク運輸省次官は、運輸省の投資プロジェクトの早期実施のため、同省の投資予算の１３０億バーツ上積みで、予算局と折衝していることを明らかにしている。

　一方、軍政は国営企業の投資プロジェクトについても監視の目を光らせている。軍政の経済チームの副責任者を務めるチャッチャイ・サーリカンヤー陸軍大将は二一日に国営企業の幹部を集めて開いた会合で、プロジェクト価値が１億バーツを超える事業について、ＮＣＰＯの事前承認を求めるよう命じた。また合わせて国営企業の理事や取締役に対する特権の見直しを要求している。１億バーツ超のプロジェクトは財務省に提出して、精査を受けた後、軍政の最終認可を求める。この命令は調達・任用でまだ契約署名に至っていないすべてのプロジェクトに当てはまる。

　ＮＣＰＯのスポークスマンによれば、チャッチャイ大将は、各国営企業に理事・取締役の特別待遇の見直し案を財務省に提出するよう命じている。役員待遇の見直しは、軍政の経済チームを率いるプラチン空軍司令官が理事長を務めるタイ航空（ＴＨＡＩ）が率先して行なう考えで、役員の私的旅行での無償搭乗特典を廃止することが決まっている。同スポークスマンは、すべての国営企業は、より透明で、説明責任をともない、効率を高めるために緊張感を持って仕事をする必要があるとしたチャッチャイ大将の訓示を紹介している。

　軍政は国営企業の理事会や取締役会の人事には手をつけていないものの、政変後に複数の国営企業で役員の辞任が相次いでいる。タイ・エアポート社のシタ・ディワリ会長、ＰＴＴ社のパーンプリー・パヒタヌコン会長、ワルンテープ・ワチャラポン取締役、アッタポン・ヤイサワーン取締役、タイ・オイル社のノークン・シティポン会長などが辞任している。ＮＣＰＯのプラユット・チャンオーチャー団長は二〇日夜の金曜談話で、国営企業改革の取り組みに理解を示し、改革のための道を空けるべく任意に辞任した国営企業の役員に感謝すると発言している。

　軍政は二六日に公示した国家平和秩序維持団命令第７５／２５５７号で、国営企業政策・監督委員会の設置を発表した。国営企業の活動内容を一元的に監視し、問題の解決、国益最大化のための民活の促進や支援措置をとりまとめる。委員長にはプラユット大将が自ら就任するほか、経済行政監督のＮＣＰＯ副団長、各省次官が委員に就く。また国家科学技術開発事業団（ＮＡＳＴＤＡ）所長のタウィーサック・コーアナンタクン氏、カシコン銀ＣＥＯのバントゥーン・ラムサム氏、キアットナーキン・パトラ社ＣＥＯのバンヨン・ポンパニット氏、タイ中央銀行総裁のプラサーン・トライラットウォラクン氏、中銀理事のラピー・スチャリットクン氏、タイ開発研究所顧問のエコノミスト、ウィラタイ・サンティプラポップ氏が委員に就任している。


日付 : 2014年06月30日

By : 週刊タイ経済