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人身取引問題の解決策 経済界がNCPOに提案

 タイ商業会議所(TCC)は、人身取引問題の解決策について、軍政が設けた官民合同諮問委員会に提案した。米国の年次報告書でタイのステータスが最も低いTier3に格下げになったことを受けたもので、来年の同国の年次報告書での地位の向上を目標に、官民の努力による効果的な取り組みを求めている。TCCは、人身取引問題が米欧向け輸出でタイの競争力の低下を招くことを警戒している。

 プーミン・ハリンスット副会頭によれば、人身取引問題については、TCCとタイ工業連盟(FTI)、タイ銀行協会(TBA)の民間部門3団体の合同常任委員会でも議論しており、TCCが七月一六日に開かれた官民合同諮問委員会の第1回会合で提出した解決策は3団体の議論をもとにとりまとめたもの。タイにおける労働問題の長期的な解決策について検討を求めたほか、移民労働者問題と漁業労働者問題の解決策の策定を優先課題に挙げている。

 官民合同諮問委員会の書記を務めるアーコム・トゥームピタヤーパイシット国家経済社会開発委員会(NESDB)事務局長が会議後に明らかにしたところによれば、軍政は民間部門提案の5つの計画を承認した。貿易・投資、産業開発、観光振興、ロジスティック・インフラ開発、事業の障害となっている法規の改正を要求している。インフラ開発のための財源確保ではインフラ・ファンドの組成について財務省に検討を命じている。

 アーコム事務局長によれば、民間部門はチョンブリ、ラヨン、チャンタブリでの新たな都市計画の策定がビジネスに影響を及ぼすとし、見直しまたは実施の先延ばしを求めたことを明らかにしている。軍政は検討を約束し、関係機関に指示を出している。このほか民間側はタイ信用保証公社(TCGC)による信用保証の上限を18%から50%に引き上げるよう求めている。政治混乱が直撃した観光セクターの促進策では、今年八月一日から一〇月三一日までの3か月間、中国と台湾からの観光客の査証免除を提案しており、軍政側は同意している。軍政は国内の観光産業刺激のため政府機関や国営企業に会議や研修を増やすよう要請している。

 TCCは、公正な条件の下で外国人労働者を雇用できるルールの確立を求めており、斡旋業者の取り締まりを厳格化するよう求めている。違法な斡旋業者が野放しになっており、結果として、そうした業者から斡旋を受けた外国人労働者を雇用する工場に問題を起こしている。プーミン副会頭は、違法に就労しているミャンマー人労働者は約200万人、カンボジア人労働者は約30万人いると指摘しており、政府が、すべての外国人労働者を登録する必要があることを付け加えている。外国人労働者管理事務所によると、五月現在、512万人の外国人労働者が登録されている。TCCでは、長期的な労働問題の解決策として、政府が労働力の供給を増やし、外国人労働力を法的に組織化する5~10年の基本計画を策定するよう提案している。また民間部門のニーズに合致した人材の輩出のため、職業教育課程の充実など教育制度の改革にも踏み込んでいる。

 労働力をタイに供給しているミャンマー、ラオス、カンボジア、ベトナムとの協力も密にし、ジョブ・フェアの開催だけでなく、共同での労働力管理計画の策定や公正な労働条件作りで協力していく。漁業労働分野では漁船と漁業事業者についての情報を収集するために、オンライン・データベースを設定するよう提案している。また政府機関は劣悪な労働条件を監視するため漁船と乗組員の定期的な検査を実施するよう求めている。プーミン副会頭は、タイが労働問題を解決するために努力を続ければ、米国の来年の報告書での地位の回復は可能だと述べている。

 軍政当局は、移民労働者の違法就労・雇用問題を解決するため移民労働者登録のためのワンストップ・サービスセンターを各地に開設している。同センターに登録申請に来た移民労働者は60日間有効の一時的な滞在・就労許可書の発給を受け、その後に国籍証明を経て、正式な許可書が交付されることになっている。

 労働省雇用局によれば、ワンストップ・サービスセンターは、カンボジアと国境を接するスリン、サケーオ、チャンタブリ、トラート県で最初にオープンして以降、チャチュンサオ、アユタヤ、サムットプラカン、サムットサーコン、チョンブリ、ラヨン、スラタニ、ソンクラーなどの工業、漁業が盛んな地域でも相次ぎ開設されている。

 移民労働者のための就労許可発行のためのワンストップ・サービスセンターはバンコクでも6か所に開設されている。臨時のセンターで、ディンデン区のタイ日バンコク都青少年センター体育館、バンケン区のラムイントラ・スタジアム、ミンブリ区のムアンミン・ティントン市民会館、ルムピニ区のルムピニ青少年センター、タウィーワタナー区のタウィーワタナ青少年センター、バンボーンのスポーツ・センター内で設けられている。これら6か所の臨時センターは八月一四日まで登録申請を行なうことにしており、50万人の移民労働者に臨時就労許可を出すことを目標としている。


日付 : 2014年07月21日

By : 週刊タイ経済

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