ユーザー名 パスワード
クイック検索
キーワード

サイアム・クボタ 5億バーツで部品センター

 サイアム・クボタ・コーポレーションは、農機の国内需要の成長と輸出市場の拡大に対応するため、5億バーツを投じて部品の調達・供給のための物流センター「サイアム・クボタ・パーツセンター」を開設する。パトゥムタニ県のナワナコン工業団地に七月に竣工したばかりの新工場に隣接した土地に開発する。川上寛社長は、新設するセンターが50か国以上の国への輸出に対応することになると述べている。インド、北米、ASEAN市場が主要な輸出先。年間40億バーツ相当の部品の調達・供給を見込んでおり、その80%までが国内での供給になる見通し。現在、クボタはエンジンやトランスミッションなどの主要部品を生産する一方、一部の部品は約300社のタイのサプライヤーから調達している。

 川上社長は、サイアム・クボタの今年の総収入について、前年の500億バーツから10%増程度と成長のペースが鈍る見通しにあることを明らかにしている。成長鈍化は農産物の価格下落、籾米担保代金の支払い遅延の問題に起因する。プアタイ党の前政権が籾米担保貸付政策を導入した二〇一二年と二〇一三年には売上は年間30%超増と急成長していた。

 サイアム・クボタの収入は国内販売が約80%で、輸出が残りを占めている。農機の機種別ではトラクターが6割を占めている。川上社長は、下半期にタイ国内の農機市場が回復することを期待していると述べている。

 タイは世界有数のコメ産地であり、世界有数のコメ輸出国。クボタは早い時期からタイに進出し、タイの農業機械化を牽引、約700億バーツの農業機械市場では現在70%のシェアを誇る最大手となっている。サイアム・クボタはタイでのさらなる事業拡張に向けた事業再構築のため、二〇一〇年に日本のクボタとサイアム・セメント・グループの合弁会社として設立された。二〇一二年には基幹部品であるエンジンの製造拠点が稼働し、エンジンや油圧機器の生産、農業機械の組立まで、一貫生産体制を確立している。農機の生産拠点はナワナコンとチョンブリ県アマタナコン工業団地の2か所で、年産能力はそれぞれ24万台、8万台。

 エンジンの加工・組立は二〇一一年二月に設立したクボタ・エンジン(タイランド)が担っている。エンジンはそれまで日本から輸入していたが、需要拡大を受け、さらなる低コスト化を目指し、タイでのエンジン鋳物の製造から加工、組立までの一貫生産体制を実現した。さらにクボタ・エンジン・タイのチャチュンサオ県304工業団地2にある工場に隣接する土地では、サイアム・クボタ・メタル・テクノロジー社がエンジンなどの鋳物部品の製造を担っている。この鋳物工場は、クボタにとって初の海外鋳物製造拠点となっている。このほかにクボタ・プレシジョン・マシナリー社が油圧機器の生産を手がけている。トラクターのシリンダの生産を担っている。

 昨年一月には部品の調達と供給を手がける新会社「クボタ・プロキュアメント&トレーディング(タイランド)」を設立した。世界の最適地から良質かつ安価な部品を安定的に調達・供給するグローバル調達体制を構築することが目的で、タイのみならず全世界の生産拠点のコスト競争力を強化することが狙い。クボタは、事業のグローバル競争が激しくなる中、コスト競争力強化、為替変動リスク低減による事業の体質強化を行なうために、世界の最適地から良質かつ安価な部品を安定的に調達する体制が不可欠と判断。トラクター、コンバイン、エンジンなどを生産しているタイに部品調達会社を設立し、日本や世界の生産拠点へタイ取引先から部品を円滑に供給するグローバル調達体制の構築を急いでいる。また、これまで生産拠点ごとに行なっていた部品調達業務を一元化することで、スケールメリットを生かした価格交渉や品質改善活動の効率化を図る。当面は日本、米国の生産拠点向け部品の調達・供給を行なう調達拠点として活用し、日本、米国市場でのコスト競争力を強化する。将来的には、中国、アメリカなど地域別に部品調達会社を設立し、グローバル調達体制を構築していく。


日付 : 2014年09月01日

By : 週刊タイ経済

登録