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日本人商工会議所のトップ プラチン空軍大将と2度目会合

 バンコク日本人商工会議所(JCC)事務局が八月二七日に明らかにしたところによれば、古賀久三治会頭以下、JCC3役などは二五日、国家平和秩序維持団(NCPO)のプラチン・チャントーン副団長と2度目の会合を行なった。JCCは、プラユット・チャンオーチャー大将を首相とする暫定政権の発足に向けて、各施策が経済界にとって不利な方向に向かわないよう、各種の情報や提案事項を伝え続ける必要があると判断しており、JCCからの各種提案事項については進捗状況を追跡しつつ、提案の実現に向けた対話を続けていく方針。

 JCC事務局によれば、プラチン副団長との会合は七月九日に次いで2回目。今回は、二〇一四年上半期の日系企業の景気動向調査結果を報告するとともに、前回会合時の要望事項に対する進捗の説明、新しい申し入れ事項、そして関税や労務、地域統括事務所に関する提案などを行なった。

 JCC側は、前回の協議以降、プラユット団長以下の強いリーダーシップにより、暫定憲法の発布などロードマップに沿った行動計画が着実に実行されている点や、タイの社会における安全や治安の安定の確保に向けた広報を含む積極的な活動、経済の回復に向けた努力など、軍政の仕事ぶりへの評価を伝えている。しかし、外国人観光者数が前年比で伸び悩んでいるなどの懸念も残り、今後もタイが国際社会の一員として諸外国と共に発展していくためには、国内の安全、秩序の安定への取り組みを推進する一方で、諸外国から見たネガティブな印象を早期に払拭する手立てが必要だと指摘している。

 二〇一四年上半期に関する日系企業の景気動向調査では、一三年下半期、一四年上半期もDI(景気動向指数)はマイナス幅が広がったが、一四年下半期はプラスに転じる見込みになっている。タイへの投資について、日系企業は個別には68%が政治混乱の影響なしとしているが、今後の日本からの投資についての全般的な見方は、変更しないと減少するが50%ずつで拮抗しており、今後を不安視していることを伝えている。

 JCCは、新政権がタイのビジネス環境の改善に真剣に取り組んでいることをよりわかりやすく、かつ行動で示すことが重要だとの考えを伝えるとともに、前回提出したJCCからの要望(①プロジェクトにおける政府手続、税関職員への報酬制度の見直し、②各種インフラ整備、③国際通商協定の積極的な対応、④人材育成、研究開発機能強化、⑤エネルギー対策、⑥中小企業対策、⑦サービス業の段階的自由化、⑧地域統括事務所の推進)に関して進捗状況の説明を求めた。

 プラチン副団長は、JCCが民主化に向けたロードマップと、それに沿って活動しているNCPOの取り組みを評価していることを歓迎するとともに、現在、ロードマップの第2期実現に向け国家立法議会が発足し、あと数週間で新内閣が発足することを説明した。またNCPOが国家改革会議も設置して11分野での改革を進めていくことを伝えた。プラチン副団長は、タイ国内への投資手続きの簡素化、関税職員に対する報奨金制度の見直し、外国人投資家によるタイでのサービス業への参入、製造業のための土地取得規制の緩和の推進などで検討を進めていることを明らかにした。また、バンコクでの渋滞緩和やパタヤやプーケットの町の美化活動にも取り組んでいることを伝えている。

 JCC側は今回の会合で、投資委員会(BOI)の新投資奨励戦略の導入について、移行期間が短いことを踏まえてスケジュールを柔軟に検討するよう要請した。また汚職撲滅が重要なことから、窓口職員が自己の判断で決められないように、組織として判断や評価を行ない、その結果を全員で共有化したり、その判断の蓄積、マニュアルの作成などを通じて、統一した手続きができるようにしてほしいと要望した。

 古賀会頭は、今年でJCCが設立60周年を迎えたことを示すとともに、タイは日本にとってASEANで最も重要な国であり、今後もタイに貢献し、タイとともに発展していくことに強く望んでいるとした。具体的な事案について、経済界との協議が必要な場合には、JCCが設置している各担当委員会が引き受ける用意があることを示し、活用を促した。その上で、今後の施策の策定や実行にあたっては、①政府手続における透明性の確保、②市場経済の尊重、③経済の適正な開放(FTAやRCEPなど)による競争力強化、の3点に留意することが、非常に重要だと日系企業が考えていることを伝えている。

 プラチン副団長はインフラ整備について、軍政が基本方針を承認したことを明らかにしている。具体的には、大きな県と小さな県を結ぶ道路や近隣諸国とつなぐ道路の整備、既存鉄道の整備と複線化、サトゥーン県パクバラ港の整備、ミャンマー・ダウェーの深海港開発事業の推進、スワナプーム空港、ドンムアン空港、ウタパオ空港の整備、バンコクの渋滞解消に向けた乗り合いバンの駐停車の整備や3183台の圧縮天然ガス仕様の路線バスの導入計画、首都圏の電車プロジェクトの計画通りの実行を約束した。

 治水対策については、治水対策委員会を設置したことを明らかにし、北部、中部から東部に至るまで、洪水対策、渇水対策双方の整備を進めるとした。人材育成は、官民学の連携をとって進めたいとした。特に大卒エンジニアが、産業界が必要とする技術専門学校卒の技術者よりも多いというミスマッチを解消させたいとしている。エネルギー問題については、化石燃料の依存度を60%まで下げ、太陽光、風力、バイオマスなどの比率を引き上げるとした。

 一方、BOIの新投資奨励戦略に関しては、これまで議論を続け、準備を進めてきたもので、実施までの期間は短いが、できる限り投資家にPRするとした。JCCから提案のあった導入スケジュールの柔軟化も検討を約束している。汚職防止については、官民合同委員会で検討しており、明確な基準作りを進めているとした。


日付 : 2014年09月01日

By : 週刊タイ経済

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