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LPGとCNGの小売価格を引き上げ 軽油の小売価格は30バーツ台に

 ナロンチャイ・アカラセラニー・エネルギー相は九月三〇日、運輸セクター向けの液化石油ガス(LPG)と圧縮天然ガス(CNG)の小売価格の引き上げを発表した。同大臣が統括するエネルギー政策管理委員会が決定したもので、液化石油ガスは1キログラムあたり0・62バーツ、圧縮天然ガスは同1・00バーツ引き上げる。実際の原価をより反映するよう小売価格を調整するとした政府のエネルギー改革政策の一環。液化石油ガスの価格は、産業部門向けのみが自由化されており、現在の価格は1キログラムあたり29・33バーツ。運輸セクター向けの小売価格は改定後、22・00バーツとなるが、それでも家計向けの22・63バーツよりも安い。一方、圧縮天然ガスはトラックや自家用車向けとタクシーや公共バスとで価格を分離。トラックや自家用車向けは1キログラムあたり11・55バーツとし、6か月ごとに1キログラムあたり1・00バーツ引き上げていく一方、公共車両向けは8・5バーツに据え置く。

 圧縮天然ガスの唯一の元売であるPTT社のチャークリー・ブラナカノン副社長は、圧縮天然ガス価格の1バーツ値上げで年間20億バーツの収入増になることを明らかにする一方、圧縮天然ガスの原価割れ販売で、過去10年間に累計1000億バーツの損失を負担してきたことを明らかにしている。損失額は昨年だけで240億バーツに達している。PTTは、このビジネスでの多額の事業損失のため、圧縮天然ガスのサービスステーション(SS)の拡張を延期してきた。同副社長は値上げについて、大口需要家である運送業界の理解が得られたとしている。タイ陸運連盟との交渉の結果、値上げを容認する代わりにPTTが圧縮天然ガスのSSを全国200か所に追加することで合意した。PTTと陸運連盟との協定では、圧縮天然ガスの小売価格は最高でも16・00バーツとすることも盛り込まれている。

 エネルギー政策管理委員会は、軽油の石油基金拠出金を1リットルあたり0・4バーツ引き上げることも決定し、近く実施に移しことを明らかにした。この結果、バンコク首都圏における軽油の小売価格は1リットルあたり30・39バーツとなり、5年ぶりに30バーツ台に値上がりする。ナロンチャイ大臣は最近の談話で、軽油価格を1リットルあたり30バーツ未満に抑制する政策が撤回される可能性を示唆していた。軽油小売価格の上限措置は二〇一一年四月にアピシット政権が導入したもので、軽油の物品税の大幅引き下げや石油基金拠出金/補助金の操作により、バンコク首都圏での軽油の小売価格を1リットルあたり30バーツ未満に抑制する政策。軍政は八月二八日にエネルギー価格構造調整の一環で、燃料油の物品税率と石油基金拠出金の改変案を承認しているが、軽油の小売価格は今後も30バーツ未満に抑制し続ける考えを示していた。

 これより前、プラチン・チャントーン国家平和秩序維持団(NCPO)副団長を議長とする国家エネルギー政策委員会は、燃油の物品税をすべてのガソリン系燃料で減税する一方で、軽油の物品税は引き上げていた。ガソリンの物品税は1リットルあたり7・00バーツから5・60バーツに、ガソホール95とガソホール91は6・30バーツから5・04バーツに、E20は5・60バーツから4・48バーツに、E85は1・05バーツから0・84バーツに引き下げた。一方、軽油の物品税は0・005バーツから0・75バーツに引き上げている。プラチン空軍司令官はプラユット政府で運輸相に就任しており、国家エネルギー政策委の委員長を辞任している。

 ナロンチャイ大臣は軽油ユーザーの大半が道路への負荷の大きい重トラックであることを考えれば、軽油の物品税は低すぎると指摘している。ただしエネルギー価格の調整はまだ完了していないため、新たな税率は明らかにしていない。ナロンチャイ大臣は、自動車ユーザーが燃料効率の重要性を学ぶことができるよう実際のコストを反映する価格が望ましいとしている。

 軽油の石油基金拠出金の引き上げで、基金の収入は月間28億4000万バーツから32億バーツに増える。同基金の収支はこれまでの補助金政策により赤字となっているが、一一月には黒字化する見通し。


日付 : 2014年10月06日

By : 週刊タイ経済

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