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政府がゴム園農家にも現金支給 米農家同様1ライ1000バーツを給付

 プラユット政府は一〇月一六日、ゴム園農家に対し一世帯あたり最大1万5000バーツの現金を給付する補助金政策を決定した。プリディヤトーン・テワクン副首相が統括する国家天然ゴム政策委員会で承認した。栽培面積が25ライを超えないゴム園農家が対象で、1ライあたり1000バーツ、最大で1万5000バーツを農家が持つ農業・農協銀行(BAAC)の口座に振り込む。1ライ1000バーツ、上限1万5000バーツは、先に決定した稲作農家に対する補助金政策と同額。補助金の総額は約85億バーツ。一一月より口座への入金を始めるとしている。
 プリディヤトーン副首相はこれより前、ゴム相場の下落で苦しむゴム園農家の支援措置を準備中であることを明らかにしていた。天然ゴム価格は1㎏あたり45~47バーツに低迷。南部16県のゴム農民団体は45日以内にゴムの価格を1㎏あたり80バーツまで引き上げる対策をとるよう政府に要求していた。これに対し同副首相は、ゴム価格下落問題の解決策を練っているところで、ゴム園農家は心配しなくてもいいと述べる一方、高値買取などの持続可能でない方法を採るつもりがないことを強調。ゴム園生産者には性急な結果を求めないよう呼びかけていた。ゴム相場の下落は世界的な需給悪化に起因するもので、供給抑制、需要喚起や、生産コストの低減が必要になっている。
 ゴム生産者団体は、稲作農家が国から1ライあたり1000バーツの現金給付を受けることを引き合いに、1ライあたり2520バーツの金融支援を要求していたが、プリディヤトーン副首相はその要求には応じられないと述べている。価格安定措置により、ゴムの価格は1㎏=60バーツまで上昇すると見積もっていることを理由に挙げている。また価格が下落している他の換金作物の生産者にも公正であることが重要だとしており、稲作農家に対する補助金と足並みを揃えることを重視した。
 同副首相は、世界のゴム在庫が290万トンから230~250万トンに減少し、国内のゴム在庫も前年同期の53万トンから44万7000トンまで減っていることを指摘。ゴム相場は今後、緩やかな上昇基調を描くと見ている。
 ゴム相場安定措置については、詳しい内容を明らかにしていないが、協同組合からシート状ゴムやラテックスを国が買い上げることで需給調整を行なう。同副首相は、来月にはゴムに対する注文があるため、過去の政府が経験したような政府在庫膨張の問題は生じないとしている。
 政府はまた、ゴム単作によるリスクを軽減するため、代替作物栽培の導入も長期計画として取り組んでいくことにしている。ゴム農家に対し、パラゴムの古木を伐採した土地では代替作物を栽培するよう推奨していく。代替作物プロジェクトに参加する農家には、1人あたり最高10万バーツを低利で融通する。
 タイ天然ゴム評議会のウタイ・ソンラックスープ会長は、政府の支援措置を評価、ゴム相場は2、3か月以内に1㎏あたり60バーツに上昇するはずだとコメントしている。ゴム農家の生産コストは1㎏あたり65バーツだが、1ライ1000バーツの補助金によって、かろうじて生き延びることができるとしている。
 タイ工業連盟(FTI)、タイ天然ゴム協会、主要ゴム加工会社の代表は一七日、チャッチャイ・サーリガラヤ商業相と会合し、国内での天然ゴム消費と加工を促進するためのインセンティブ付与を政府に要求した。内需を増やすことが、ゴム価格の下支えには重要だとしている。チャッチャイ商業相は内需拡大と付加価値向上のため、民間側に具体策を提示してほしいと応答している。国内市場では、一六日のゴム農家支援措置決定を受け、翌一七日のゴム相場は反発し、1㎏あたり2~3バーツ上昇している。
 チェン・ナムチャイシリFTI副会長は、天然ゴム産業の川上から川下までの研究開発で、政府の支援を求める提言をとりまとめたことを明らかにしている。現在、タイで生産される天然ゴムは大半が輸出されており、国内需要はわずか12・5%にとどまっている。タイは世界最大の天然ゴム輸出国で、ゴム園面積は1758万ライ。昨年の生産量は378万トンで、輸出数量は298万トン。



日付 : 2014年10月20日

By : 週刊タイ経済

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