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タイ・カンボジア両国首脳 海洋資源の共同開発で合意

 プラユット首相は一〇月一七日、第10回アジア・欧州会議(ASEM)首脳会議出席のため訪問中のミラノでカンボジアのフンセン首相と会談し、両国が領海主張重複海域での資源開発で協力を深めることに合意した。タイ・カンボジア両国は、世界遺産に登録されたプレアヴィヒア寺院とその周辺の土地の帰属をめぐり対立しており、二〇〇八年、二〇一一年には軍事緊張が高まった。プラユット首相は一〇月三〇、三一日にカンボジアを公式訪問する予定で、両国首脳会談で海洋資源開発問題について協議を行なうことにしている。
 プラユット首相は、フンセン首相にカンボジアからの農産物輸入を増やす用意があることを伝え、併せて海洋資源開発の協力推進を提案した。両国の領海主張が重複するエリアには原油・天然ガスの埋蔵が確認されている。タイはすでにマレーシアとの間で、領海確定を棚上げして合同開発区域(JDA)を設定。両国国営資源会社の折半出資で天然ガス採掘を行なっている。タイとカンボジアは、タクシン政権時の二〇〇一年に海洋資源開発で合意覚書を交わしているが、二〇〇九年にカンボジア政府がタクシン元首相を同国政府顧問に任命したことで、当時のアピシット政府が同覚書を撤回していた。
 両国首脳は、領土問題についても既存の合同委員会の枠組で解決に努力することで合意している。プラユット首相はカンボジアのポイペトと国境を接するサケーオ県アランヤプラテートに経済特別区を開発する計画を示し、カンボジア側国境地域に住む同国労働者に雇用機会を提供する旨を伝えた。プラユット首相はまた、タイ政府がカンボジア人労働者の登録を進め、福祉を提供していることを伝えた。
 プラユット首相は一六日、ASEM首脳会議に出席のためミラノを訪問中の安倍首相とも約30分間にわたって会談した。タイの新政権発足後、初の日タイ首脳会談で、安倍首相は日タイ両国が長い伝統を有する友好国で、日タイの幅広い協力関係をさらに強化していきたいと考えていることを伝えた。また国民和解を通じ、早期の民政復帰が実現することを強く期待すると述べた。安倍首相は、タイの持続的な成長のため、インフラ整備などで日本の技術の活用を呼びかけたほか、東日本大震災後の放射性物質に係る食品輸入規制の早期撤廃やタイで活動する日本企業にとって重要な透明・公正な投資環境の整備について要請した。
 プラユット首相は、国内状況の安定の維持を重視していること、日本を含む国際社会の声に耳を傾けつつ改革を進め、民政移管に向けて取り組んでいることを説明した。日本との経済関係促進のため、国内の公正で透明性のある投資環境の整備に取り組む方針を示し、鉄道、治水、エネルギーなどのインフラ分野で日本からの協力に期待を表明した。食品輸入規制については検討を約束した。
 プラユット首相はASEM首脳会議の合間を縫ってシンガポールのリー・シェンロン首相とも会談した。両国はASEAN会議などを通じて首脳や閣僚の交流を続けているものの、タクシン氏失脚後は9年以上にわたって二国間の首脳交流が途絶えている。両国首脳は首脳間の交流を再開することで合意した。プラユット首相はラオスのトーンシン・タムマウォン首相との二国間首脳会談も行ない、両国間の運輸網の連結性強化について意見を交換した。
 プラユット首相はこれより前、一〇月九、一〇日にミャンマーの首都、ネピドーを公式訪問し、テインセイン大統領とダウェー経済特別区開発について協議している。首脳会談の中身について一七日の定例TV・ラジオ談話で国民に説明したところによれば、ダウェー開発で一一月にも第1フェーズ部分の事業権を付与することになっている。ダウェー経済特別区は総面積205平方㎞の巨大プロジェクトだが、第1フェーズでは27平方㎞の開発を進めることになっている。ダウェー開発のほか、ミャワディ~タナオシー~コーカレイなどのタイ国境と接続する道路整備やメーソートとミャワディを結ぶ第2友好橋の建設の可能性についても意見を交わした。また投資を促進し、ミャンマー人雇用を創出するための経済特別区の開発についても説明した。
 首相は、ミャンマーの金融当局がタイの商業銀行最大手のバンコク銀行に同国での支店開設を許可したことに謝意を示すとともに、二国間の交易円滑化のためにも他のタイの商業銀行への免許付与を考慮するよう要請した。エネルギー問題では、タイが同国のサルウィン川水力発電ダムや代替エネルギー開発を支援することを伝えた。



日付 : 2014年10月20日

By : 週刊タイ経済

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