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複線鉄道プロジェクト 運輸省が15年度の実施計画を策定

 運輸省は二〇一四年九月二七~一〇月一一日にかけて陸運、水運、空運の問題解決のためのワークショップを開催し、二〇一五予算年度の運輸分野の開発投資プロジェクト実施計画をとりまとめた。運輸交通政策企画事務局とタイ国鉄は複線化と標準軌の複線鉄道新路線建設について、実現可能性調査、詳細設計、価格入札、土地収用と建設を含む準備を行なっており、一五年度の実施計画を二一日の閣議に報告し、了承を受けている。

 運輸省の報告によれば、現在、国鉄の路線網(メートル軌)は47都県をカバーしているに過ぎず、しかも3685㎞が単線で、全体の91・1%を占める。複線区間はバンコク~ランシット、バーンパチー~ロッブリ、バーンパチー~マプカバオ、バンスー~ナコンパトム、チャチュンサオ~レムチャバンの251㎞、全体の6・2%でしかない。107㎞、全体の2・7%は三線。

 二〇一五年度に建設着工の準備が整っているのはチャチュンサオ~クロン19~ゲンコイ区間の106㎞で、すでに環境アセスメントと土地収用の勅令案が承認を受けており、入札の準備が進められている。このほかに環境アセスメントと土地収用の勅令案が承認を受けプロジェクトの認可申請中の事業が、タノンヂラ~コンケン区間とプラチュアップキリカン~チュムポンの2件ある。タノンヂラ~コンケン区間の185㎞は年内にも閣議決定され、来年初めにも入札が実施される見通し。プラチュアップキリカン~チュムポン区間の167㎞は来年初めの閣議決定、来年半ばの入札実施を予定している。

 国家環境委員会の下で、環境アセスメントの専門家委員会による審査中のプロジェクトは3件。ロッブリ~パクナムポー区間の148㎞、マプカバオ~タノンヂラ区間の132㎞、ナコンパトム~フアヒン区間の165㎞で、今年終わりには審査が完了し、閣議決定を経て入札実施が予定されている。

 これら6区間の複線化プロジェクトが完了すれば複線区間は903㎞に増えることになり、国民の移動の利便性が増すほか、貨物輸送とロジスティックでも時間の短縮、事故の減少、安全性の向上が期待できる。

 二〇一五年度に事業化調査と詳細設計が実施されるのは合計で8区間。フアヒン~プラチュアップキリカン区間の90㎞、パクナムポー~デンチャイ区間の285㎞、タノンヂラ~ウボンラチャタニ区間の309㎞、コンケン~ノンカイ区間の174㎞、チュムポン~スラタニ区間の167㎞、スラタニ~ソンクラー区間の339㎞、ハジャイ~パダンベザール区間の45㎞、デンチャイ~チェンマイ区間の217㎞で、環境アセスメント策定が二〇一五年終わりまでに完了する予定となっている。

 プラユット政府は、運輸インフラ開発計画に複線の鉄道新線も盛り込んでおり、タイにはまだない標準軌(1・435メートル)を採用することにしている。計画している路線は、①バンコク~ナコンラチャシマとナコンラチャシマ~マプタプット、②バンコク~ラヨン、③ナコンラチャシマ~ノンカイの3つのプロジェクトを予定している。バンコク~ナコンラチャシマ間とナコンラチャシマ~マプタプット間は総延長512㎞で、詳細設計の変更と環境アセスメントに取り組んでいるところ。実施期間は12か月を予定している。バンコク~ラヨンの193㎞は調査と設計作業が終了し、環境アセスメントの認可申請中。ナコンラチャシマ~ノンカイの355㎞は調査・設計作業中で、環境アセスメントの認可と合わせて実施期間は14か月を予定している。複線鉄道新線は二〇一九~二〇二〇年の完成を見込んでおり、国鉄在来線の複線化と合わせて複線鉄道の総延長は3589㎞に達することになる。

 複線鉄道新線は、歴代政権が構想した高速鉄道プロジェクトの流れを汲むもの。プアタイ党の前政権は、バンコクを基点に北部、東北部、東部、南部を結ぶ4路線を計画していたが、国家平和秩序維持団(NCPO)はこれを廃止。新たに複線鉄道新線プロジェクトとしてルートも変更した。運輸省がまとめた最新の計画では新たにバンコク~ラヨン区間が追加され、ノンカイ~マプタプットのルートはノンカイ~ナコンラチャシマとナコンラチャシマ~バンコク/マプタプットに2分割されている。

 NCPOが七月に承認した2兆4000億バーツの運輸インフラ開発プロジェクトでは、2つの高速鉄道に7410億バーツを投じることになっていた。ノンカイ~マプタプット間は総延長737㎞で、総工費は3930億バーツ。このほかにチェンコン~バーンパチー間の655㎞を総工費3490億バーツで開発する計画だった。新たな計画ではチェンコン~バーンパチー間を見送り、バンコク~ラヨン間に変更したことになる。

 運輸交通政策企画事務局のチャイワット・トンカムクン次長によると、新線の実現可能性調査と詳細設計には約1年が必要。その後、二〇一六年に土地収用を実施し、着工から3、4年での完成を見込んでいる。


日付 : 2014年10月27日

By : 週刊タイ経済

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