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商業銀行の第3四半期業績 大手行は増益、下位行は減益

 タイ証券取引所(SET)上場の商業銀行の第3四半期決算(未監査)が出揃った。一〇月一七日までにSETに決算報告を行なった8行合計の純利益は435億4000万バーツで、前年同期比8%増となった。一~九月の合計純利益は1277億2000万バーツで、前年同期比5・73%増となっている。好業績を挙げているのは大手商銀で、下位商銀は減益となっている。下位行の多くは自動車ハイヤーパーチェス・ローンを主力としているため、新車市場の収縮が業績に響いている。

 商銀最大手行のバンコク銀行(BBL)の第3四半期純利益は95億7500万バーツで、前年同期比6・9%増、前四半期比で6・0%増となった。純金利収入が前四半期比で1億4700万バーツ増となり、非金利収入は16億5000万バーツ増となった一方で、営業費用は3億500万バーツ減少した。一~九月の純利益は275億7000万バーツで、前年同期比2・3%減。九月末時点の貸出残高は1兆7414億4600万バーツで前年同期比3・3%増となったが、一三年末比では0・6%減となっている。不良債権残高は461億1800万バーツで、一三年末比28億9000万バーツ増加した。不良債権比率は2・3%。同行はこの四半期に貸倒引当金を33億1300万バーツ積み増しした。この結果、一~九月の貸倒引当金の計上額は77億4700万バーツとなり、充足率は198・2%に達している。九月末時点の預金残高は1兆9193億5700万バーツで、一三年末比0・8%減。預貸比率は六月末時点の92・7%から90・7%に低下した。BBLの第3四半期の純金利収入は151億900万バーツで、前の四半期に比べて1・0%増加した。実質利鞘は2・44%で、前の四半期から変わらず。非金利収入は109億3300万バーツで、前の四半期に比べて17・8%増加した。

 カシコン銀(KBank)の第3四半期純利益は125億1600万バーツで、前年同期比16・8%増、一~九月は361億8700万バーツで13・80%増だった。一~九月に純金利収入が14・38%増加した結果、実質利鞘は3・70%となり前年同期に比べて上向いた。高金利の預金商品が満期を迎え、金利費用が減少したことが大きい。非金利収入は一~九月に前年同期比15・98%増となった。九月末時点の資産合計は2兆4155億8800万バーツで、前四半期末比3・24%増となったほか、一三年末比では5・48%増となった。九月末時点の不良債権比率は2・16%。貸倒引当金の充足率は142・39%となっている。九月末時点のバーゼル3標準に基づく自己資本比率は16・98%で、中核資本だけで13・98%となっている。

 アユタヤ銀行(BAY)の第3四半期の純利益は35億5400万バーツで、前の四半期に比べて1・5%増となった。貸出が3・1%増となった。一~九月の貸出は3・3%増となり、個人向けが3・0%増、中小企業向けが5・9%増、大企業向けが1・9%増となった。預金残高は8061億8200万バーツで、一三年末比5・5%増。一~九月の純利益は103億5800万バーツで、純金利収入は27億3900万バーツ増となったが、前年同期比では5・5%の減益となった。前年に不良債権をタイ・アセット・マネジメント・コーポレーションに譲渡した結果、貸倒引当金の戻り益を計上していたハイベース効果が一因。

 キアットナーキン銀行(KKP)の第3四半期の純利益は8億4694万バーツで、前年同期比14・4%減、一~九月の純利益は21億5000万バーツで、前年同期比36・6%減だった。第3四半期末時点の貸出残高は一三年末比で1・5%減少した。中でもハイヤーパーチェス・ローンは4・6%減となった。今年8か月間のタイの新車販売台数が前年同期比38・3%減となり、与信審査を厳しくしたことが響いている。

 サイアム商業銀行(SCB)の第3四半期の純利益は132億5200バーツで、前年同期比4・2%増。前年同期比での増益は10・四半期連続となった。金利費用が顕著に減少したことと手数料収入の増加、貸倒引当負担の軽減が好業績につながっている。第3四半期に純金利収入は前年同期比10・5%増となる208億4200万バーツを数えた。九月末時点の不良債権比率は2・11%で、前年同期の2・08%からわずかに上昇した。


日付 : 2014年10月27日

By : 週刊タイ経済

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