ユーザー名 パスワード
クイック検索
キーワード

9月の物品輸出額は3・19%増 米国、ASEAN向け輸出に回復の兆し

 商業省が一〇月二八日に発表した九月の物品輸出額は199億1300万ドルとなり、前年同月を3・19%上回った。米国、ASEAN向けの輸出に回復の兆しが見える。また製品別ではコメ、タピオカ製品、冷凍鶏肉・同調製品などの農産物の輸出が増えている。鉱物・燃料・金地金の輸出は引き続き収縮した。

 九月の輸出額は199億1280万ドルで、前年同月比3・9%増、一~九月では1704億5670万ドル、前年同期比0・85%減となった。鉱物・燃料・金地金を除く九月の輸出額は186億3730万ドルで、前年同月比4・76%増となっている。これら主要輸出製品は輸出額全体の93・1%を占めている。鉱物・燃料・金地金の輸出額は15・35%減で、3か月連続で収縮した。

 九月の輸入額は217億1100万ドルで、直近の16か月で最高となった。前年同月比では14・42%増と急増した。一~九月の輸入額は1719億7410万ドルで、前年同期比10・0%減となっている。この結果、九月の貿易収支は17億9830万ドルの赤字、一~九月では15億1750万ドルの赤字となっている。

 四半期で見ると、第3四半期(七~九月)の輸出額は前年同期比1・8%の収縮に転じている。下半期の輸出の回復が予測されていたものの、回復は遅れている。特に輸送機械・同部品の輸出は3・7%減となっている。このほかにも天然ゴム、水産缶詰・同加工品、鉄鋼の輸出が引き続き収縮している。また金地金と精製油の輸出はそれぞれ85・7%減、7・2%減となった。上半期に引き続き第3四半期も輸出が拡大したのはコンピュータ、IC、金地金を除く宝石・ジュエリー、プラスチック製品、コメ、タピオカ製品など。

 農産物/アグロインダストリーの輸出は4か月連続で増加した一方、工業製品の輸出は依然として収縮している。九月に農産物/アグロインダストリーの輸出は前年同月比2・8%増となった。工業製品の輸出は前年同月比0・4%減。自動車・同部品、IC、エアコンなどの輸出が減少した。中でも輸出額全体の12・9%を占めている自動車・同部品の輸出額は前年同月比12・1%減となり、2か月連続で収縮している。インドネシア向けの輸出が落ち込んだ。同国が自動車生産を振興していることで、一部の自動車メーカーが同国での生産を強化したことが理由。インドネシアの乗用車輸入の49%がタイからとなっていたが、同国向けの輸出が減ったことで特に排気量1500㏄以下の乗用車の輸出が大幅に減少している。また上半期に順調に推移していたサウジアラビア、マレーシア向けの自動車・同部品輸出も下半期に入ってからは減速する兆しが出ている。

 工業製品は全体で見れば輸出額が減少しているが、多くの工業製品の輸出は拡大している。コンピュータ・同部品、TV受像機、建材の輸出はそれぞれ順に5・3%増、11・3%増、8・6%増を記録している。特に輸出額全体の7・9%を占めるコンピュータ・同部品は米国、オランダ、香港、ドイツ向けの輸出が伸びている。このほか合成樹脂・プラスチック、化学薬品、機械・同部品、金地金を除く宝石、鉄鋼・同製品の輸出は九月に上向いている。

 農産物/アグロインダストリーの輸出は4か月連続でプラス成長となっているものの、一~九月で見ると前年同期比2・7%減となっている。天然ゴム、冷凍水産品・同缶詰、砂糖などが減少している。世界市場の農産物価格が下落し続けていることに加え、水産品での原料不足が響いている。ただしコメ、タピオカ製品の輸出はそれぞれ16・9%、14・2%増加した。工業製品の一~九月の輸出額は前年同期比0・4%増となった。コンピュータ・同部品、IC、合成樹脂・プラスチック、エアコン・同部品の輸出が増えている。

 九月の輸出額を仕向け地別に見ると、米国、EU(15)、日本、ASEAN向けの輸出は回復する兆しが見える。これら諸国への輸出はタイの輸出額全体の55・3%を占めている。米国では、TV受像機、コンピュータの需要が伸びている。日本、EUは景気は横ばいだが機械、自動車・同部品の輸出は伸びている。またタイの最大の輸出市場であるASEAN向けは8・8%増とプラス成長に転じた。シンガポール、フィリピン、ベトナム向けの輸出が伸びている。またCLMV(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)向けの輸出は、国境貿易、国境横断貿易が引き続き拡大している。九月の国境貿易と国境横断貿易の輸出額はそれぞれ6・0%増、27・2%増となった。一方で、中国向けの輸出は3か月連続で収縮した。精製油、天然ゴムの輸出が減少した。

 一~九月ではEU、米国向けの輸出がそれぞれ5・8%増、3・0%増となった。一方で日本向け輸出は1・3%減だった。中国向けの輸出も5・0%収縮した。香港、韓国向けはそれぞれ5・1%減、2・5%減。ASEAN向けは1・3%減で、主にシンガポール、インドネシア、マレーシア向けの輸出が落ち込んだが、CLMV向けは9・8%増だった。

 九月の輸入はプラスに転じ、直近の16か月間で最高となった。金地金、鉄鋼、精製油、航空機などの輸入が増加した。この結果、九月の輸入額は14・4%増となった。中でも金地金の輸入は67・3%増となった。金の相場が今年に入ってからの最安値をつけたことで投機需要が膨らんだ。さらには鉄鋼も中国からの鋼板、鋼管、棒鋼の輸入が増え、前年同月比で80・4%増に達した。このほかに航空機や海洋石油採掘プラットフォームの輸入があった。原材料/中間財と資本財の輸入はそれぞれ21・8%増、17・5%増を記録している。燃料の輸入も6・3%増加した。精製油と天然ガスの輸入がそれぞれ105・0%、41・5%増加したためで、原油輸入は8・8%減だった。輸送機械は10・3%減。一~九月の輸入額は前年同期比10・0%減となった。


日付 : 2014年11月03日

By : 週刊タイ経済

登録