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二〇一五年のタイの自動車生産 エコカー2の生産が押し上げ

 タイ自動車インスティチュートのウィチャイ・ヂラティユット所長は、二〇一五年のタイの自動車生産が、エコカー2プロジェクトの推進により上向くものと予測している。エコカー2プロジェクトで投資委員会(BOI)に申請している自動車メーカーは10社あり、10社合計の年産能力は158万台に達する。国内の新車市場や輸出の不振から一部の自動車メーカーはエコカー2の生産時期を先延ばしするものと見られるが、いくつかのメーカーは組立ラインの稼動の用意ができている。

 エコカー2プロジェクトを申請した10社のうち5社は既存のエコカー・プロジェクトにも参加している。既存5社は868億バーツを投資する計画で年産能力は75万3000台。新規の5社は520億バーツを投じて82万8000台を生産する計画となっている。BOIは、現在までに6社のエコカー2プロジェクトを認可済み。このうち七月一八日に他社に先駆けて認可を勝ち取ったマツダは一一月六日よりエコカー2の仕様を満たす国内市場向け新型「マツダ2」の生産を開始する。このほかにフォード、GM、日産、三菱自動車、トヨタのプロジェクトが認可を受けている。

 フォードはラヨン県ヘマラート・イースタンシーボード工業団地の工場に181億8000万バーツを投じ、エコカー2を年間18万台生産する。GMはラヨン県イースタンシーボード工業団地の工場に131億900万バーツを投じ、エコカー2を生産する。年産能力は15万8000台。

 日産のエコカー2生産計画は年間12万3000台で、部品200万個の生産と合わせた投資額は68億6000万バーツ。サムットプラカン県バンサオトン郡のバンナー・トラート道路沿いにある既存工場に生産ラインを設ける。三菱自動車の生産計画台数は年間23万3000台で、投資額は49億バーツ。チョンブリ県レムチャバン工業団地の工場にラインを設ける。トヨタは19億バーツを投じ、最初のエコカーとエコカー2を合わせた生産能力を年間10万台から16万台に引き上げる。

 フォード東南アジアのマット・ブラッドレー社長は、一四年の新車市場は停滞したが、来年のタイ国内新車市場は復旧すると期待していることを明らかにし、エコカー2生産のプロジェクトは進めると述べている。フォードのプロジェクトは一〇月三日に承認されている。ブラッドレー社長は、タイ工場がエコカーの生産を開始すれば、フォード本社がタイ工場をASEANの生産ハブとして使う考えでいることを明らかにしている。現在、フォードはASEAN域内でタイとベトナムに生産拠点を持ち、年間生産台数は28万台。

 一方、マツダはマツダ2をハッチバック・モデルとサルーン・モデルの2モデルで売り出す方針で、後者については一一月二八日に開幕するバンコク・モーターエキスポで世界初公開することにしている。またディーゼル・エンジンを採用することにしている。タイ政府のエコカー・プロジェクトはディーゼル・エンジンも対象になっているが、これまでにタイではディーゼル・エンジンを搭載したエコカーは生産されていない。最初のエコカー・プロジェクトでは、ディーゼル・エンジンの排気量上限が1400㏄とされたが、エコカー2プロジェクトでは1500㏄に改定されており、マツダは新開発の1・5リットル・スカイアクティブ・ディーゼル・エンジンを搭載することを決めた。105馬力で、6速の自動変速機、ストップ/スタート・システムを装備し、1リットルあたり26・4㎞走行を実現し、エコカー2で定める23・3㎞を上回る性能を有している。ディーゼル・エンジン搭載車は、ガソリン仕様のものよりも製造コストがかさむが、オーストラリア、欧州向けに輸出供給することでスケールメリットを活かすことができる。

 新型マツダ2の1・5リットル・ディーゼル・エンジン・モデルの価格は明らかにされていないが、タイ国内市場ではホンダの「ジャズ」などと競合するものと見られる。ちなみにジャズはエコカーの規格を満たしていない。マツダ2はガソリン仕様車も投入する予定でいるが、その時期などは不明。エコカー2の規格を満たすため、エンジンは1300㏄未満とする。ガソリン・モデルは日産の「マーチ」「アルメーラ」が対抗車種になる。


日付 : 2014年11月03日

By : 週刊タイ経済

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