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10月の消費者信頼感指数 政府の景気刺激策で前月比改善

 タイ商業会議所大学(UTCC)景気予測センターが一一月六日に発表した一〇月の消費者信頼感指数は80・1ポイントとなり、九月の79・2ポイントを上回った。同指数が前月比で上昇するのは2か月ぶり。政府が打ち出した総額3600億バーツの景気刺激策でタイ経済が上向き、合わせて近い将来に所得も拡大するとの期待感が高まったことが寄与している。ただし消費者は、農産物、とくにコメと天然ゴムの価格下落を懸念しているほか、輸出と観光がまだ完全には回復していないため、消費者の購買力はあまり伸びていない。(16面のデータ参照)  プラユット政府は第4四半期(一〇~一二月)に総額3600億バーツを投じるとした景気刺激策を打ち出した。400億バーツを稲作農家に給付するほか、3200億バーツの投資予算を執行するとしている。国家経済社会開発委員会(NESDB)事務局は最新の景気予測で、二〇一五年の経済成長率が4・1%増に達すると予測した。政府の運輸インフラ投資と観光業の回復が貢献するとしている。

 一〇月には世界市場の原油相場の下落を背景に国内燃油小売価格も下落した。オクタン価91ガソホール、同95ガソホールの小売価格はそれぞれ1リットルあたり2・00バーツ下落し、九月末時点のそれぞれ37・80バーツ、35・78バーツから一〇月末時点でそれぞれ35・80バーツ、33・78バーツに値下がりした。また軽油の小売価格も1リットルあたり0・60バーツ下落し、九月末時点の29・99バーツから一〇月末時点で29・39バーツに値下がりした。

 九月のタイの物品輸出額は199億1280万ドルとなり、前年同月比3・2%増加した。一方、輸入額は217億1100万ドルで、前年同月比14・4%増。この結果、貿易収支は17億9830万ドルの赤字となった。

 しかし消費者の信頼感にマイナスになる材料もあった。NESDB事務局が一四年のタイの経済成長率は1・4%増(1・2~1・7%増)と予測し、3か月前の予測値の1・5~2・0%増から下方修正した。一四年下半期の経済成長率は2・9%増になると見積もっている。下方修正は物品輸出と観光業の回復が当初見積もりよりも遅れていることが理由で、貿易相手国の景気、特に欧州経済の脆弱性が一因。また輸出価格もとくに農産物で底ばいしている。農産物価格は前年同期に比べて低い水準にとどまっている。とくにコメ、天然ゴム、メイズの価格が下落している。さらに旱魃も農業生産に影響を及ぼしているため農業所得は低迷しており、地方の購買力はさほど上昇していない。

 SET株価指数は、九月末時点の1585・67ポイントから一〇月末時点には1584・16ポイントへと1・51ポイント下げている。バーツ相場は小幅下落した。バーツの対ドル・レートは九月末時点の1ドル=32・189バーツから一〇月末時点では同32・458バーツに下落した。このことは外貨の純流出を表しており、輸出と観光が回復していないことが響いている。このほか消費者は生活費と諸物価が高止まりしていることを懸念している。また世界経済の不確実性に関する懸念も依然として残っている。

 景気全般に対する消費者信頼感指数は、前月の69・2ポイントから69・6ポイントへと上昇した。2か月ぶりで前月比増となった。現在の景気に対する信頼感指数は58・6ポイントから58・1ポイントへと低下したが、6か月先の景気に対する信頼感は79・8ポイントから81・1ポイントに上昇した。

 タナワット・ポンウィチャイ副学長は足元の景気について、シグナルは不鮮明で、目先、経済が改善するのか、それとも前月から横ばいにとどまるのかを予測することは難しいとしつつも、政府の景気刺激策と燃油小売価格の下落は第4四半期の経済成長を加速させる2大要素になるとしている。消費者の信頼感は傾向としてポジティブな方向にあるが、財政支出の効果次第だとしている。UTCCは今年通年の経済成長率を1・3~1・5%増と予測している。


日付 : 2014年11月10日

By : 週刊タイ経済

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