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固定資産税の導入 今年末にも法案を閣議決定へ

 プリディヤトーン・テワクン副首相は一一月一一日にタマサート大学経済学会が主催した年次セミナー「格差に挑むタイ経済」で講演し、土地・建物税法案(固定資産税法案)を一二月終わりに閣議決定し、来年初めにも国家立法議会に提出すると語った。既存の地方振興税と土地・家屋税を廃止して、すべての不動産を対象に課税するもので、新税の導入で税収は既存税に比べておよそ7倍増えると見込んでいる。政府の税収増に加え、経済格差を減らすのにも役立つとしている。

 プリディヤトーン副首相は、固定資産税の導入を相続・贈与税の導入に次ぐ税制改革のハイライトと位置づけている。いずれも格差是正という政府の課題に沿ったもので、固定資産税は土地の分配を改善し、土地利用の改善をもたらすものと期待している。新税は、全国に約3200万ある土地区画すべてのアセスメントが完了した後に施行する。アセスメントで算出された公定価格は新税の課税基準になる。財政当局は、二〇一六年までに新税を施行できると見ている。地価を評価するのに18か月かかる。土地の区画については衛星写真データを用いる。算定する公定価格は市価を大幅に下回らないようにする。

 財政局は、固定資産税の法定上限を4%に定めている。遊休地は3年ごとに税率を2倍にしていくが、最高でも評価額の4%を超えない。農地の最高税率は0・5%、住宅は同1%に設定される。同じセミナーで講演したソムマイ・パーシー財務相は、100~150平方ワー(1平方ワー=4平米)の住宅のオーナーの場合、公定価格が300~400万バーツであれば、年間の固定資産税負担額は、住宅オーナーが所有する自動車の年間登録税よりも安いものになると説明しており、過度の負担にはならないことを強調している。

 固定資産税はアピシット民主党政権が導入を目指し、法案を閣議決定して議会に提出していた。民主党政権時の法案では、法定上限を農地で0・05%、住宅で0・1%、商業目的の建物で0・5%としていた。また未使用の土地は3年ごとに2倍になるものの、2%を超えないとしていた。

 一方、相続税は法定税率10%を予定しているが、実際に課す税率は法定上限を下回る低い税率にする方向で検討している。相続税は5000万バーツ以上の財産を相続する場合に課される。同税の抜け穴をふさぐため、生前贈与についても、贈与から2年以内に死去した場合には相続税を課す規定とする。相続税の課税対象になるのは住宅、土地、自動車、債券、株式など。仏壇、仏具や腕時計などの非登録資産は相続税がかからない。財務当局は、地価が急上昇している地域の住宅や土地を親から相続する者の税負担を緩和するための施策も検討している。プラユット政府は、税収の確保というよりは、富の再分配という社会政策のアプローチから相続税の導入を進めている。

 ソムマイ財務相は、相続税、固定資産税の新税の導入だけでなく、関税、物品税制の改革や付加価値税の抜け穴をふさぐ改革を進める考えを示している。


日付 : 2014年11月17日

By : 週刊タイ経済

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