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BOIが期間7年の新投資奨励戦略 二〇一五年一月より適用開始に

 投資委員会(BOI)は一一月二五日にプラユット首相を議長に開いた本会議で、二〇一五年から二〇二一年までの期間7年の新投資奨励戦略を承認した。国に有益な投資の振興に力を入れるとともに、社会や環境にも良い結果をもたらす投資を重視する。またタイの中小企業(SME)の能力強化措置も合わせて承認し、二〇一五年初めより適用開始する。

 ヒランヤー・スチナイBOI事務局長代行が本会議後に明らかにしたところによれば、新投資奨励戦略のビジョンは、競争力の強化を目的とし、タイ国内への投資とタイ企業の海外投資の双方での有益な投資の振興によって中所得国からの飛躍につなげ、持続可能な成長を実現させるというもの。新戦略の下での投資奨励の政策と原則では、タイの工業部門と国に有益な業種を重視するとしており、高度技術を用いる事業、創造的な事業、デジタル・エコノミーの開発を支援する事業またはサービス、国内の資源利用による付加価値生産事業を想定している。このため新投資戦略では、立地場所による投資優遇は原則廃止し、県民1人あたりの所得が低い20県のみ優遇を厚くする。また工業団地内への投資は業種によって基本的な特典から追加優遇する。

 現在、投資優遇の対象となっている業種の一部は、投資奨励が廃止されるものの、一部の事業はサプライチェーンにとって重要で、奨励による強化ポテンシャルを有していることから、廃止はしないが奨励の条件を変更することにした。製品の競争力を強化するために、生産または設計レベルの底上げのため、これら事業への一層の投資を促す。ヒランヤー事務局長代行は、一部の投資家が新投資戦略の下で投資奨励対象業種が絞り込まれることを警戒していたが、多数の業種を除外するわけではないことを強調している。BOIの投資奨励の対象業種は現在200超あるが、新投資奨励戦略でも対象業種の数はほとんど変わらないものとする考え。法人税減免などの税制優遇を得ることができる業種は180業種程度に絞り、さらに50業種は機械輸入関税の免除とその他の非税制措置で優遇する。ヒランヤー女史はこうした業種リストは今後、BOIがウェブサイトで公開すると述べている。

 投資奨励を受けることができる業種はA、Bの2グループに分けられる。グループAは、経済の構造調整に重要で、投資を刺激し、競合国と競争していくことができるようにするため、法人所得税免除の優遇特典を付与する必要がある業種。グループBは高度な技術は使わないが、バリューチェーンにおいて依然として重要なサポーティング・インダストリーで、法人所得税免除の優遇特典はつかないが、機械、原材料面の優遇特典やその他の非税制特典で便宜を図る。新投資奨励戦略は二〇一五年一月一日以降の投資申請から適用を始めることにしている。

 一方、中小企業の競争力強化では、新投資奨励戦略から38業種を選出して、特別に手厚い投資優遇を付与する。中小事業者の投資を促すことが狙いで、法人所得税免除を通常の特典からさらに2年間追加する。適用期間は二〇一五年一月一日から二〇一七年一二月三一日まで。

 このほか、この日のBOI本会議では、特別経済区(SEZ)内への投資に対する奨励政策も承認した。プラユット政府がターク、トラート、サケーオ、ソンクラー、ムクダハンの5県に設置するSEZを事業地とする投資案件に対して、新投資奨励戦略の下での特典に加え、法人所得税免除をさらに3年間追加する。

 BOI本会議はまた、大規模投資プロジェクト23件を認可した。合計投資額は792億1720万バーツで、エコカー2プロジェクトも4社の計画が認可を受けた。タイ国トヨタ自動車はエコカー2生産で認可を受けた。年間生産能力は10万台で、投資額は104億600万バーツ。SAICモーター・CP社もエコカー2生産で認可を受けた。年間生産能力は11万台で、投資額は76億1000万バーツ。スズキ自動車タイランドのエコカー2プロジェクトの年間生産能力は10万台、投資額は84億3870万バーツ。ホンダ・オートモービル(タイランド)は年間生産能力10万台で、投資額は81億6100万バーツ。また、すでにエコカー2生産で認可を受けている日産自動車タイランドは31億1300万バーツを追加投資し、年間生産能力を12万台から13万4000台に増やす。


日付 : 2014年12月01日

By : 週刊タイ経済

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