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複線鉄道新線プロジェクト 日本との公式協議を中断

 プラチン・チャントーン運輸相は一二月七日、複線鉄道新線プロジェクトでの日本政府との協議が、日本の現在の政治情勢から中断されたことを明らかにした。タイ側はターク県とムクダハン県を結ぶタイを東西に横断する鉄道新線で日本の協力を求めているが、日本の衆院解散により中断を余儀なくされている。プラチン運輸相は、日本の新政権が発足すれば公式な協議は再開されるとしている。運輸 相は、両国実務者間のインフォーマルな協議は公式協議の一時中断中も続けられると説明している。

 プラユット政府は、鉄道新線プロジェクトで中国政府との合意覚書調印を年内にも予定している。覚書案はすでに閣議決定され、国家立法議会による承認も得ており、プラチン運輸相によれば、一二月一九、二〇日にタイで開かれる拡大メコン・サブリージョン首脳会議の合間を縫って覚書署名を予定している。対象となる路線は、ノンカイからナコンラチャシマ、サラブリ県ゲンコイを経てラヨン県マプタプットまでの734㎞とゲンコイ~バンコク間の133㎞。

 プラチン運輸相はこのほか、二〇一五年にも着手する3つの新たなモーターウェイ(特別自動車道)の建設プロジェクトの総工費を明らかにしている。バンパイン~サラブリ~ナコンラチャシマの190㎞が840億バーツ、パタヤ~マプタプットの32㎞が140億バーツ、バンヤイ~バンポン~カンチャナブリの96㎞が556億バーツ。パタヤ~マプタプット区間が先行して着工予定で、すでに土地収用費の予算がついている。この区間は有料で、道路利用料金収入から成るモーターウェイ基金を財源に使う。他の2プロジェクトに関しては、韓国、中国、日本などの国が金融支援の提供に興味を示しているという。

 国家経済社会開発委員会(NESDB)事務局長でもあるアーコム・トゥームピタヤーパイシット運輸副大臣は、第5回拡大メコン・サブリージョン首脳会議で、6か国の首脳が総額515億ドルに達する地域開発プロジェクトの枠組を承認する見通しとなっていることを明らかにしている。10のセクターの123件のプロジェクトから成るもので、開発期間は5~10年。このほかに総額2億2200万ドルの92件の技術援助プロジェクトについても合意する予定となっている。

 515億ドルの開発プロジェクトの最も大きな部分を占めるのは運輸だが、このほかにエネルギー、農業、環境、人的資源開発、都市開発、観光、貿易簡素化と情報通信技術分野のプロジェクトを含む。拡大メコン・サブリージョン(GMS)はカンボジア、中国南部、ラオス、ミャンマー、ベトナム、タイで構成され、アジア開発銀行(ADB)の支援の下、加盟国の経済関係の強化と格差是正を目的に一九九二年に発足している。

 アーコム氏によれば、タイが関係するプロジェクトは投資プロジェクトと技術援助を合わせて78件、投資額は54億8000万ドルで、全体予算の10・6%に相当する。運輸分野が48億7000万ドル、エネルギー分野が2億8200万ドル、農業分野が2億1200万ドル、環境分野が1億5800万ドル。アーコム氏は、ノンカイ~マプタプットの鉄道新線、ミャンマーのダウェーに開発予定の深海港とチョンブリ県レムチャバンの深海港を陸路で結ぶためのバンヤイ~バンポン~カンチャナブリのハイウェー建設がタイが関係するプロジェクトのハイライトになるとしている。


日付 : 2014年12月15日

By : 週刊タイ経済

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