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BOIの新投資奨励戦略 奨励条件や特典を説明会で概説

 プラユット首相は一二月一五日、投資委員会(BOI)事務局が主催してムアントンタニ・インパクト会議場で開かれた新投資奨励戦略の説明会で基調講演し、最近承認した期間7年の新投資奨励戦略が持続可能な経済成長をサポートしていくと語った。新投資戦略については、投資奨励政策と原則についての投資委員会布告第2/2557号が一二月三日の官報で公示されており、二〇一五年初めより適用を開始する。

 BOIの新戦略は、タイにとって有益な投資の誘致に力を入れるとともに、社会や環境にも良い結果をもたらす投資を重視している。高度技術を用いる事業、創造的な事業、デジタル・エコノミーの開発を支援する事業またはサービス、国内の資源利用による付加価値生産事業への投資を奨励する。

 ヒランヤー・スチナイBOI事務局長代行は、新投資奨励戦略には重要なポイントが6つあると述べている。1番目かつ最も重要なポイントは、①研究開発、イノベーション、価値創造を促進し、国の競争心を強化するのに役立つ投資を促進すること。残る5つは、②環境にやさしい投資活動の促進、③地方の可能性に即した投資を生むためのクラスターの促進、④南部国境県での投資促進、⑤国境地帯における経済特別区(SEZ)の促進、⑥タイ企業の海外投資の促進。

 プラユット首相は、BOIの新投資政策では、SEZ内への投資プロジェクトに対しては法人税免除期間を3年間追加することを明らかにしている。プラユット政府は、SEZをターク、トラート、サケーオ、ソンクラー、ムクダハン各県の5か所に開設することを決定している。

 BOIの現行のゾーニング・システムは廃止し、投資優遇の多寡は、立地ベースから「活動ベース」と「メリット・ベース」の2つの新たなアプローチに置き換えられる。投資優遇の対象業種は現在の240種から削減されるものの、新たな業種リストも加え200種を超える。活動ベースのインセンティブは、重要性に基づきA1からB2までのグループに細分される。

 A1分野は、国が最も望む投資活動で、金額制限なしで8年間の法人所得税が免除されるほか、機械輸入関税の免除、原料輸入について輸出向け生産の部分で1年間の輸入関税の免除、その他非税制優遇で最も厚遇される。A1には経済木植林(ユーカリ除く)、創造的な製品デザイン、航空機の機体・主要部品の製造、エレクトロニクス設計、ソフトウェア、ゴミ発電、エネルギー・マネジメント・サービス、テクノロジー・パーク、クラウド・サービス、研究開発(R&D)、生物工学、工学設計、科学検査サービス、キャリブレーション、職業訓練所の活動が含まれる。

 A2に分類される投資プロジェクトは、8年間の法人所得税免除が付与されるが、免除額の上限が投資額(地代・運転資金を除く)までに制限される。A3に分類される投資プロジェクトは、5年間の法人所得税免除が付与されるが、免除額の上限が投資額(地代・運転資金を除く)までに制限される。A4に分類される投資プロジェクトは、3年間の法人所得税免除が付与されるが、免除額の上限が投資額(地代・運転資金を除く)までに制限される。

 グループBは法人所得税面の特典が付与されない。B1は機械輸入関税の免除、原料輸入について輸出向け生産の部分で1年間の輸入関税の免除、その他非税制優遇がつく。B2は原料輸入について輸出向け生産の部分で1年間の輸入関税の免除、その他非税制優遇がつく。

 メリット・ベースのインセンティブは、国または工業全体に有益な投資を促進することを意図しており、R&D、技術・イノベーションに支出する、または国内事業者を任用する、教育機関・訓練機関・研究機関を資金面で支援する、国内で開発された技術使用の対価を支払う、国内サプライヤー開発に支出する、国内製品設計などに支出する事業に対し、優遇特典を上積みする。具体的には最初の3年間に売上高の1%以上、または2億バーツ以上を支出する場合、法人所得税免除を1年間追加する。最初の3年間に売上高の2%以上、または4億バーツ以上を支出する場合、法人所得税免除を2年間追加する。最初の3年間に売上高の3%以上、または6億バーツ以上を支出する場合、法人所得税免除を3年間追加する。ただしいずれの場合も合計の免除期間が8年を超えることはできない。

 投資奨励認可の原則は、①農業・工業・サービス業の競争力の向上②環境負荷の防止③投資額と投資の採算性の3点。農業・工業・サービス業の競争力の向上に関しては、原則として収入の20%以上の付加価値が創出されることが条件で、アグロ、電子部品、金属加工については10%以上とする。近代的な生産手法が求められ、原則として新鋭機械を用いることとし、海外から輸入する中古機械を使用する場合には、輸入関税の免除は受けられず、製造から5年以内で、性能面の保証が必要。中古ポンプに関しては製造から5年以上が経過していても10年を超えない場合は、投資額に組み込むことができるが、輸入関税は免除されない。水運・空運と金型に関しては、製造から10年超が経過した機械の輸入が認められる。投資額(地代・運転資金を除く)が1000万バーツ以上のプロジェクトは、事業の開始から2年以内にISO9000またはISO14000、もしくはそれに準じる規格標準を取得しなければならない。取得できなかった場合には法人所得税の免除期間が1年間削減される。

 一方、国営企業による投資プロジェクトは投資奨励の対象としない。民間が事業権を取得してBTO(建設・移管後運営)やBOT(建設・運営後移管)方式で行なうインフラ・プロジェクトは、プロジェクト・オーナーである政府機関が入札の実施前にBOIに照会を行ない、投資奨励の有無について入札時に明確に説明することが求められる。BOO(建設・所有・運営)方式や民間受託のプロジェクトは一般原則に従って投資奨励を検討する。株式会社化されている国営企業のプロジェクトは、追加投資に限って一般原則に従って投資奨励を検討する。

 環境負荷の防止では、十分かつ効果的な対策を義務付け、環境に影響を及ぼす恐れのあるプロジェクトに関しては、BOIが特別に立地や汚染管理方法について審査する。環境アセスメント報告が義務付けられている業種やプロジェクト規模の投資案件は、環境法令または閣議決定を遵守しなければならない。ラヨン県でのプロジェクトは二〇一一年五月二日付けの投資委員会布告に従う。

 投資額に関しては、個々の案件の最低投資額は原則100万バーツ(地代・運転資金除く)。負債自己資本倍率は原則3倍を超えないこととする。投資額が7億5000万バーツを超えるプロジェクトは、BOIの定めるところに沿って実現可能性調査を報告しなければならない。

 一方、外国人の所有原則については、外国人事業法の末尾規制業種リストの第1分類にある禁止事業は、タイ人の過半所有が求められる。第2分類と第3分類にある事業は、特定法で定めている場合を除き、外国人の過半出資または全額出資が可能。またしかるべき事由がある場合、BOIは個別業種ごとに外国人の保有比率を定める。

 現行の投資区域制度は廃止になるものの、県民1人あたり所得が少ないカラシン、チャイヤプーム、ナコンパノム、ナーン、ブンカーン、ブリラム、プレー、マハサラカム、ムクダハン、メーホンソン、ヤソートン、ロイエット、シーサケート、サコンナコン、サケーオ、スコータイ、スリン、ノンブアラムプー、ウボンラチャタニ、アムナートジャルンの20県、経済特別区(SEZ)とサイエンス&テクノロジー・パークへの投資は特別に優遇する。最貧20県を事業地とするプロジェクトは法人所得税の免除が3年間追加されるが、合計の免除期間は8年を超えない。8年間の免除を付与されるA1、A2のプロジェクトに関しては、免除期間の終了後、5年間にわたって法人所得税を50%控除する。また輸送費、電力料金、水道料金は10年間にわたって2倍を費用計上することができる。また純利益の25%をファシリティの敷設または建設費として控除することが認められる。

 投資奨励を受けている工業団地や工業区を事業地とする投資プロジェクトは、法人所得税免除期間が1年間追加されるが、合計で8年を超えない。


日付 : 2014年12月22日

By : 週刊タイ経済

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