ユーザー名 パスワード
クイック検索
キーワード

11月の物品輸出額は1%減 3か月ぶりにマイナス成長

 商業省が一二月二六日に発表した一一月の物品輸出額は185億6800万ドルとなり、前年同月を1・00%下回った。3か月ぶりに前年同月比でマイナス成長となった。天然ゴムなどの主要農産物の輸出が減少したほか、精製油の輸出額が原油価格の急落にともなう輸出価格の下落から収縮した。精製油を除けば輸出は回復基調にあり、前年同月比で1・4%増となっている。

 物品輸出は一~一一月期では2091億8800万ドル、前年同期比0・42%減。精製油を除く一一月の輸出額は177億3300万ドルで、前年同月比1・4%増。精製油以外の輸出製品は輸出額全体の95・5%を占めている。精製油の輸出額は34・2%減。世界市場の原油価格が前年同月比で25%下落したことが響いている。

 一一月の輸入額は186億4600万ドルで、前年同月比3・46%減となった。一~一一月期の輸入額は2107億5200万ドルで、前年同期比8・99%減。この結果、一一月の貿易収支は7800万ドルの赤字、一~一一月では15億6400万ドルの赤字となった。

 バーツ建てで見た一一月の輸出額は5959億7900万バーツで、前年同月比2・94%増、一~一一月期の輸出額は6兆7158億5900万バーツで、前年同期比6・08%増。一一月の輸入額は6054億3100万バーツで、前年同月比0・32%増、一~一一月期の輸入額は6兆8437億4200万バーツで、前年同期比3・04%減となった。この結果、一一月の貿易収支は94億5200万バーツの赤字、一~一一月では1278億8300万バーツの赤字となった。

 一一月には農産物/アグロインダストリー製品の輸出が6か月ぶりに減少した。一一月に農産物/アグロインダストリー製品の輸出は前年同月比8・5%減となった。天然ゴム、冷凍水産品の輸出減が響いている。特に天然ゴムの輸出額は43・0%減となった。世界市場における供給過剰と原油価格の下落で天然ゴムの価格が下落している。一一月の天然ゴムの輸出価格指数は前年同月比18・2%減となっている。大口需要国の中国で在庫が高水準にあり、中国からの引き合いが細っているため、タイの天然ゴムの輸出数量は前年同月比で12・9%減少している。一方、コメと砂糖の輸出は、12・2%増、94・5%増と引き続き増加している。特に砂糖は中国、ASEAN向け輸出が増加している。砂糖輸出世界一位のブラジルの気候問題から世界市場の砂糖供給が減少していることが、タイの砂糖輸出に恩恵をもたらしている。

 工業製品の輸出は前年同月比2・7%増。自動車・同部品、集積回路、合成樹脂・プラスチック、金地金を除く宝石・ジュエリーの輸出が伸びている。自動車・同部品の輸出額は4・4%増で、2か月連続で増加した。オーストラリア、フィリピン、マレーシア、ベトナム向けの輸出が伸びている。また一一月にはエアコン、金地金の輸出もプラスに転じている。一方、コンピュータ、化学薬品、ゴム製品、家具の輸出は収縮した。

 農産物/アグロインダストリー製品の輸出は一~一一月期で見ると前年同期比2・8%減となっている。天然ゴム、冷凍水産品・同缶詰、砂糖などが減少している。世界市場の農産物価格が下落し続けていることに加え、水産品での原料不足が響いている。ただしコメ、タピオカ製品の輸出はそれぞれ18・5%、11・4%増加した。特にコメの輸出数量は11か月間で950万トンを数えている。工業製品の一~一一月の輸出額は前年同期比1・0%増となった。コンピュータ・同部品、自動車・同部品、IC、合成樹脂・プラスチック、エアコン・同部品などの輸出が増えている。一方で、建材の輸出は11・1%減となった。世界市場の供給過剰で鉄鋼の輸出が減少している。

 一一月の輸出額を仕向け地別に見ると、日本、EU(15)向けの輸出がそれぞれ10・7%、5・2%減少した。両国・地域の景気減速と円安が響いている。中国向け輸出も天然ゴムの輸出減から18・7%減少している。一方、ASEAN(9)向けと米国向けはそれぞれ9・0%、2・7%増加した。

 一~一一月では米国、EU、ASEAN(9)向けの輸出がそれぞれ順に3・3%増、5・1%増、0・4%増となった。一方で日本向け輸出は1・7%減だった。中国向けの輸出も6・7%収縮した。香港、韓国向けはそれぞれ3・9%減、3・2%減。

 一一月の輸入は2か月連続でマイナスとなった。燃料、資本財、輸送機械の輸入がそれぞれ15・7%減、10・0%減、12・3%減となった。なかでも輸入額が最大の原油は29・0%減となった。輸入価格の下落によるもので、一一月の原油の輸入価格指数は22・6%減となっている。原材料・中間財、消費財の輸入はそれぞれ8・6%増、1・1%増。一~一一月の輸入額は前年同期比8・99%減だった。

 ナンタワン・サクンタナカ国際貿易振興局長によれば、一二月の物品輸出額が193億ドルに達すれば通年の輸出はゼロ成長になる。190億ドルにとどまれば前年比0・1%減、前年同月と同じ185億ドルにとどまれば、通年で0・4%減となる。


日付 : 2015年01月05日

By : 週刊タイ経済

登録