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12月の物品輸出は1・9%増 14年通年では0・41%減

 商業省が一月二七日に発表した二〇一四年一二月のタイの物品輸出額は187億9000万ドルで、前年同月比1・90%増のプラス成長となった。特に農産物・アグロインダストリー製品の輸出が伸張した。中でもコメの輸出は数量で過去最高を記録している、また工業製品の輸出も拡大している。ただし精製油の輸出額は、世界市場の原油価格の下落のため引き続き収縮している。精製油を除いたタイの物品輸出は178億6200万ドルで、前年同月比3・4%増となった。輸出額全体の5%を占めた精製油の輸出額は前年同月比25・0%減だった。二〇一四年一~一二月の輸出額は2275億7400万ドルで、前年比0・41%減となった。

 一二月の輸入額は172億100万ドルで、前年同月比8・74%減となった。通年では2279億5200万ドルとなり、前年比8・97%減だった。この結果、一二月の貿易収支は15億8900万ドルの黒字、通年では3億7900万ドルの赤字となった。

 バーツ建てで見た一二月の輸出額は6118億8300万バーツで、前年同月比5・68%増。通年では7兆3147億バーツとなり、前年比で5・86%増となった。一二月の輸入額は5667億9700万バーツで、前年同月比5・36%減、通年では7兆4105億400万バーツで、前年比3・22%減。一二月の貿易収支は450億8600万バーツの黒字で、通年では958億300万バーツの赤字となった。

 農産物・アグロインダストリー製品の輸出は増加に転じている。特にコメの輸出数量が過去最高を記録した。工業製品は引き続き拡大している。一二月の農産物・アグロインダストリー製品の輸出は前年比0・8%増。コメ、砂糖、冷凍水産品・同加工品、冷凍鶏肉・同調製品の輸出が拡大している。特にコメの輸出は11か月連続のプラス成長で、一二月は前年同月比67・0%増となった。一二月の輸出数量は140万トンと過去最高を記録し、特にアフリカ大陸、インドネシア向けの輸出が拡大した。また砂糖の輸出はASEAN、中国向けが好調で、前年同月比96・1%増を記録した。ブラジルの天候不順で世界市場の砂糖供給が細ったことが支援材料となり、多くの需要国がタイからの輸入を増やした。一方で、天然ゴム、タピオカ製品、生鮮・冷蔵青果・同加工品の輸出は減少した。中でも天然ゴムの輸出は43・0%減となった。世界市場における供給過剰でゴムの価格が下落し、需要もまだ回復していないことが響いている。一二月の天然ゴムの輸出価格指数は前年同月比で19・4%減となった。最大の需要国である中国は在庫量が依然、高水準にあり、タイからの輸入を減らしている。このためタイの天然ゴムの輸出数量は一二月期に14・6%減少した。

 工業製品の一二月の輸出額は前年同月比4・5%増となった。自動車・同部品、合成樹脂・プラスチック製品、金地金を除く宝石・ジュエリー、TV受像機などが伸びている。自動車・同部品の輸出は0・1%増で、3か月連続のプラス成長となった。米国、ベトナム向けが伸びている。またコンピュータ、鉄鋼の輸出も一二月にはプラスに転じている。一方で、化学品、集積回路、ゴム製品、エアコンの輸出は収縮した。

 二〇一四年通年の農産物・アグロインダストリー製品の輸出額は2・5%減となった。天然ゴム、冷凍水産品・同加工品、砂糖の輸出減が響いている。世界市場の農産物と水産原料の価格が下落していることが響いている。一方でコメとタピオカ製品の輸出額はそれぞれ23・0%、9・9%増加した。特にコメは通年で輸出数量が過去最高となる1100万トンに達した。政府の保管米の放出が背景にある。加えて多くの国で旱魃が発生し、備蓄用のコメ需要が増えた。工業製品に関しては、二〇一四年通年の輸出額は1・1%増となった。コンピュータ・同部品、自動車・同部品、集積回路、プラスチック製品、エアコン・同部品などが牽引した。一方で、建材の輸出は8・9%減。鉄鋼の輸出減が響いている。中国の在庫が高水準にあり、世界市場の供給が増加していることに加え、鉄鋼価格の下落が理由となっている。

 仕向け地別に見ると、一二月には米国向け輸出が直近の2年間で最高の伸びを記録した一方、ASEAN、中国向け輸出は主に精製油と天然ゴムの輸出減から収縮した。一二月の主要市場向け輸出は、日本向けとEU向けがそれぞれ5・9%増、1・4%増へと上向いた。また米国向け輸出は伸張を続け、一二月期は前年同月比13・2%増に伸びが加速した。米国の耐久財の消費や民間投資が拡大していることが寄与している。一方で、中国、ASEAN向けはそれぞれ18・8%減、0・6%減となった。天然ゴムの輸出が依然として収縮していることと精製油の価格下落が響いている。また中国経済が減速する兆しを見せていることも影を落としている。中国の一二月の輸入額は2・3%減となっており、中国の需要が依然として脆弱なことを示している。一方、ASEAN向けの輸出は精製油を除けば2・3%増加している。コメ、合成樹脂・プラスチック製品、化学品、コンピュータなどの輸出が好調。またASEANのうち、CLMV諸国に限れば、輸出額は3・2%増加している。特に国境貿易と国境横断貿易が伸びている。

 二〇一四年通年では、主要市場向け輸出が2・3%増となった。輸出額全体に占める割合は29・3%で、前年の28・6%から上昇した。米国、EU向けがそれぞれ4・1%、4・7%増加した。しかし日本向けの輸出は1・9%収縮した。消費増税による国内景気の鈍化が響いている。有望市場向け輸出は通年で1・5%減となった。輸出額全体に占める割合は49・9%で、前年の50・4%から低下した。中でも中国向け輸出は7・9%減となった。香港、韓国向けはそれぞれ4・4%減、1・5%減。ASEAN向けは0・2%増だった。

 一二月の物品輸入は引き続き収縮している。燃料、原材料・中間財と輸送機械の輸入がそれぞれ順に37・3%、4・9%、4・0%減少した。特にタイの輸入品で最大の原油は42・6%減となった。一四年一二月の原油輸入価格指数は前年同月比で36・2%下落している。一方で消費財の輸入は17・7%増となった。一四年通年の輸入額は9・0%減。

 近隣諸国との国境貿易と国境横断貿易は増加し続けており、タイの貿易額全体に占める割合は7・7%に達している。一二月のマレーシア、ミャンマー、ラオス、カンボジアとの国境貿易額は875億4400万バーツで、前年同月比7・2%増、通年では9875億7200万バーツとなり、前年比6・9%増を記録した。うちマレーシアとの国境貿易が51・4%を占めて最大となっており、前年比では1・3%増加した。ミャンマー、ラオス、カンボジアとの国境貿易はそれぞれ順に8・9%、14・3%、22・0%増となった。シンガポール、中国南部、ベトナムとの国交横断貿易は一二月期に127億6000万バーツ、通年で1555億3300万バーツとなり、それぞれ28・8%増、41・2%増となった。

 ナンタワン・サクンタナカ国際貿易振興局長は、商業省が二〇一五年の物品輸出の成長率を4%増に目標設定していることを明らかにしている。しかし世界経済の先行き不安、外為相場の変動などがリスク要因になるとしており、密接に監視しなければならないとした。政府は、第1四半期の状況を監視した後、通年の輸出成長率を見直すことにしている。


日付 : 2015年02月02日

By : 週刊タイ経済

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