ユーザー名 パスワード
クイック検索
キーワード

中銀月例経済金融報告 景気は緩やかな回復傾向

 タイ中央銀行は二月二七日に発表した月例経済金融報告で、景気は緩やかな回復に向かっていることを強調した。生産面を見ると、農林水産業の生産が増加した一方、製造業の生産は収縮している。観光業は拡大基調が続いている。

 一月の農業所得は季節調整済みの前月比で4・4%増となった。収量の増加によるものだが、前年同月比では価格の下落の影響が大きく、10・0%減となった。農林水産物の生産は前年同月比1・2%増で、特に天然ゴムとエビの生産が増えた。農産物の価格は、籾米の価格が前月比で小幅上昇し、前年同月比でも横ばいと下げ止まった。天然ゴムの価格はシート状ゴムのRSS3号で1キログラムあたり45・30バーツとなり、前月の43・02バーツから上昇したが、前年同月比では30・5%減となっている。キャッサバの価格は7か月ぶりに前月比で下落したが、前年同月比では上昇している。パーム椰子の価格は前月比で上昇し、前年同月比でも5・4%増となった。軽油へのバイオディーゼルの配合比率を二〇一四年五月より5%から7%に引き上げたことでパーム油の需要が増加したことによるものだが、今年一月二二日にはパーム油不足を懸念して配合比率が3・5~7・0%に修正されている。畜産品の価格は前月比で下落し、前年同月比でも5・1%減となった。養殖エビの価格は前月比で下落し、前年同月比では27%減となった。過去2年間続いた早期死亡症候群(EMS)が収束しつつあり、エビの生産量が4か月連続で増加していることが理由。

 工業部門では一月の工業生産は前月比で収縮した。雇用と工業部門の電力消費量が減少したことを反映したものだが、前年同月比では小幅増加した。前年の数値が低いローベース効果が一因。一月の工業生産指数(MPI)は前年同月比で1・3%収縮したが、エレクトロニクス部品、衣料、食品などの多くの工業の生産は回復する傾向にあり、自動車の生産が19か月ぶりに増加に転じるなど、二〇一四年下半期以降の回復基調は続いているとした。集積回路(IC)の生産は世界市場の半導体サイクルの好転を受け、前年同月比で増加した。自動車生産は特にエコカーの海外需要増から増加した。このほかビールは物品税増税の観測から特約店の注文が増加した一時的な要因から生産が増加した。衣料と石油製品の生産はローベース効果から生産が増加した。前年の政治デモで衣料品販売業者の事業が影響を受けたことや、道路の占拠により公共交通を利用する者が増え、石油製品の消費量が細っていた。

 ハード・ディスク・ドライブ(HDD)は消費者の嗜好変化のため世界的な需要が減少したことを受け、生産が減少した。HDDのかわりにフラッシュメモリを用いた記憶装置であるソリッド・ステート・ドライブ(SSD)を搭載したパソコンが増えている。電化製品の生産は海外需要、特にEUと日本の需要低迷から減少した。またセメント・建材は不動産市場の減速から生産が収縮した。

 観光セクターはタイ経済の主要な牽引力となっている。一月の外国人観光客数は260万人で、前年同月比15・9%増。プラス成長は4か月連続となった。前年同月の政治デモの影響で比較ベースが低くなっていたことが一因だが、中国、マレーシアからの観光客が顕著に増えている。一月のホテル客室稼働率は67・1%で、前年同月の60・9%を上回った。


日付 : 2015年03月02日

By : 週刊タイ経済

登録