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経済特別区内の投資プロジェクト 13業種で最大の優遇特典を付与

 アーコム・トゥームピタヤーパイシット国家経済社会開発委員会(NESDB)事務局長は三月一六日、国境県に開発する特別経済区(SEZ)で最大の投資優遇を付与する業種を決定したことを明らかにした。同日に開かれたプラユット首相が統轄する特別経済区開発政策委員会の会合で決定した。投資委員会(BOI)がSEZ内を事業地とする投資プロジェクトで最大限の投資優遇を付与するのは、①農業・漁業及び関連産業、②セラミック、③繊維・衣服及び皮革、④家具、⑤宝石・ジュエリー、⑥医療器具、⑦自動車・機械及び部品、⑧電機・エレクトロニクス、⑨プラスチック製品、⑩調剤、⑪ロジスティック、⑫工業団地、⑬観光サポート産業の13のカテゴリー。
 BOIは今年初めより期間7年の新投資奨励戦略を導入しており、ヒランヤー・スチナイBOI事務局長代行によれば、SEZの促進は新投資奨励戦略の重要なポイントの一つになっている。プラユット政府は、SEZをターク県メーソート、トラート県、サケーオ県、ソンクラー県、ムクダハン県、ノンカイ県の6か所に開設することを決定している。
 BOIの新投資奨励戦略では、これまでのゾーニング・システムは廃止され、投資優遇の多寡は、立地ベースから「活動ベース」と「メリット・ベース」の2つの新たなアプローチに置き換えられているが、SEZに関してはゾーンベースの優遇が継続されることになる。
 プラユット首相は昨年末の時点で、BOIの新投資政策では、SEZ内への投資プロジェクトに対し法人税免除期間を3年間追加することを明らかにしていた。SEZを事業地とする13業種の投資プロジェクトは8年間の法人所得税免除が付与され、免除額の上限も設けない方針。さらに法人所得税の50%減免の特典を5年間にわたって付与することを考えている。機械輸入関税の免除、その他非税制優遇でも厚遇されるもようだ。さらに輸送費、電力、水道料金などの費用も実際の費用の2倍を最長30年間、損金計上できるようにする。このほかにもある種の設備の設置費用や建設費用についても税控除で優遇する方針。また未熟練外国人労働者の雇用も許可する。アーコム事務局長は、投資優遇の詳細は追ってBOIが発表するとしている。
 ちなみにBOIの新投資奨励戦略では、「活動ベース」と「メリット・ベース」の2つの新たなアプローチで投資が優遇される。活動ベースのインセンティブは、重要性に基づきA1からB2までの業種グループに細分され、国が最も望む投資活動であるA1分野は、金額制限なしで8年間の法人所得税が免除されるほか、機械輸入関税の免除、原料輸入について輸出向け生産の部分で1年間の輸入関税の免除、その他非税制優遇で最も厚遇される。A2に分類される投資プロジェクトは、8年間の法人所得税免除が付与されるが、免除額の上限が投資額(地代・運転資金を除く)までに制限される。A3に分類される投資プロジェクトは、5年間の法人所得税免除が付与されるが、免除額の上限が投資額(地代・運転資金を除く)までに制限される。A4に分類される投資プロジェクトは、3年間の法人所得税免除が付与されるが、免除額の上限が投資額(地代・運転資金を除く)までに制限される。
 グループBは法人所得税面の特典が付与されない。B1は機械輸入関税の免除、原料輸入について輸出向け生産の部分で1年間の輸入関税の免除、その他非税制優遇がつく。B2は原料輸入について輸出向け生産の部分で1年間の輸入関税の免除、その他非税制優遇がつく。
 メリット・ベースのインセンティブは、国または工業全体に有益な投資を促進することを意図しており、R&D、技術・イノベーションに支出する、または国内事業者を任用する、教育機関・訓練機関・研究機関を資金面で支援する、国内で開発された技術使用の対価を支払う、国内サプライヤー開発に支出する、国内製品設計などに支出する事業に対し、法人所得税免除期間の追加などで優遇特典を上積みすることになっている。
 BOIはSEZのほかにも県民1人あたり所得が少ないカラシン、チャイヤプーム、ナコンパノム、ナーン、ブンカーン、ブリラム、プレー、マハサラカム、ムクダハン、メーホンソン、ヤソートン、ロイエット、シーサケート、サコンナコン、サケーオ、スコータイ、スリン、ノンブアラムプー、ウボンラチャタニ、アムナートジャルンの20県やサイエンス&テクノロジー・パークへの投資は特別に優遇する方針。最貧20県を事業地とするプロジェクトは法人所得税の免除が3年間追加されるが、合計の免除期間は8年まで。8年間の免除を付与されるA1、A2のプロジェクトに関しては、免除期間の終了後、5年間にわたって法人所得税を50%減免する。また輸送費、電力料金、水道料金は10年間にわたって2倍計上することができる。また純利益の25%をファシリティの敷設または建設費として控除することが認められる。
 特別経済区開発政策委は、タイ工業団地公団(IEAT)が造成または民間と提携して6県に工業団地を開発する計画も承認している。総面積は2万4871ライで、内訳はターク県が1万4858ライ、サケーオ県が2944ライ、トラート県が740ライ、ムクダハン県が1085ライ、ソンクラー県が1095ライ、ノンカイ県が4149ライ。またターク県メーソートでのバイパス道路の建設、ムーイ川の第2友好橋の建設も承認した。総工費は39億バーツ。このほか、SEZ開発の第2フェーズでノンカイ、チェンライ、ナラティワート、ナコンパノム、カンチャナブリ県などの候補地を承認している。
 一方、ヒランヤー・スチナイBOI事務局長代行が一九日に明らかにしたところによれば、今年最初の2か月間の投資申請は67件、合計投資予定額は132億7600万バーツだった。今年初めからの新投資奨励政策の適用開始のため、旧条件での投資優遇を求める投資家は昨年一二月に駆け込みで投資申請を済ませている。一、二月には新投資政策で優遇されることになった国際本部(IHQ)、国際通商センター(ITC)の設置やソフトウェア事業、代替エネルギー事業、アグロインダストリーなど幅広い業種で投資申請があった。
 ヒランヤー事務局長代行は、今年の申請ベースでの投資予定額の目標を3500億バーツに定めたことを明らかにしている。昨年は一二月の駆け込み申請により合計投資予定額は2兆1900億バーツに達している。ヒランヤー女史は、金額ではなく、投資の中身を重視したいと述べている。目標を達成できれば、内外の投資家の目に、タイがまだ魅力的に映っていることが証明されるとしている。



日付 : 2015年03月23日

By : 週刊タイ経済

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