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バンコク~チェンマイ高速鉄道 日本政府が共同開発投資を提案

 プラチン・チャントーン運輸相は四月七日の閣議後の談話で、日本政府がバンコクとチェンマイを結ぶ高速鉄道の共同開発を提案してきたことを明らかにした。日本の提案内容はこの日の閣議でプラユット首相に報告した。首相はプロジェクトの詳細について日本側と協議し、その結果を四月二八日の閣議に報告するよう命じている。

 プラチン運輸相によれば、日本はミャンマーのダウェー経済特別区のタイ側玄関口にあたるカンチャナブリ県からチョンブリ県のレムチャバン港とカンボジア国境のサケーオ県アランヤプラテートを結ぶ複線鉄道新線とは別に、バンコクからピッサヌローク経由でチェンマイまでを結ぶ鉄道新線の開発も提案している。バンコク~チェンマイ間は距離が700㎞あり、高速鉄道としての開発を目指している。いずれのルートも1・435メートルの標準軌を想定している。

 プラユット首相は四月二三~二七日に日本を訪問するアーコム・トゥームピタヤーパイシット運輸副大臣に、両方のプロジェクトの詳細を日本側と協議するよう指示している。プラチン運輸相によれば、日本側は準備調査の結果が非常に良かったことからバンコク~チェンマイ区間の高速鉄道プロジェクトへの投資を希望している。

 日タイ両国は、今年二月のプラユット首相の日本訪問時に鉄道分野での協力で合意し、両国の運輸当局間で意図表明覚書(MOI)を取り交わしている。二月の首相訪日時には安倍晋三首相が、日本の優れた技術・ノウハウや豊富な経験を活用し、タイのインフラ整備全般において一層の貢献を果たす用意があることを表明、プラユット首相はこの提案を歓迎した。プラユット首相は、タイのインフラ整備計画全般における日本の関与は、ASEANの連結性の中心であるタイのプレゼンスの増強にも寄与するとし、拡大メコン・サブリージョンの経済発展の加速が期待できるとした。

 タイの鉄道新線プロジェクトでは、日本の太田昭宏国土交通相とタイのプラチン・チャントーン運輸相がMOIに署名している。同覚書は、タイの鉄道開発への日本の出資や共同開発には言及していないが、バンコク~チェンマイ間、ターク県メーソート~ムクダハン間の具体的な路線を挙げて、鉄道整備に関する将来の協力可能性を追求していくとしている。また近隣国との鉄道連結性向上の観点からの南部経済回廊における鉄道整備(カンチャナブリ~バンコク~チャチェンサオ~アランヤプラテート/レムチャバン間)に関する調査研究でも協力する。覚書の実施を監督するための大臣級の共同運営委員会の設立にも言及している。

 日本政府は、日タイ首脳会談の前からタイ・ミャンマー国境のカンチャナブリ県バーンプナムローンからバンコクを経由してタイ・カンボジア国境のサケーオ県アランヤプラテートを結ぶ鉄道新線をタイ政府と共同で開発する用意があることを伝えていた。バーンプナムローンはタイ政府がミャンマー政府と共同開発するミャンマーのダウェー経済特別区プロジェクトにおけるタイ側の玄関口となるもので、ダウェーからバーンプナムローンまで複線鉄道が建設されることになっている。

 タイ政府は、ノンカイ~ナコンラチャシマ~ゲンコイ~マプタプット区間とバンコク~ゲンコイ区間の複線鉄道新線を中国政府と共同開発することを決定済みで、作業部会を設置して準備調査、ルート設計ならびに土地収用について協議しているところ。日本とも鉄道の共同開発を行なうことで、中国とのバランスを取ろうとする思惑が透けて見える。タイ側は日本との共同開発はターク~ムクダハン区間を含めた3つのルートから日本側に一つのルートを選んでもらう考えでいたが、2ルートの開発権を日本に付与する方向に傾いている。


日付 : 2015年04月20日

By : 週刊タイ経済

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