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最低賃金の据置きを決定 年内は300バーツ維持

 ナコン・シラパアーチャー労働省次官は四月八日、最低賃金を今年末までは現行水準に据え置くことが決定されたことを明らかにした。同次官が委員長を務め、官労使の代表で構成する賃金委員会が年内の据置きを決定した。最低賃金は、プアタイ党政権によって二〇一三年より全国一律300バーツへと大幅に引き上げられている。賃金委員会は五月に開く会合で、来年初めからの最低賃金の引き上げの是非について話し合うことにしている。

 労組中央団体の一つであるタイ労働連帯委員会(TLSC)は、生活費上昇を理由に来年一月から最低賃金を全国一律で360バーツに引き上げるよう要求している。TLSCはバンコク、アユタヤ、サムットプラカン、サムットサーコン、ナコンパノム、プラチンブリ、チャチュンサオ、サラブリ、チョンブリ、ノンタブリ、ラヨン、アントン各県の2933人の労働者の賃金と生活費の調査データを政府に提出している。

 これに対し、タイ工業連盟(FTI)のワロップ・ウィタナコーン副会長は、景気が十分には回復していない中での賃上げは時機を得ないと指摘。中小企業の経営が立ち行かなくなり、人件費の安い近隣国への工場移転が進み、失業者が増えるだけだと反対している。ワロップ氏は、そもそも現在の最低賃金水準が、政府の人気取りのための大衆迎合政策によって歪められたものであることを指摘している。

 ワロップ氏は、需要が低迷する中で賃金を引き上げても購買力の上昇には結びつかないと指摘。人件費増で企業は疲弊し、廃業する中小企業が増えるだけに終わると見ている。また生活費の問題は賃金の引き上げでは解消しないとしている。労働省はTLSCが示した生活費の実態をもとに最低賃金を調整するべきかどうかを労使と一緒に話し合う方針で、FTIも協議には応じる意向を示している。ただし、どのような決定をするにしても生活費のほかインフレ動向、国の競争力も考慮するよう求めている。


日付 : 2015年04月20日

By : 週刊タイ経済

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