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第1四半期の物品輸出 経済担当副首相は4%減と予測

 プリディヤトーン・テーワクン副首相は、今年第1四半期(一~三月)の物品輸出が前年同期比で4%減になるとの見方を示している。輸出の収縮はGDP成長に悪影響を及ぼすため、輸出の収縮を財政支出の拡大などで穴埋めする必要があるとしている。財政支出は輸出と違って国がコントロールでき、第1四半期の予算執行率は昨年第4四半期を上回っていると説明している。

 プリディヤトーン副首相はタイ荷主評議会(TNSC)の主催で八日に開かれたセミナーで講演し、輸出のマイナス成長は世界経済の回復が遅れていることによるもので、不思議ではないと述べている。他のASEAN諸国との比較における製造業の競争力の低下も一因と見ており、前政権下での最低賃金の大幅な引き上げが影響を及ぼしているとした。ただし物品輸出は第1四半期を大底として緩やかに上向いていくとしており、通年では0~1%増成長が見込まれると説明している。同副首相は物品輸出に経済成長を牽引する力強さを期待していないことを強調、国内消費の回復と政府支出が経済成長を牽引するとした。

 二月二七日現在、二〇一五予算年度の予算執行額は約1兆1000億バーツで、歳出総額の2兆5750億バーツの42・7%が執行済み。経常的経費の執行額は1兆100億バーツで、同経費の予算全体の2兆1250億バーツの47・5%に相当する。一方、投資予算は合計4490億バーツのうち、執行額はわずか805億バーツに過ぎず、執行率は17・9%にとどまっている。

 財務省主計局のマナット・チャムウェーハ局長は、政府投資予算の執行率が87%の目標を下回る見通しであることを明らかにしている。三月末時点で契約に至っている投資プロジェクトが投資予算全体の43・9%に相当する1970億バーツに過ぎないことが理由。契約の遅れは投資予算の執行の遅れにつながり、景気浮揚のために政府支出を加速させるとした政府の計画は絵に描いた餅になりかねない。一般的な予算執行のプロセスの下、三月末までに調達・任用の契約署名が済んでいない投資プロジェクトが年度内に予算を引き出すことは難しい。

 政府ならびに民間部門は、政府支出が経済成長の主要な牽引車になると期待している。プラユット首相は、投資予算の執行状況が各政府機関の長の業績評価の主要な物差しになるとして、予算執行手続きの迅速化を促していた。タイ中央銀行は、財政支出の遅延見通しから、二〇一五年の経済成長率予測を4・0%増から3・8%増に下方修正している。消費者や投資家の信頼感の改善が遅れていることや、世界経済の回復が予測よりも遅れることも下方修正の理由。成長率の下方修正と合わせて、中銀の金融政策委員会(MPC)は、政策金利の0・25%幅での引き下げを決定している。

 タイの物品輸出は一月に前年同月比3・46%減となり、二月には同6・14%減となっている。こうした状況を踏まえてプリディヤトーン副首相は第1四半期の輸出が4%収縮すると見ている。タイの物品輸出はGDPの70%を占めているため、4%の収縮はGDPを約2・8%下押しすることになる。

 同副首相は全国8000か所の学校の校舎建設や補修などの経済刺激策は、雇用創出に主眼を置いたものだと説明している。このほか全国3051か所のタンボン(行政区)に100万バーツを給付することを説明している。一方、戒厳令を憲法第44条適用に置き換えたことは観光業にプラスになり、物品輸出の収縮を穴埋めするとしている。また民間消費は、付加価値税収などを見る限り戻ってきつつあるとしている。

 観光・スポーツ省によれば、今年第1四半期(一~三月)にタイを訪れた外国人観光客は786万人で、前年同期を23・4%上回った。中国人観光客の増加が寄与しており、マレーシア、韓国、ロシア、日本からの観光客も増えている。ただし経済が悪化しているロシアや欧州からの観光客は減少している。同省では今年通年の外国人観光客数が目標の2880万人に達し、観光収入は2兆2000億バーツに達すると期待している。

 観光・スポーツ省は戒厳令の撤回により、外国人観光客の信頼感が上向くと期待している。四月一~四日の外国人観光客数は33万7490人に達し、前年の同期の24万4919人から37・8%増加している。ホテル客室稼働率は二月にバンコク、プーケット、パタヤ、チェンマイ、クラビー、サムイの平均で78%。プーケットは最も稼働率が高く87・1%を記録している。バンコクも中国人観光客増により82・7%の高水準の稼働率になっている。

 プラユット首相は七日の閣議後、タイ経済の主要な牽引車である観光セクターにマイナスの影響が及ばないよう、タイの航空行政の改善に全力を挙げることを約束している。一方、タイ観光公団(TAT)は二〇一五年の観光収入目標2兆2000億バーツの達成のため、ローシーズンの観光客誘致策を練っている。ジュタポーン・ルーンロナサTAT総裁代行は、アフリカ、中東、オーストラリアをターゲットにしていることを明らかにしている。五月にはタイの観光事業者60社と共同で「アラビアン・トラベル・マーケット2015」に出展し、タイ観光をアピールする。オーストラリアやニュージーランドの都市、南アフリカでもロードショーを計画している。


日付 : 2015年04月20日

By : 週刊タイ経済

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