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二〇一五年の経済成長率予測 UTCCは3・2%増に下方修正

 タイ商業会議所大学(UTCC)景気予測センターは四月一六日、二〇一五年の経済成長率予測の下方修正を発表した。予算執行が予想よりも遅れていることや、農産物価格の下落、世界経済の回復の遅れから、今年通年の経済成長率は3・2%増にとどまるとした。同センターは昨年一一月時点で経済成長率を3・5~4・0%増と予測していた。

 タナワット・ポンウィチャイ所長は、第1四半期の成長率について2・2%増にとどまると予測している。同所長は、今年のタイ経済は成長を遂げるものの、下押し材料が予想した以上に多いと述べている。同センターは昨年一一月時点で物品輸出の伸びを4・1%増と予測していたが、0・4%増に下方修正した。またインフレ率は2・3%増の従来予測を0・5%増に見直した。タナワット氏は、タイ経済の成長率に関し、グローバル経済の回復のテンポと政府のインフラ投資の予算執行がどれだけ迅速になされるかにかかっていると述べている。同センターは物品輸出が前年比1%減となった場合には、経済成長率は1・9%増にとどまると試算している。輸出がゼロ成長の場合には経済成長率は2・9%増、1・5%増になれば経済成長率は4・1%増に達するとしているが、世界経済と世界貿易量の伸びが鈍化する中、輸出の顕著な回復を期待することは難しいと見ている。特にタイの主力輸出市場である中国、EU、日本は景気が減速傾向にあり、これら市場向け輸出は苦戦を強いられる。一方、輸入の伸びは通年で2・2%増と予測し、二〇一五年の貿易収支は45億8000万ドルの赤字になると見ている。

 運輸副大臣を兼務する国家経済社会開発委員会(NESDB)のアーコム・トゥームピタヤーパイシット事務局長は、財政支出の拡大が景気を下支えすると述べている。国道局の道路建設・拡幅事業は今予算年度の600億バーツの予算の55%が五月までに執行される。また合計で1170億バーツに達する鉄道複線化プロジェクトは第2四半期または第3四半期に入札が実施される見通し。

 アーコム氏は投資委員会(BOI)の奨励認可を受けた投資プロジェクトや工業省から工場操業免許を取得した工場の建設が進捗していることも示している。今年最初の3か月間にBOIが認可した投資案件は約700件、合計投資予定額は1100億バーツに達している。

 家計消費は第1四半期に1~2%増にとどまったもよう。アーコム氏は、GDPのおよそ10%を占めている観光セクターが主要な牽引役になるとしている。

 UTCC景気予測センターは今年の外国人観光客数を前年比15・5%増となる2820万人と予測。観光収入は同13・7%増となる13億2000万ドルに達するとした。この結果、経常収支は38億2000万ドルの黒字と見積もっている。通年平均のバーツの対ドル・レートは1ドル=32~33バーツ、原油価格は1バレルあたり60~65ドルと見積もった。

 UTCCが予測する民間消費の伸びは1・8%増、民間投資は3・8%増。農業セクターの生産は1・0%収縮するものの、工業セクターの生産は3・2%増加すると予測した。

 タナワット所長によれば、最近のUTCCによる事業者調査では、大半の事業者がタイの景気の回復は今年第4四半期に顕著になると見ている。事業者は消費者の購買力を高め、景気回復を促すため、予算執行を加速させることで国内支出を刺激するとともに、輸出セクターの援助と農産物価格下落問題の解決を政府に求めている。軍政のこれまでの国政運営に対する評価は、社会面が10点満点中4・8点、経済面が同4・5点、政治面が同5・2点となっている。


日付 : 2015年04月27日

By : 週刊タイ経済

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